インプットの機会が増えたということは、実にすばらしいことです。しかし、毎日の入力量に比べて、出力するんすはあまり変わっていないケースが多いのではないでしょうか。
もちろん「私は、毎日の仕事ですごいアウトプットをし続けている」という人もいるでしょう。しかし、脳とは常にインプットを求める存在です。テレビやネットを漠然と見ている最中でさえも、無意識のうちにさまざまな情報を入力しています。ですから、日常的にそれに見合ったアウトプットを意識的に行わないと、どうしても入力過多に陥ってしまいがちなのです。
これを「インターネットの発展がもたらした大きな弊害だ」と片付けるのは簡単です。しかし僕自身はインターネットには「様々な情報に触れる機会、つまり脳が喜ぶ学習のチャンスが増えた」という恩恵のほうが大きいと思っています。
それに、いまさら高度情報化社会を変えることなんてできません。ましてや、無視するなんて、もってのほかでしょう。いまさらインターネットを無視しても、仕事はもちろんのこと、普段の生活も成り立たなくなってしまいます。
大切なのは、周囲の環境を自分に換えることではなく、周囲に合わせて自分を変えることです。つまり、自然に感覚系の「入力」が多くなってしまう現代においては、意識的に運動系による「出力」をすることがより重要になってくるのです。
(茂木健一郎「脳を生かす仕事術」による)
1、筆者の主張と合っているものはどれか。
①インターネットの普及に伴って、情報に触れるチャンスが増え、現代人の脳もより活性化している。
②メディアの発達で脳の入力チャンスが増えるのは喜ばしいことだが、それと同時に意識的に出力を増やすことも重要だ。
③脳は常にインプットを求める存在であるので、情報化社会の到来とともに、脳の発達も加速度的に進んでいる。
④現代社会において情報が欠かせないので、脳のインプットがより大切になってきた。
2、「これ」は何を指しているか。
①無意識のうちに情報を吸収すること
②意識的にアウトプットすること
③脳の入力量が出力量を上回ること
④脳がインプットを求めること
3、メデェアの発展が人々に与えた影響として、文章の内容と合っているものは何か。
①毎日の入力量は増えているのに対して、出力するチャンスは減ってきた。
②様々な情報に触れる機会が増え、出力より入力のほうが多くなってきた。
③仕事上、アウトプットすることが多くなり、インプットは少なくなってきた。
④インターネットが日常生活に浸透した高度情報社会は、情報が氾濫している。