部屋があって、テーブルの上にロウソクがあります。ほかにはマッチがあります。そして画鋲が箱の中にいくつか入っています。部屋の中に壁がある。問題は、このテーブルの上にある道具を使って、ロウソクを地面に垂直になるように壁に立てるということです。要するに、ロウソクで部屋を灯したいのです。壁にロウソクを付けて部屋が明るくなるようにしたい。どうすればいいでしょうかという問題です。けっこう難しいですよね。(少し時間をとって、考えてもらう。)
答えですが、まず箱から画鋲を出してしまう。この箱を画鋲を使って壁に止める。そうすると水平の台になります。そこにロウをたらしてロウソクを立てる。これが正解です。私はすごく感心したのです。自分では思いつかなかったので、なるほどなと思いました。もっとおもしろい実験結果は、もともとこの箱に画鋲を入れずに、外に出してバラバラにしておいて被験者に出題したほうが早く解決されるということです。画鋲が箱の中に入っているとなかなか解決ができないというのです。それはなぜだと思いますか。
私たちは、画鋲が箱の中に入っていると、「箱というのは画鋲の入れ物なんだ」というふうに考えますよね。入れ物としての機能を持っていると考えると、それを台にするというアイデアはなかなか思い浮かばないのじゃないでしょうか。入れ物としてではなく、単に一つの箱がポンと置いてあると、これを台にするという考えが浮かびやすい。
( )という私たちがもともと持っている知識、つまり固定概念が、かえって問題解決を妨げてしまうんです。箱というのは、入れ物にもなるけれども、台としても使えるというようなことに思い至らない。そういう例として出されている実験です。
1、( )に入れるのに適当な言葉はどれか。
①箱というのは入れ物なんだ。
②箱というのは台として使えるんだ。
③画鋲というのは箱を止められるんだ。
④ロウソクで部屋を明るくできるんだ。
2、ロウソクな問題で、画鋲が箱の中に入っていることは被験者にどのような影響するのか。
①画鋲で箱が壁に止められることに気づきにくくなる。
②画鋲の箱が台として使えることに気づきにくくなる。
③画鋲がこの実験では不要なことに気づきにくくなる。
④画鋲を床に刺して使えることに気づきにくくなる。