「少子高齢化」の一番の問題は、「支え手」が減ることです。支え手、つまり労働力人口が減ると、物やサービスを生産する力が低下して、利益が上がりません。その結果、会社や個人が払う税金や年金保険料が減り、これを利用して行っていた国や自治体の様々なサービスができなくなってしまうことになります。
中でも深刻なのは年金、医療、介護など社会保障分野への影響です。社会保障制度は、「世代間の助け合い」で成り立っています。会社や個人が「負担」をして、個人が高齢者となった場合に、「給付」を受けます。現在の社会保障費は85兆円ですが、②0年後には①68兆円になると厚生労働省はみています。それは国民の負担が倍増することを意味しています。現在、総人口の②割を占めるお年寄りは、②0④0年には③③%を超えます。介護が必要なお年寄りが増えるのに、「支え手」が減るので、このままでは制度自体が崩れてしまいます。
B
「少子高齢化」というと、誰もが暗い顔をする。しかし、人口が減って経済の規模が今より小さくなるのは当たり前だし、ことさら騒ぐことでもない。年金など社会保障制度の存続を危ぶむ声もあるが、これも「労働力人口」を①5~6④歳に限定するから起こることだ。6④歳を過ぎても働けるし、働きたい人たちはたくさんいるのに、彼らが仕事に就けない現実こそが問題なのだ。さらに言えば、働きたいと思っている女性たちがその何倍もいるはずなのだ。要するに、眠れる「労働力人口」が活用できていないことが問題なのだ。なぜかというと、常に競争と効率ばかりを追い求める社会や企業の仕組みが、高齢者や女性を排除しているからだ。つまり、誰もがその体力や能力に応じて働き、参加できる社会の仕組みがこの国にないのだ。だから私は、「少子高齢化」の今こそ、戦後日本の価値観や社会や企業の在り方を問い直すチャンスだと思っている。
1、AとBがどちらもが取り上げた「少子高齢化」の問題点は何か。
①高齢者の雇用問題。
②世代間の助け合い。
③労働力人口の減少。
④社会や企業の在り方。
2、AとBは、少子高齢化についてどのような考え方に立っているか。
①AもBも社会保障制度の存続を心配している。
②AもBも少子高齢化を止めたいと考えている。
③Aは社会保障制度の存続を心配しているが、Bは解決できると考えている。
④Aは少子高齢化は避けがたいと考えているが、Bは避けられると考えている。
3、Bは「「少子高齢化」の今こそ、戦後日本の価値観や社会や企業の在り方を問い直すチャンスだと思っている」と述べているが、何のチャンスと考えているか。
①高齢者が安心して老後を暮らすことができる社会を作るチャンス。
②誰もがその体力や能力に応じて働き、参加できる社会をつくるチャンス。
③女性が安心して子供を産み育てることができる社会をつくるチャンス。
④人口が減っても、経済成長を続けることができる社会をつくるチャンス。