日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 吉川英治 » 正文

平の将門78

时间: 2018-11-24    进入日语论坛
核心提示:木像陣「やや。遅かったか」「しまった。もう遅い」 子飼へ殺到してみると、敵はそこの渡し口を、もう完全に、扼《やく》してい
(单词翻译:双击或拖选)
 木像陣
 
 
「やや。遅かったか」
「しまった。もう遅い」
 子飼へ殺到してみると、敵はそこの渡し口を、もう完全に、扼《やく》していた。
 羽鳥の良兼を大将としたこんどの奇襲は、じつに、彼らにとっては、四度目の来攻である。
 地の理も、将門の戦い方も、経験によって、彼らは、相当、研究をつんで来たらしい。
 まず、前日から、変装した散兵を放ち、この辺に、隠密な予備工作をとげてから、一挙に、筏《いかだ》や船や、また、浅瀬を求めて、押し渡ってしまったのだ。
 将門は、遠くから、敵勢のかたちを見て、
「畜生」
 と、体じゅうに、たちまち、彼らしい滾《たぎ》りをもった。そして、
(やはりおれは、暢気《のんき》すぎていたのだろうか。どうしても叔父共は、おれの首を見ないうちは、止めないつもりだろうか)
 と、悲涙して、悔い悶《もだ》えた。
 すごい矢ひびきが、風を切って、左右を掠《かす》めてゆく。
 彼の弟たちはもう部下と一しょに、敵のまっただ中へ、肉迫していた。ゆとりをもって、充分に、待ちをかけていた敵の弓は、序戦において、多くの犠牲を、豊田兵に払わせた。
「やや、敵は、ここだけではないぞ」
 将門は、すこし狼狽した。というのは、加養《かよう》、田下《たげ》、宗道《そうどう》などの附近の部落から、煙が立ち始めたからだ。それらの小部落は、戸数は大したものではなくても、みな豊田郷の内である。朝夕に、将門も見ている屋根だし、将門にとっては、常に自分を、「力づよいお館様」と頼みきって、鍬《すき》をもち、漁業《すなどり》をしている、可憐《いじら》しい領民なのだ。
「やったな。糞叔父めら」
 耐えている忍辱《にんにく》の横顔を、いきなり撲《は》りとばされたように、将門は憤然と、まなじりを上げた。
「ひとたび、おれが怒ったら、どんな事になるか、奴らはまだ、思い知っていないのか」
 彼は、悍馬《かんば》と一つになって、敵前に迫り、
「良兼っ、出て来いっ。今日こそは、おれと、勝負をしろ」
 と、一騎討ちを挑んだ。
 もとより良兼や良正が、彼の求めに応じるわけはない。むしろ、波上にあらわれた大魚の背を見て気負う漁師のように、
「それっ、将門だぞ」
「将門をねらえ。将門を射ろ」
「逃げ口を取って、逸するな」
 などと口々にどよめき渡って、一瞬、彼ひとりに、矢をあつめた。
 矢風の外へ出るのが重要である。将門は一心不乱の鬼神《きじん》になった。そして、直接、敵兵に触れ、悍馬の脚《あし》もとに蹴ちらしながら、長柄の刃が血で鈍《なま》るほど、縦横無尽に、薙《な》いで行った。そして、ついに、主将の陣へ、迫りかけた。
 そこが、あきらかに、良兼のいる陣の中核と分ったわけは、いちめんな青芒《あおすすき》に蔽われている低地へ、さらに、楯《たて》を囲い、一部に、幕《とばり》を繞《めぐ》らしなどして、ぐるりと、守り堅めている武者も、雑兵とはちがい、見るからに皆、いかめしい甲冑や武器を揃えていたからである。
「良兼は、どこにいるぞ。良正はいないのか。小次郎将門が、今日はここまで来たのに、なぜ、おれの首を取りに出ないか」
「おうっ、将門、来たか」
 それは、誰の声とも、咄嗟《とつさ》には、分らなかったが、ばらばらと、一方の楯囲いを開くと、芒の波の上に、ゆら、ゆらと、異様なる二体の木像が、神輿《みこし》のように、舁《かつ》ぎ上げられ、左右に数十人の甲冑武者が従《つ》いて、
「……おうっ、将門、来たか」
 と、唱歌のように、声をそろえて、どなった。
「や、や? ……何だろ」
 将門は、思わず、悍馬の手綱をしぼった。
 木彫の人間像は、二体とも、坐像である。衣冠束帯のすがたで、台座の横木には、あざらかに、こう書いてある。
 家祖高望王《たかもちおう》、尊霊
 故《こ》、平良持公《たいらのよしもちこう》、尊霊
 ——つまり平氏の先祖と、将門の亡父の木像とを、どこからか持ち出して、陣頭に押し進めて来たわけだ。
 将門が、ちょっと、たじろいだ様子を見ると、木像陣を作《な》して来たその一群は、また、声をそろえて、
「畏《おそ》れろ、畏れろ。畏れを知らぬか」
「高望王の尊像に」
「さきの良持公の前に」
「射るや、矢を」
「懸るや、不敵に」
「畏れろ、将門っ」
 と、相手の耳もつんぼにしてしまおうと計ってでもいるように、喚《おめ》き囃《はや》した。
 そして、ザッザ、ザッザと、草の波を分けて、押し進んで来るのを見て、将門は、急に馬を退《さ》げて、意気地なく、ためらい出した。
 ——と見て、木像の前にいた前列が、
「将門、くたばれっ」
 と、急に、弦《つる》を鳴らした。四、五本の矢が、将門の青白い顔を的《まと》として、びゅっと飛んだ。
 がばと、将門は、馬のたてがみに打っ伏した。迅速だった。馬は尻を刎《は》ね上げて、くるりと、廻った。とたんに、将門は、ムチを加えていた。——それこそ、一目散といってよい彼の姿であった。
 勝鬨《かちどき》とも、爆笑の嵐ともつかない声が、うしろで聞えた。
「それっ、追い討ちにかかれ」
「焼き立てろ、火攻めに移れ」
 良兼の部下は、余勢を駆って、さらに、豊田郷の深くに進攻し、放火、掠奪、凌辱《りようじよく》など、悪鬼の跳躍をほしいままにして、その日の夜半頃、筑波へひきあげた。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%