「ねええ、ママ、千葉へ行ってきたの」
電話の声が弾んでいます。きっと何かおもしろいことがあったんだろうと思い、私も「そうだったの」と相槌を打ちながら、彼女の次の言葉をワクワクしながら待っています。
「窓から太陽の沈む様子が、この世のものとは思えないほど美しいと評判の旅館があってね。それを見に、①0人ぐらいの有志で出かけたわけ」
ちょっとひと呼吸おいてから、また話し始めました。
昼間の間は散歩したり、みんなで楽しく遊んでね、そろそろ時間になったわけ。さあ、時間だ!というこで、mんなで窓のそばに座り、固唾をのんで待ってたの。「ほら、沈むわよ。」「ウワーッ、すごい」「この偉大な夕日にかなうものはこの世には何もない」なんて口々に言いながら、あまりのすばらしさに胸打たれて、最後はもう、みんな声も出なくなっちゃったほどだったのね。そのとき突然私が言ったのよ。
「あら、何て言ったのよ」
もうここまでくると好奇心剥き出しです。
「ここで雑魚寝して、明日の朝、また太陽が出るのを見ないって。一瞬みんな私の言葉が理解できなくて、その後一斉に後ろに引っくり返ったのよ。畳の部屋でほんとよかったわ。
私には、なぜみんなが引っくり返ったのが理解できません。
「あら、どうしてそれがおかしいわけ。あなた何も間違ったこと言ってないじゃないの」
(中略)
「やっぱりママもそうなんだ。( )。ね、分かった」
「あっ、そうだわ。太陽は東から昇って西に沈むんだものね」
ようやく私も納得。
1、「さあ、時間だ!」とあるが、何の時間か。
①散歩に行く時間
②旅館に入る時間
③太陽が沈む時間
④部屋で寝る時間
2、ここで「好奇心」を持ったのはだれか。
①ママ
②徹子
③旅館の人
④いっしょに行った有志の人
3、「それ」は何を指すか。
①畳の部屋で引っくり返ること
②旅館の部屋で雑魚寝すること
③みんなが自分の言葉を理解してくれないこと
④翌日、同じところで太陽が出るのを見ること
4、( )に入る最も適当なものはどれか。
①太陽が沈むのも太陽が昇るのも同じくらい美しいのよ。
②太陽が沈んだ場所で、太陽が昇るのを待ってもダメなのよ。
③太陽が沈むのは見られたけど、太陽が昇るまで待てないのよ。
④太陽が沈んだ場所から太陽が昇るのを見ても美しくないのよ。