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黒田如水11

时间: 2018-11-15    进入日语论坛
核心提示:道二 官兵衛の為人《ひととなり》は小さい時から愛されたそのおじい様の薫育《くんいく》によるところが多かったのである。もう
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 道二
 
 官兵衛の為人《ひととなり》は小さい時から愛されたそのおじい様の薫育《くんいく》によるところが多かったのである。もう悪戯《いたずら》ざかりの少年時代にそのおじい様の思想が少年の心になりかけていた。
 で、彼はまず、こんどの使命を、その祖父へ告げねばと思い、また自分の志と変りなき姫路城の父へも一言——と心がいそがれるのであった。
「おう。万吉どの。万吉どのよな」
 誰か、彼を呼んだ。——久しぶりに幼名を呼ばれた彼は、駒をめぐらして、道の横を見まわした。
 炎天の埃《ほこり》に白くよごれた老僧が、達者そうな足で近づいて来た。官兵衛はあわてて鞍を跳び降りて、
「これは、師のご坊。お久しぶりでございました」
 と、両手を膝まで下げて挨拶した。
 姫路城下の浄土寺の住持である。非常に和《なご》やかな人なので、円満坊円満坊と町の衆はみな称《よ》んでいる。
 官兵衛は、このお坊さんにも、薫陶《くんとう》をうけた。父の宗円が、まだ城持ちともならず、浪人の生業《なりわい》に目薬など売りひさいだ貧窮《ひんきゆう》時代からそう後のことでもない。その頃からこの坊さんは単に読み書きばかりでなく、少年だましいの苗床《なえどこ》に、いろいろな訓育をさずけてくれた恩師である。
 が、まるで友達みたいに円満坊は、
「万吉どの。どこへ行かっしゃる」
 と、額の汗塩をこすって問う。
「実は、旅へですが」
 と、官兵衛はあたりをちょっと見て、
「およろこび下さい。岐阜《ぎふ》へ出向くことになりました」
「岐阜へ。ふうむ……。主家《しゆか》のお使いか」
「さようです」
「めでたい。それはよかった。わかった、わかった」
「多言を申しませぬが、どうぞご推量を。いずれ無事帰国したらゆるりとお目にかかりましょう」
「道々。気をつけて行かれよ」
 官兵衛は、師のことばへ、耳を向けただけで、御着《ごちやく》の方をふり顧《かえ》っていた。彼に似気《にげ》なく、何かただならない顔色を現わしている。
 円満坊もはっと気づいたらしい。彼とともに、同じ方へ眸《め》をやった。見れば、乾ききった白い道を、ふたりの武士が宙を飛んでこなたへ駆けて来るのである。股立《ももだち》取って、ひとりは手槍を抱え、ひとりは手をあげて、何か此方《こなた》へ大声で呼びかけて来る。——官兵衛はじっとしたまま眸を離たず待っていた。
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