すると紫色の雲が、中からむくむく立ち上って、それが顔にかかったかと思うと、すうっと消えていって箱の中には何にも残っていませんでした。 その代わり、いつの間にか顔中皺になって、手も足もちぢかまって、綺麗な水際の水に映った影を見ると、髪もひげも、真っ白な、可愛いお爺さんになっていました。 浦島は空になった箱の中を覗いて、「なるほど、乙姫様が、人間の一番大事な宝を入れておくとおっしゃったあれは、人間の寿命だったのだな」と、残念そうにつぶやきました。 春の海はどこまでも遠く霞んでいました。 どこからかいい声で船歌をうたうのが、また聞こえてきました。 浦島は、ぼんやりとむかしのことを思い出していきました。
于是一阵紫色的烟雾从里边滚滚上升,一下子扑到了脸上,之后消失了,箱子里什么都没留下。 但是,不知何时脸上起了皱纹,手脚都缩短了,一看美丽水里的倒影,头发胡子都白了,成了个和蔼的老爷爷。 浦岛看着变空的箱子,遗憾地轻声说:“原来如此,二公主所说的放在里边人最重要的东西是人的寿命啊。” 春天的海远远地变得朦胧。 还能听到不知从哪传来的好听的船歌。 浦岛突然想起了过去的事。