日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 吉川英治 » 正文

平の将門47

时间: 2018-11-24    进入日语论坛
核心提示:分 野 常陸、下総を両岸にして、武蔵へ流れる他の諸川《しよせん》と、上総の海へ吐かれてゆく利根川とに、この毛野川の末は、
(单词翻译:双击或拖选)
 分 野
 
 
 常陸、下総を両岸にして、武蔵へ流れる他の諸川《しよせん》と、上総の海へ吐かれてゆく利根川とに、この毛野川の末は、水口《みなくち》(今の水海道の辺)のあたりで結びあっている。
 この大水郷を繞《めぐ》って、結城《ゆうき》、新治《にいばり》、筑波、豊田、猿島《さしま》、相馬、信太《しのだ》、真壁《まかべ》の諸郡があり、その田領《でんりよう》の多くは——というよりは、ほとんどが、この地方の源平二氏の分野になっていた。一半は、将門の叔父たち——常陸の大掾国香、羽鳥《はとり》の上総《かずさの》介《すけ》良兼《よしかね》、水守の常陸六郎良正など、いわゆる平氏の族が持っていた。
 もちろん、その中には、都の摂関家《せつかんけ》領や、社寺の荘園や、国庁の直接管理している土地や、たれの領とも知れない未開地などが、複雑に、混み入ってはいるが、要するに、勢力範囲といえる形になっており——また、いうまでもなく、将門の亡父良持が、遺産として、将門以下の遺子たちのために、三叔父に托しておいた田領の面積が、少なからず加わっている。そして、それが、今ではそっくり、叔父三家の物となってしまい、所詮《しよせん》、黙っていたひにはいつまで、返してくれそうもない。
 分野の、もう一半はというと。
 これは、新治郡大串に住む源護に属する所領や管理地であった。その版図《はんと》は、さきにあげた諸郡のうちの四郡にわたり、武族としても、勢威、国内を圧するという一族である。
 一族はみな、嵯峨源氏のように、一家名をもっている。護の子、扶《たすく》、隆《たかし》、繁《しげる》など、それぞれ、領土を分けて、門戸をもち、総称して、この一門のことを“常陸《ひたち》源氏《げんじ》”といい囃している。
 将門の父良持の健在だった頃には、まさに、常陸源氏に応ずる“坂東平氏《ばんどうへいし》”の概《がい》を以て、両々、相ゆずらない対峙をもっていたものであったが、いつのまにか、良持亡きあとは、叔父三家とも、護の門に駒をつないで、常陸源氏の下に従属してしまった——おそらくは、そうして辛《から》くも、旧門旧領を、保ち得てきたものにちがいない。
 護は、肚のふとい、武力もあり、政略もゆたかな男にちがいなかった。常陸大掾なる官職は、実は、彼がもっていた役だが、自分は退《ひ》いて、平国香に代らせてしまった。また、自分の女子を、良正に嫁がせ、次のむすめも良兼の後妻に与え、さらに、末の姫まで、いまは都にいる国香の子、常平太貞盛の嫁にやっている。
 こうして、名利と、結婚政策の両面から、護は、平氏の三家を、手もなく、常陸源氏の族党に加えてしまい、そしていまや、この地方随一の豪族中の長老として、たれも、威権をくらべうる者もない。
 ——こんな、現状の中に、将門は、何も知らずに、帰っていたのだ。十三年も、都にいて、ただ、親ののこした広大な土だけはあると信じて帰って来たのである。ところが、残っていたのは、何もない豊田の古館《ふるやかた》と、去勢されたような弟たちだけだった。世の推移と頼みがたい人心を、都では、いやというほど見て来たが、彼はまだ、生れ故郷では——悠々として変化のない大自然にごま化されて——眼に見るほどには、痛感できなかった。どこかにまだ、郷土を信じたい気もちがあった。この美しい水や田野や山に朝夕染められて住む人間には、都人のような軽薄や悪さはないという信念が抜けなかった。——いくら狡《ずる》い叔父たちでも、これから行って、誠意を訴えれば、案外、はなしはわかるにちがいない。なお、欲は張っても、たとえ幾分でも、返してくれないという話はない。——どうしても、そう思いたかった。
 しかし、どうしても、返さなかったら、どうするか。
 将門は、もちろん、この場合も、途々、ずいぶん考えた。が、すぐ命をかけても、というような結末の怒りが血に沸《たぎ》ってしまうだけで、事前に、その場合の考慮をもって臨むことは不可能だった。ただ、自分の性格の弱点が、もっとも、危険な羽目にぶつかるのだという反省は、充分にしていた。前もっての反省などが、役にたつ程ならば、なにも、弱点とはいえないし、将門が、怖れているのは、むしろ相手ではなく、自分であった。
「……おう。そうして、おいで遊ばすと、まこと、よう似ておいでなされますぞや。お亡くなり遊ばした良持様と。……血はあらそわれぬ。瓜二つじゃわ」
 武具作りの野霜の翁《おきな》は、客を上座にすえて、さっきから、見とれてばかりいる。見とれてはまた、一言一言、平伏してばかりいる。円座に坐って、将門は、あいさつのしようもなかった。余りに、ここの主も、家族も、自分を拝して、丁重にするからだった。都で、牛輦の輪を洗ったり、滝口へ勤めてからも、禁門で出会う衣冠の人には、いちいち頭ばかり下げていた癖がまだ抜けていない。まるで、これでは、自分があの忠平大臣になったような気もちがする。
 実のところ、腹がへっていてたまらないのだ。礼儀よりは、飯を食いたい。そして、先の夜道も急がれる。
「なあ、梨丸」
 将門は、きゅうくつそうに、横へ話しかけた。
「何でもいい。ざっと、粟でも稗《ひえ》でも、馳走になって、暇《いとま》しようじゃないか。——帰り途にでも、また、寄らせてもらうとして」
 
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%