日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 阿刀田高 » 正文

まじめ半分17

时间: 2018-03-31    进入日语论坛
核心提示:授業料の思い出 ある朝、突然目を醒《さ》ました。時刻は四時過ぎ。心配事が心に昇って来て、とても眠れそうもなかった。「ぐず
(单词翻译:双击或拖选)
 授業料の思い出
 
 
 ある朝、突然目を醒《さ》ました。時刻は四時過ぎ。心配事が心に昇って来て、とても眠れそうもなかった。
「ぐずぐず悩んだって仕方ない。行動あるのみ」
 私は布団をけって起きた。
 
 今から二十年以上も昔、まだ大学生の頃《ころ》の出来事である。
 なにを悩んでいたかと言えば、まず、
「定期券の期限が切れる」
 ということだった。
 当時、私は浦和の兄の家に住んでいて、大学も東京都内、友だちも東京都内、つまり、なにをするにも電車に乗らなければ埒《らち》があかない。いちいちキップを買っていたんじゃ高価すぎるし、キセルもできない(国鉄さん、ゴメンナサイ。当時はやっていたのです)。定期券がなくなったとたん、私は陸の孤島に置かれるも同然の立場にあった。
 定期券が切れたら新しいのを買えばいいじゃないか、と思われるだろうが、ことはそれほど簡単ではない。定期券を買うためには大学の事務局へ行って通学証明書をもらわなければいけない。通学証明書をもらうためには学生証を提示しなければいけない。
 しかし、私は授業料を一年分ほど滞納していたので、学生証は一年前のもの。これでは通学証明書を交付してもらえない。
 こういう事態もあるべしと予測して、五か月前に目いっぱい長期の六か月定期券を買っておいたのだが、その定期券の期限が近づき、しかし授業料のほうはいぜんとして五か月前と同じ支払い状態だったのである。
 父は、私に充分すねを齧《かじ》らせてくれないうちに他界していて、授業料は自分で捻出《ねんしゆつ》するよりほかになかった。
「アルバイトをしよう」
 しかし、アルバイトの口があるかどうか?
 その頃、靖国神社のすぐ近くに学徒援護会という機関があって、そこへ行けばアルバイトを斡旋《あつせん》してくれるという話を聞いていた。よいアルバイト先を見つけるためには、朝早く行って並ばなければいけないのだという。
 四時に目を醒《さ》ました私は五時に起床してそのまま援護会へ向かった。それでも浦和から駈けつけたのでは、あまり早いほうではなかった。
「本が好きだから、本に関係ある仕事を」
 と、私は出版社の編集事務のような仕事を想定して言ったのだが、
「じゃあ、これがいいでしょう」
 事務所の人が勧めてくれたのは書店の売り子だった。背に腹は替えられない。それに、本を売る仕事も存外おもしろいかもしれない。
 かくて私は神田の、お茶の水駅から明治大学の前を過ぎ、ななめに古書店街のほうへ降りて行く道の途中にある文苑堂という書店で、売り子を務めることとなった。
 結論を言えば、あの仕事はそれなりに役に立った、と思う。現在の私は、本を作る側の一角を自分の生業としているわけだが、自分の書いた本がどのように売られていくのか、そのプロセスをつぶさに体験したのはけっして無駄ではなかった。
 それはともかく、私はこの書店に二か月ほど勤務して、なにほどかの金子を得た。昼めしにはたぬきうどんより高価なものは食べず一生懸命に貯えた金だった。
 滞納した授業料を全額まかなうには足りなかったが、半期分でも納めれば通学証明書はもらえるルールだった。
 汗の結晶をポケットに収めて大学の事務局へ赴くと、先客が一人いた。
「授業料を滞納しちまって、通学証明書がもらえないんですけど、困っちゃうからなんとかできないんですか」
 彼は二か月前の私と同じ状態で、それで事務員に相談しているのだった。
「学部の主任教授のところへ行って、勉学を続ける意志のあることを証明していただければ、通学証明書は交付します」
 その学生がどうしたかは知らない。
 私はその話を立ち聞きしたとたんきびすを返した。
 ——そんな手があったのか。それじゃあ、この金を支払うのは、ちょっと待て——
 おおいに苦労して貯めた金であるにもかかわらず——いや、おおいに苦労して貯めた金であればこそ、おいそれと授業料になんか使ってなるものか。
 クラブ活動などもやっていたので主任教授とは親しかった。早速、教授の部屋をノックして、急に懐ぐあいが豊かになった。
「よし、飲みに行こう」
 仲間たちを誘って、たちまち浪費したような気がする。
 それから数か月後、私はまたしても愕然《がくぜん》として夜中に目を醒まし、学徒援護会へ走らなければいけなかった。
 私の中には、ひどく心配症のところと、奇妙に楽天的なところが共存しているようだ。その傾向は今でも少しも変わっていない。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%