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まじめ半分46

时间: 2018-03-31    进入日语论坛
核心提示:コンプレックス コンプレックスと言うと普通、劣等感の意味に用いられる場合が多いが、これはあまり正しい言葉の遣いかたではな
(单词翻译:双击或拖选)
 コンプレックス
 
 
 コンプレックスと言うと普通、劣等感の意味に用いられる場合が多いが、これはあまり正しい言葉の遣いかたではない。本来の意味でのコンプレックスは、ひとことで言えば、深層心理が抱く願望のこと、つまり自分ではそれとはっきり意識できないけれど心のどこかに、ある欲望が抑圧された状態で鬱積《うつせき》していて、それがいつか噴き出すチャンスを狙《ねら》っている——そんな心理傾向を指して言う。
 劣等感も一種のコンプレックスにはちがいないが、コンプレックスは劣等感だけではない。
 たとえば、よく知られたものにエディプス・コンプレックスがある。この言葉の語源となったエディプスはギリシャ神話に登場する英雄で、父を殺し母と結婚した。
 男性はその成長期において、自分ではほとんど意識しないけれど、父をライバル視して憎み、恐れ、母を最初の異性として愛する心理傾向を根深く宿しているものであり、例のフロイトがこの心理傾向を取り出し、ギリシャ神話の象徴的な英雄の名を借りてエディプス・コンプレックスと名づけたわけである。
 エディプス・コンプレックスほどよく知られたものではないが、ユディット・コンプレックスというものもあって、ユディットはたしか旧約聖書の登場人物だったろう。敵軍に町を囲まれ、その敵軍の大将のところへ操《みさお》を献げに行く。そして処女を与えた後で眠っている敵の大将の寝首をかく。
 処女というものは、強い男に自分の処女を奪われたいという願望を持つものであり、だが、それでいながら自分の処女を奪った男に対して愛情と同時に憎しみをあわせて抱くという、複雑な存在であるそうな。自分でははっきりと意識しないけれど、心の奥底にそういう心理傾向を抱いているものなのだ、と精神分析学者は指摘する。そんな心理を旧約聖書のユディットにちなんで、ユディット・コンプレックスと呼んだのである。
 私はずいぶん昔からこのコンプレックスというものに興味を持っていた。自分の脳味噌の中に理性では統治できない異分子が存在しているような気がしてしようがない。そいつらがいつ独自の行動を起こすか剣呑《けんのん》でならない。そんな不安がいつも私の心の中にあって、
「なるほど。学術用語ではコンプレックスと言うのか」
 と、その素性を合点したからであろう。
 幼い子どもの中に�学校に行きたくない、行きたくない�と思っていると、本当に足が動かなくなってしまう子どもがいる。けっして仮病ではない。真実足が動かなくなってしまうのだ。これもコンプレックスが反逆行動に出た一つのケースである。学校に行きたくないという心理が抑圧されて心の中にしばらくは鬱積していたのだが、ある日とうとう我慢できなくなり、理性の統治を越え、じかに足を動かす神経に命じてストライキを起こさせてしまったわけだ。
 河合隼雄氏著の�コンプレックス�(岩波新書)を読むと、この複雑な心理が巧みな比喩《ひゆ》で説明されていておもしろい。
 コンプレックスというのは、いってみれば政党の中の小さな派閥みたいなものであり、普段は党大会の多数決決定に従って行動しているが、ときにはその決定に不満のある場合もある。しかし、党決定がある以上、一応はそれに従って行動しなければいけない。不満は一層内攻してはなはだおもしろくない。ますます不満が募る。
 その結果、ある日突然分派行動を起こすこともありうる。また表立って分派行動を起こさないまでも、不満のはけぐちを求めてあちこちを突ついてまわる。人間の心因性疾患の中には、多分こうしたコンプレックスの悪戯に由来するものが相当数あるにちがいない。
 つらつら考えてみれば、人間が意志決定をするときには、なにほどかの逡巡《しゆんじゆん》があって当然のことだ。今、布団を蹴って起きるべきか寝続けるべきか、電車に乗るべきかタクシーで行くべきか、右へ進むべきか左へ進むべきか……いちいち私たちは決断をくだしている。この場合意志決定が、たとえば九十対十とか、八十対二十とか、圧倒的多数で決まるときは問題が少ないだろうけれど、時には五十一対四十九というきわどい判定によって決定がなされる場合もあるだろう。脳味噌の中の判定は、国会議事堂のようにそう簡単に数値を計ることはできないが、たとえて言えば、それほどきわどい意志量の差で一つの行動を取るよう意志決定がなされるときもあるはずだ。
 決定は五十一の側に下り、行動はそれに従って取られるだろうが、四十九の側には不満が残る。なんとか自分たちの存在を明らかにしたくなる。そうでもしなければ、とても精神のバランスが円満に保てない。抑圧されたコンプレックスは、こうしていつか蜂起のチャンスを狙い始める。
 私のハートは本来、優柔不断に満ち満ちているのだが、いざ行動を取るだんになると清水《きよみず》の舞台から飛び降りるようにサッと決断をすることが多い。優柔不断を支えているのが自分で苦しくなって、それから逃れたい一心であたふたと行動を起こし一つの既成事実を作ってしまうのだ。それだけに心の中に残る鬱憤《うつぷん》も多い。コンプレックスには厭《いや》でも関心を持たざるをえないのである。
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