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平の将門102

时间: 2018-11-24    进入日语论坛
核心提示:蝦夷萩と呼べば 糺問使の多治真人は、約二ヵ月ほどに亘って、武蔵、下総、その他の地方を視察し、そして将門にたいしては、直接
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 蝦夷萩と呼べば
 
 
 糺問使の多治真人は、約二ヵ月ほどに亘って、武蔵、下総、その他の地方を視察し、そして将門にたいしては、直接、面談して、その釈明を、求めた。
 将門にとっては、すべてが歪曲《わいきよく》された無実である。
 貞盛の讒訴《ざんそ》であり、経基の虚構にすぎない。
 彼は、それをさらに確証づけるために、武蔵、上野、下野、常陸、下総など、五ヵ国の国衙《こくが》から、解文《げぶん》(官庁の証明)を取り寄せて、
「かくのごとく、中央は知らず、坂東地方では、自分を非なりと認めている者はありません。すべては讒者《ざんしや》の作り事です。そしてその讒訴にたぶらかされて、ありもせぬ幻影に悩まれておるのが、堂上の諸卿ではありますまいか」
 と、自身の認めた弁明の表《ひよう》と共に、これを多治真人に提出した。
「神妙です」と、真人は、彼を好意に見た。
 表と解文を携えて、やがて彼は、ありのままを忠平に報告すべく、京都へ帰って行ったのである。
 ここまでは、まず、無事であった。
 この約半年ほどの短い無事の期間こそ、将門の一生涯を通じても少ない“無事の日”であったかも分らない。
 豊田の新邸も、竣工していた。
 彼はそこに移り、人数の一部は、鎌輪ノ柵に残った。また石井ノ柵にも、大葦原 《おおあしはら》にも、守谷《もりや》の御厨《みくりや》にも、彼の弟たちが、家人郎党を分かって、それぞれに定住した。
 初めは、客分として、将門の館に身を寄せていた八坂の不死人も、いつか将門の家臣同様に、彼に仕え、
「相馬殿——」と、彼を崇《あが》め、また内にあっても「お館」と敬称して、もう以前のような悪友ぶりや非礼は決して現わさなくなった。
 将門自身の貫禄もまた、自ら以前とはちがって来ている。
 今や、彼の衆望は、たいへんなものであった。かつての常陸大掾だの、源護だの、羽鳥や水守の叔父たちの下にあった土地と人間とは、招かずして、草木のなびくように、彼の門へ、彼を慕って、集まって来た。
 野の王者であり、野人の中の親分であった。
 けれど、こういう順調な、そして隆運の日が巡って来ても、彼には、どこか虚無的な影が拭いきれていなかった。——こういう変り方が彼の人間に見え出してきたのは、最愛の桔梗と、彼女との仲に生まれた一子とを、叔父の良兼の兵のために、芦ケ谷の入江で惨殺された時からの現象である。
 あのときの、彼の絶望感と、人間の残虐性への烈しい憤怒とは、今もって、鑿《のみ》で彫りこんだように、彼の相貌に、深い陰影をとどめている。
 顔ばかりでなく、その陰影は、もちろん、心の壁にも、カビみたいに、染《し》みついていた。
 酒は、年と共に、量を増した。いまでは大酒の方である。鯨飲《げいいん》すると、心の窓がひらけ、自然、からりと気が晴れるらしい。
「おい、蝦夷萩。……おまえはもう都へ帰さないぞ。それとも江口へ帰りたいか」
 将門は、草笛のほそい腕くびを握っていった。ある夕べの酔いの中であった。
「まあ、私を、蝦夷萩だなんて……。私は江口の草笛ですよ。そんな名ではありません」
「拗《す》ねたのか」
「だって、ほかの女と間違えられたりすれば、どんな女だって怒るでしょう」
「怒るなら怒れ。……都にいた頃、初めて、おまえと馴染《なじ》んで、心をおどらせたのも、おまえがその蝦夷萩と瓜二つといってよい程、よく似ていたからだった。——おれにとっては、忘れ得ない初めての女。それが蝦夷萩なのだ。そう呼ばせてくれ」
「ひどいお館ですこと。私は私でないんですね」
「いや、おまえは、蝦夷萩だ」
「いいえ、草笛ですよ、わたくしは」
「うそをつけ。これでも蝦夷萩でないか」
 抱きすくめて、息がつまる程、草笛の唇をむさぼった。薄い肩をふるわせ、眉をひそめて、三日月形《なり》に身を反らした女の姿を、将門は、遠い日に死に別れてしまった蝦夷萩が、今も在る姿と見るのであった。
「……や、これは……。悪い折でしたかな」
 廊の外に、不死人の影が、立ち淀んでいた。
「おう、不死人か。べつに見られて悪いほどな事じゃない。這入《はい》ったらどうだ、こっちへ」
「では、お取次だけここから申しておきますが」
「うむ、何だ?」
「武蔵の興世王という者が、今、御門前へ、同勢二十騎ばかりで見えましたが」
「あ、また泥合戦の末、仲にはいってくれとかなんとか、仲裁事の頼みだろう。おぬしが会って、用向きを訊きおいてくれ」
「では、先年、府中へ出向かれて、和睦にまで成りかけたものを、当夜の喧嘩で、またぶち壊してしまったあの一方の者ですな」
「そうだよ。前《さき》の武蔵権守興世という男だ」
「心得ました。何を申し入れて来たか、会ってやりましょう」
 不死人はのみこんで、すぐそこを退がって行った。
 客といっても、二十騎の同勢である。馬は厩に預かり、人間は控えに通し、そして興世王だけを、客殿に案内した。
「てまえは、相馬殿の御内《みうち》の者、八坂の不死人ですが」
 と、彼は、将門に代って、応対に出た。そしてさっそく、来意をたずねた。
 
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