世界では、18歳選挙権が主流だが、日本や韓国をはじめ、いくつかの国では、20歳からの選挙権精度を続けている。いずれにしても、もろもろの権利が18歳からスタートすると、18歳の社会行動や消費行動を取り巻く環境も一変する。
さて、そんな折、相模女子大学の研究チームが、18歳の意識や行動を1年おきに探る「18歳定点調査(注)」をスタートさせ、18歳を巡る議論に材料を提供している。
そのなかで、18歳参政権の是非を尋ねている。その結果、回答者の71%が早すぎると答えている。しかも、「選挙権を持てば、必ず投票に行く」と答えた人の割合はわずか25%であった。大人たちの思いとは別に、18歳の政治に対する関心はいまひとつ盛り上がっていない。研究チームは、その背景に、彼女たちの「自信のなさ」をあげている。「自分に自信がある方か」という問いに、77%が「自信がない方だ」と答えている。
失敗して傷つくことを恐れ、安全な道を選ぶ第二次ベビーブーム以降の世代の特徴に加え、親や学校に守られ、マニュアル通りのことをしておけばよかったのが、いきなり正しい判断や責任を求められても難しいと尻込みをしている状況もあると説明している。いろいろな意味で18歳の今後に注目していきたい。
(「18歳ごころ調査」2009年11月03日付け朝日新聞「経済気象台」による)
(注:定点調査:同一の調査地点における状況を確認・記録し、集積データの面的な分布や、経時変化などを調査方法。生物や大気、水質のモニタリング調査が代表的な調査。)
1、「18歳定点調査」に対する説明として正しいものはどれか。
①相模女子大学の研究チームが、毎年行っている。
②18歳選挙権に対する議論に役立つデータを示している。
③18歳問題について今後どうするべきか解決策を提供している。
④いろいろな権利を18歳から与えるべきだと訴えている。
2、「18歳の政治に対する関心はいまひとつ盛り上がっていない」とあるが、それはなぜか。最も適当なものを選びなさい。
①プロ野球やゴルフなどのスポーツに夢中になっているから。
②まだ選挙権がないので、政治に対する関心を持つ必要がないから。
③マニュアル通りにすることになれていて、自分の選択に自信がないから。
④可能な限り、責任が伴う判断は避けたいから。
3、18歳に対する筆者の考えに最も近いものはどれか。
①親や学校側は、今後もマニュアル通りに守ってほしい。
②いろいろな角度から、関心を持ち続けたい。
③選挙権を持てば必ず投票に行くはずだから、参政権を与えるべきだ。
④韓国をはじめ、全世界では18歳選挙権が主流になっている。