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まじめ半分24

时间: 2018-03-31    进入日语论坛
核心提示:読書保険 風邪を引く。 そう重い風邪ではなく一日寝ていればなおる程度の風邪である。 こんなとき私は菓子と紅茶と本を一冊|
(单词翻译:双击或拖选)
 読書保険
 
 
 風邪を引く。
 そう重い風邪ではなく一日寝ていればなおる程度の風邪である。
 こんなとき私は菓子と紅茶と本を一冊|枕《まくら》もとに置いて床につく。菓子は柿の種が好物である。紅茶はトワイニングのプリンス・オブ・ウェルズ。本は�銭形平次捕物控�が一番よろしい。柿の種をポリポリ齧《かじ》り紅茶で辛味を消し�親分、大変だあ�を読んでいるとトロリトロリと眠くなる。しばしまどろんでまた柿の種、紅茶、�親分、大変だあ�となる。
 この物語では、八五郎はいつも顎《あご》が長く、丸ポチャ娘はけっして犯人になることはない。天下泰平、人畜無害、このひとときはすこぶる楽しい。この世に生まれて来てしみじみよかった、と思う。
 読書と言うと、すぐに堅いことを言い出す人が多いが、そう気張ることもあるまい。銭形平次をいくら熟読玩味しても世界の真理、人生の意義について高遠な哲学が悟れるはずはないけれど、とにかく数時間は真実楽しめるのであって、これもまた読書の欠くことのできない効用である。
 十九世紀フランスの文人ブリア・サバランは、食道楽のすばらしさを説いて、
「食卓の快楽は、どんな年齢・身分・国籍の者にも毎日ある。他の快楽といっしょでもよし。また他の快楽がなくなってからも最後まで残ってわれわれを慰めてくれる」
 と記しているが、読書の快楽もこれに勝るとも劣らない。
 読書は食物のように人生不可欠のものではないから、自動的に�毎日ある�とは言えないが、そこは心掛けひとつ、習慣さえ身につけば�毎日ある�ことも可能だし、�他の快楽がなくなってからも、最後まで残って慰めてくれる�ということなら、むしろ食卓の快楽より読書の快楽のほうが長生きする場合もある。たとえば食事がサッパリ楽しくない人だって世間に結構たくさんいるのだから。
 しかも�食う�ことに比べれば、なんと�読む�ことは安くてすむか。読書によって�人生いかに生くべきか�などなど、りっぱな思想や判断力が身につくかどうか、過度の期待はさて置くとしても、わずかな投資と努力で人生の楽しみが増加することだけは確かである。とくに病気の時や老後にこれが役に立つ。言うなれば読書には傷害・養老保険のような価値もあるのであって、病中・老後のレジャーを確保するためにも若いうちに読書習慣を身につけておいたほうが便利のようだ。
 現在私たちが掛けている養老保険なんて、言っちゃあわるいが二十年後の満期になったとき、諸物価高騰の折から本当に役立ってくれるかどうかあやしいものだ。その点、読書保険にはいささかの不安もない。しかもいったん習慣となってしまえば、あとは満期を待つまでもなく電車の中でも、トイレの中でも、ベッドの中でも毎日毎日欠かさず快楽の配当を受けることができる。子どもたちにはぜひともこの�読書保険�を掛けてやりたいと思う。
 話は少し変わるが、現代の読書論には大別して三つの流れがある。その一つは�修養のための読書論�。読書によって人格を錬磨せよ、古典に親しめ、一字一句ないがしろにするな、文章のよさを味わえ。われら�銭形平次�党としては、さながら校長先生の前に出た悪戯《いたずら》小僧の気分。こういう格調高い読書論を読むと、煙ったく、また面映ゆい。
 もう一つは�社会運動のための読書論�。サークルを作ってみんなで本を読み討論をして連帯感を高め、それによって自分たちの生活を改善し、日本国を少しでもよくしていこう、と、これもまた志が高い。
 そして三つ目が、わが親愛なる�楽しみのための読書論�。イギリスの作家サマセット・モームは、
「読書は楽しくあるのが本当であって、楽しくない本は読む必要がない」
 と、すこぶるわかりのいいことを言っている。
 私も大賛成。ただ、残念なことにこのタイプの読書論を主唱する人は少ない。
 なーに、実践する人はたくさんいるのだろうけれども、いざ�論�を展開することになると、みんなカッコウをつけて、堅いことを言いたがる癖がある。
 もともと日本では�楽しみはそれ自体が善である�というモラルが未発達であって、そのため楽しみのための読書論はおおいに肩身が狭い。
 だが、すでに見た通り、読書には傷害・養老保険の効能もあるのであって、福祉社会の建設のためにも本はおおいに読まねばなるまい。
 本屋さんの代弁をすれば、本は諸物価の値上がりに比べてずっと値上げの率が小さい。戦後もっとも値上げ幅の少ない商品はタマゴと言われているが、そのタマゴにはちょっと及ばないけれど、本も相当にいいところにつけているのではあるまいか。
 そのうえ、古くなったタマゴは捨てるよりほかにないが、本は古本屋に売るもよし。もしくは、毎度おなじみのチリ紙交換などもあって、トイレット・ペーパーの一回分くらいは充分まかなってくれる。
 これほど経済効率のよい楽しみはちょっと見当たらない。
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