また、プライバシーなど存在せず、質問に答えたがらないだけで疑惑のもとになる日本の国内では、隠れて生活することも不可能だった。恋人たちがどんなに遠くまで逃げおおせたとしても、いつも海が②人を取り囲んでいて最終的な逃亡の妨げとなり、結局、彼らは心中の道を選ぶことが多かった。しかし、たとえ船を与えられたとしても、敗軍の将や悲運の恋人たちが日本という島国を出たいと願ったかどうかはうたがわしい。
日本は特異な国であるという確信がとても強かったので、日本人は、もちろん外国の存在をまったく知らなかったわけではないが、日本が世界のすべてだと考えがちであり、四方を海に囲まれている日本という島国の中で、どれほど苦難にあおうと、外国に行けばより幸せになれるかもしれないということを受け入れられなかった。
1、次のうち、本文の内容と合うものを一つ選びなさい。
①敗軍の将や悲恋の恋人たちは、日本を出たいと願っていた。
②敗軍の将に残された道は、とらわれの身になることだけだった。
③中世の日本では、質問に答えるだけで疑惑のもとになった。
④島国を出ることは、日本人にとって受け入れがたい考えだった。
2、「隠れて生活することも不可能だった」とあるが、それはなぜか。
①外国に逃げて新しい生活をしてみないと分からないから。
②私生活がなく、質問に答えないとすぐ疑われるから。
③隠れたくても、物理的に隠れられる場所がなかったから。
④隠れることは屈辱的なことであると考えたから。
3、「島国を出たいと願ったかどうかはうたがわしい」とあるが、実際にはどうであったかと筆者は述べているか。
①日本が世界の全てであると考えがちであり、島国を出ることは受け入れがたいことであった。
②外国に行けばより幸せになれるかもしれないと考え、島国を出たいと考えた。
③島国を出たいと考えたものの、外国の存在を知らなかったので不可能だった。
④島国を出たいと考えたものの、船を与えてもらうことができなかった。