眉子叔母さんは、プールにいました。
高いところから見学してても、すぐにわかった。泳いでるひとたちのなかで、いちばん目立ってるんだもの。
水しぶきをあげないクロールが、なんていうか、しなやかな感じ。結構、速い。運動神経、いいみたいね。
ターンも、とてもきれい。壁を蹴ると、からだがすっと伸びて距離が出る。
ひと回りした俺は、お姉さんとロビーの横のジュースバー。健康にいいっていう難しい名前のドリンクをご馳走《ちそう》になった。
「今日は、見学していただきありがとうございました。ぜひ、入会をお勧めします」
透き通った声。元のさわやかな笑顔にもどってる。
俺は、案内してくれたお礼を言って、立ち上がった。
入口の自動ドアまで送ってくれる。
お姉さんたら、顔を寄せて、俺の耳にささやいた。
「入ってくれるっていうんなら、私も入れてあげるわよ」
「はあ?」
ほとんど、サリナと同じタイプじゃないの。
「ふふ。いまのは、秘密。ジムに入れば、あなた、ひらめ筋だって強化できる