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平の将門05

时间: 2018-11-20    进入日语论坛
核心提示:富士まだ若し 牧で、幾日かを遊び、横山へ行ったほど日数をわざとおいて、彼は、なに食わぬ顔で、豊田の館の本屋へ帰った。「汝
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 富士まだ若し
 
 
 牧で、幾日かを遊び、横山へ行ったほど日数をわざとおいて、彼は、なに食わぬ顔で、豊田の館の本屋へ帰った。
「……汝《わ》れは、たしかに、横山へ行ったのか」
 大叔父も、小い叔父も、こぞって、変な顔をした。御苦労とも、いわなかった。
 常陸笠間の北方の山岳で、つねに、平野の豪族たちに反抗している蝦夷ばかりの柵の者が、乱を起したという早馬が来、国香、良正たちは、それから九十日ほど、見えなかった。
 翌年の春にも、秋にも、同じ乱が多かった。
 叔父どもが、多忙だと、小次郎は、羽を伸ばした。しきりに、蝦夷萩と会う機会にも、めぐまれた。家人たちは、彼女の血を賤《いや》しむが、彼には、なんの区別もない。当然、その真実に彼女の熟《う》れた肉体も盲目になった。蝦夷萩は、奴婢曲輪から、危険な空壕を這いわたり、高い柵を、跳躍して、真夜中になると忍んで来た。生命を賭していることは、小次郎の鈍な神経にもわかった。彼女の肌に烙《や》かれては、思い知らさずにおられない。
 だが、その年の冬の一夜《あるよ》——。いや、夜は明けて、霜にまッ白な凍地《いてち》の朝だ。
 空壕の底に落ちて、烏の死骸みたいに死んでいた少女がある。蝦夷萩であった。
「小次郎。見て来い」
 小い叔父に突きのめされて、小次郎は、ぜひなく覗きに行った。崖際から、矛を逆さに植えたような氷柱《つらら》の簾《すだれ》の下に、一片の雑巾《ぞうきん》みたいなものが見えた。彼は、顔まで、鳥肌になり、唇のふるえを噛んだまま、その足で、大結ノ牧の方へ、奔馬みたいに、逃げて行った。
 正月も、牧の馬と一しょに、馬房の藁《わら》の上で寝た。
 彼には、人間の家よりは、馬の仲間のほうが、あたたかだった。
 二月である。大掾の国香は、館の奥で、毛皮の上に坐りこみ、良兼、良正の両叔父をも、左右において、小次郎へいい渡した。
「都へ、遊学に行け。人間らしくなるように、学んで来い」
 小次郎は、むッそり、口をむすんでいた。不服と、とったものか、小い叔父まで、声をいかつくして、
「なんだ、貴様は。桓武天皇からの血を辱《はずかし》めやがって、蝦夷の奴婢と、交《ま》くわるなどとは、あきれた呆痴《うつけ》者《もの》だ。——死んだ、兄者人《あにじやひと》にも、相すまぬ。家のため、貴様のため、都へ出て、勉強して来い。立派に、成人して、人らしくなるまで、帰って来ても、家には入れぬぞ」
 ただちに、旅費の砂金、少しと、旅装一通りと、そして、一通の書状とが、小次郎の眼のまえに置かれた。
 いやも応もない。小次郎は、それを持って、退がりかけた。
「待て待て」と、国香がよびとめた。「——その書状を、途中で、失くすまいぞよ。時の右大臣、藤原忠平《ふじわらのただひら》公へ、特に、お召使いおき下されと、わしからのお願いの状じゃぞ。よいか、幾年でも、辛抱して、汝《わ》れの亡父《ち ち》良持へ、わしらが顔向けのなるように、一かどの男になって帰れよ」
 この頃は、この三叔父の腹のなかは、小次郎にでも、すこし読めている。小次郎は、憎まれ口でも叩きたかったが、京都へ放たれることは、意外な歓びだったので、それをいう余裕もない。
 一人の野の自然児は、こうして、家郷千里の想いもする京都への初旅を、いそいそ西へ向って立った。延喜十八年。小次郎が十六歳の春である。
 叔父どもは、あれほどある一頭の馬もくれなかった。けれど彼は、なんの不平も思わず歩いた。武蔵野の端から端へ出るまでを、三日も四日もかかって歩いた。人の通った跡さえ辿《たど》れば、夜々の泊りの草屋にも困らなかった。
 近々と、富士を仰いだ日、かれは感激に燃えた。都へ出たら、勉強せよ、えらくなれよと、富士の噴煙に、いわれる気がした。
 富士は、近年、また鳴動を起し、さかんに、噴煙をあげていた。そして、風向きにより、武蔵野の草も白くなるほど、灰を降らした。小次郎は、髪の毛の根に溜った灰を、爪で掻いて、不思議なものを見るように見つめた。
 東海の汀《なぎさ》に出れば、塩焼く小屋や、漁師の生活も、もう下総の辺りとは、文化のちがうここちがした。駿河路《するがじ》となれば、見た事もない町があり、寺院がある。そして、夜となれば、富士のけむりは、炎の華《はな》とも見え、海も燃ゆるかとばかり美しい。
 平安の都は、これ以上、美しいにちがいない。道ゆく人々は、どんなに気高いだろうか。まだ童形《どうぎよう》を持つ彼の野性は、人のはなしだけに知っている藤原氏全盛の宮廷や巷を予想して、もうそこへ立ち交じる日の羞恥《はにかみ》にすら、動悸していた。
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