国際感覚があるということは、ただすらすらと外国語を話し、外国人とそつなくつきあえるというような単純なことではありません。また、国際感覚を身につけるということは、これさえ手に入れれば大丈夫と言うような、一本の「魔法の杖」を見つけることでもありません。それは、現代社会の中で、(1)21世紀に生きる私たちの生き方について考えることでもあり、一人の人間が自分の生き方を貫こう(つらぬこう)としたら、いったいどういう資質が求められるか、と問うことでもあります。
ただ私たち日本人の場合、どうしてもまず日本という国の枠(わく)を考え、その枠組の中で、「世界に誇れる日本人の資質とは何か」と考えてしまいがちです。ただ、現代では、自分の国の国益さえ守れればそれでよい、という時代ではなくなってきています。そのことは、国際的問題が広く認識されるようになったことにも現れています。
( 2 )、世界の自然環境を守ることと、ある国の経済的利益が衝突するということは、いくらでも起こりうることです。そのときに私たちが、自分の国の利益だけに(注1)とらわれずに、より普遍的な視点から発想できるかどうかが問題になってきます。一つの時代を共に生きるということは、その時代が抱える問題を、世界の人々と共有することでもあるからです。(注1)とらわれる:拘束される。
問1 (1)「21世紀に生きる私たちの生き方について考えること」とあるが、それはどのような国際感覚のことか。
1.最後まで自分の行き方をつらぬくこと。 2.世界に誇れる日本人になること。
3.国益に立って行動すること。 4.国益を超えた普遍的な視点から発想できること。
問2 ( 2 )に入る適当な語はどれか。 1. もちろん 2.たとえば 3.しかし 4.たしかに