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平の将門54

时间: 2018-11-24    进入日语论坛
核心提示:痣 体は快《よ》くなった。もう、身うごきに、不自由はない。 留守をしている豊田の弟共も、さだめし、案じていることだろう。
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 痣
 
 
 体は快《よ》くなった。もう、身うごきに、不自由はない。
 留守をしている豊田の弟共も、さだめし、案じていることだろう。帰らなければなるまいと思う。が、帰りたくない思いもする。
 同じ容子が、桔梗にも見える。
 うすうす、知っているかのように、野霜の具足師の老夫婦は、なお将門に親切であった。客人としてでなく、家族あつかいの、温かさである。
「自分の館でも、このように、朝夕、揃って、飯時《めしどき》に笑えたら」
 羨ましいことに思った。団欒《だんらん》の中でも、彼はふと、箸《はし》を持ちわすれたまま、桔梗の横顔を見てしまうことがある。
 豊田へは、梨丸を使いに出して、心配するなといってやってたのに、その梨丸について、弟の将平、将文の、二人が迎えに来た。
 将門は、それを機《しお》に、伏見掾一家の者に、礼をのべて、弟と一しょに、野霜の部落を立った。
「わざわざ、二人も揃って、迎えになど来なくても、よかったのに」
 毛野川の渡舟《わたし》の上で、将門は、いった。
 桔梗の面影が、頭から消えない。眼のまえに弟たちを置いても、彼女の顔が、重なって見える。もう一日はいたかったのに。——
 未練の不機嫌が、いわせたのである。
「——が、留守中にも、何も変りはなかったか」
「え。べつに。……お留守中は」
 弟たちは、兄がこわかった。都から帰って来たこの兄には、自分たちには、量《はか》り知れない新知識が備わり、充分な人生体験と、将来の抱負もあるものと、鑽仰《さんぎよう》していた。父に代る太柱《ふとばしら》が立ったように、力としていた。
「将頼は、どうしている? ……気の弱い将頼だ。心配し抜いていたろうな。——が、おれはこの通り、何ともない。叔父共ぐらい、束《たば》になっても、怖れはしないよ」
 叔父の事を、口にすると、将門の眼は、眼の底から、無意識に燃えだした。筑波の山影を、はるかに、振りむいて、しばらく、ものもいわなかった。
 ふとまた、われに返って——
「またも途中で、万一があってはと、梨丸がいるのに、お前たちまで、迎えによこしたのは、将頼のさしずだろう。そんな取り越し苦労はするな。お前たちまで、将頼みたいに神経が細くなってはいけないぞ」
「いえ。ちがいます」
「何が、ちがう」
「私たちに、兄上を、早く連れて来いと仰っしゃったのは、都から来ているお客人です」
「都の客人?」
「え。ずっと、泊って、兄者人のお帰りを、豊田の館で、待っておいでです」
「ばか。それなら、そうと、なぜ早くいわないのだ」
「将門を、びッくりさせてやるのだから、会うまでは、黙っておれと、固く、お客人から、口止めされたものですから」
「そういうのを、馬鹿正直と、都ではいうのだ。冗戯をまにうけるやつがあるものか。して、そのお人の名は、何と、聞いたか」
「お名は、伺っておりません」
「将頼からも、聞いていないのか」
「ええ、将頼兄も、知らないようです。けれど、偉い人らしいといっていました」
「年ごろは、幾つぐらい」
「四十ぐらいかと思います」
「一人か?」
「え。お一人です。けれど、太刀も立派なのを横たえ、都の人々でも、左大臣家の誰彼でも、この地方の国司、郡司でも、みな呼び捨てになさいます。——そして、酒がお好きで、朝から飲んでは、将頼兄をつかまえて、一日中、杯を離しません。都はおろか、九州の果てから、この坂東地方の事まで、じつによく何でも知っていると、将頼兄も舌をまいて、尊敬しておりましたよ」
「はてなあ。誰だろう」
 将門には、思い当りがない。左大臣の使いなら、供の四、五名は連れているはずと思う。
 それにしても、氏《うじ》も素姓もしれない旅の人間を、館へ泊めておくばかりか、朝から酒を出して、傅いている将頼や、この弟たちの、無批判と、世間知らずには、唖然とした。これでは、あの叔父共が、悪心を起したのも、むりはないと考えられた。彼は、自分を、世間知らずのお人好しとは思わない。それどころか、余りなお人よしは、周りに、悪人を作るものだとさえ気がついた程だった。そして、歯がゆい弟共に、腹が立つと共に、
(都も都だし、田舎もこれだ。正直者が正直に住める地上など、ありそうもない。——その中を、下の弟五人も抱えて、世に剋《か》ってゆくには、叔父共の上を超えた肚ぐろさも、持たねばだめだ。よし、おれだけは)
 おれだけはと、将門は、肚にちかった。
 豊田の孤児六人で、あの叔父共を見返してやる為には——と、自分の性情にはない性情を持とうとした。——成ろうと思えば、叔父共以上な無慈悲な悪人に成れないことはないと、思いきめた。
 良兼、良正を、筑波に訪ねて、彼が肚にもって帰ったものは、それだった。いや、それと、左の眼の下に、うす黒く残った撲傷《うちみ》の痣《あざ》であった。
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