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平の将門109

时间: 2018-11-24    进入日语论坛
核心提示:火魔と火の粉 右馬允貞盛は、国庁の内から、庭上における下総と常陸側の談判を、息をこらして覗いていた。「はてな。甲冑は着て
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 火魔と火の粉
 
 
 右馬允貞盛は、国庁の内から、庭上における下総と常陸側の談判を、息をこらして覗いていた。
「……はてな。甲冑は着ているが、あのよくしゃべっておる将頼の側の男は、たしかにどこか見覚えのある顔だが」
 彼は、それのみに、気を奪われていた。
「そうだ。——八坂《やさか》の不死人。あの純友一味の不死人にちがいない」
 そう思い出したせつな、彼は、身の毛がよだつような気がした。
 ひと頃、都では、群盗の首領として、魔魅《まみ》のような跳梁《ちようりよう》をほしいままにし、刑部省の獄中で死んだというような噂のうちに、その姿は洛中から掻《か》き消えていたが、年経つと、また現われて、空也念仏の人だかりへ、夜毎に不穏な流説を撒《ま》いたり、南海へ行ったり、またこの坂東地方を徘徊《はいかい》していたり——そして今日は将門方の軍使の一名となってこれへ臨んでいる。
 何という不可解な、そして変現に巧みな男だろう。天地を飛行《ひぎよう》するとか、神出鬼没とかいうのは、あんな男の事ではあるまいか。
「恐るべき奴が将門に味方している……」
 やがて、相互のいい分は、決裂したとみえ、維茂父子は、昂奮《こうふん》の醒《さ》めきれない面を硬めたまま、国庁の内へ戻って来た。
「帰りましたな。将門の使者共は」
「じつに乱暴ないいぐさだ。談合でも何でもない」
 維茂は、憤然と呟き、為憲は、充血した眼で、貞盛を見ながら、強いて苦笑して告げた。
「矢は放たれたも同じだ。一戦あるのみですよ」
「が、為憲どの。大丈夫か」
「その為に、ここ数ヵ月、兵馬も鍛えてある。奴らに負《ひ》けをとるものか」
「きょうの使者のうちで、ひとりでしゃべっていた男があったでしょう。あれに油断はなりませんぞ」
「藤原不死人とか、名乗っていたが、あれが何だというのです」
「南海の乱賊、藤原純友とも交わっている人物です。一時は、検非違使の手に捕われて、刑部省の獄中で死んだはずだが、それがまだ東国へ来て生きている……」
「純友の……?」と、維茂父子もその噂は聞いていないでもないが、南海の賊だの、純友といわれても、それは千里も先の別世界なものとしか心に響いて来なかった。
「そうだ、自分は……」と、貞盛は俄にその冷たい眉宇に意識的な意気を描いて、「——これから山越えして、下野《しもつけ》の田沼へ参ろう。かねてお味方を頼み入れてある田原藤太秀郷どのに、急をお告げして、援軍を仰がねばならぬ」
 半ばは、独り語のようにいい、庁の廊を急ぎ足に出て行った。
 従来、どんなばあいでも、決して、戦場には立たないで来た貞盛である。この日も、その要心が働いたのであろうが、彼としては、やや姿を消すのに、時を失したきらいがないでもない。
 なぜならば、時すでに、国庁の内は、すわ戦ぞ、将門が襲《よ》せて来るぞという声々に、何ともいえない恐怖の波がうねっていた。夜来、戦備は固めているはずなのに、いざとなると、やはり“将門恐怖”の心理が、騒然と、府官や兵の中に作用を起した。
 貞盛は、従者の控えへ駈けて行ったが、そこには牛浜忠太も他の郎党の影も見えない。
 庁の四門を見歩いても、恟々《きようきよう》たる守りの兵が、そそけ立った顔を鉄にくるんでいるのが騒《ざわ》めいているのだ。それを眺めると、彼も“将門恐怖”に囚《とら》われ出した。将門の敵愾心《てきがいしん》の執拗《しつよう》さ、その駆使する兵馬の迅《はや》さ、それは、かつて信濃路の千曲川に追い詰められたときも、いやという程、身を以てその経験を舐《な》めさせられている貞盛であった。恐いと思い出したら、世に誰よりも、将門の恐さというものを彼ほど知っている者はない。
 おびただしい兵馬や町の庶民が逃げ廻る間を、彼は心もそらに、仮のわが家まで帰ってみた。そしてしばらく休んでいると、忠太と郎党たちとは、かえって彼の姿が見えないのを憂えて、ここへ探しに帰って来た。
「旅だ、旅だ。山越えして、下野の田沼へ行くぞ。大急ぎで、旅装をせい」
 慌《あわ》ただしい事だった。彼も従者も、すべて狩衣の上に、甲冑《かつちゆう》を着こみ、平常とちがい、弓、長柄など、物々しく掻い持って、同勢二十余名、山の方へ急ぎ出した。
 するともう町の一角には、将門の兵が乱入していた。
 寡兵を以て、常陸の大軍へ当って来たので、その攻勢には、堤を切って落ちて来た濁流のような勢いがある。
 貞盛は、矢の中を、行き迷い、彼方此方と、西の山道へ出る安全な落ち口をさがし歩いた。
 そのうちに、民家の一部から、黒煙が揚がった。煙の下には必ず精悍《せいかん》なる将門方の兵馬が駈けてゆく。
 激戦は半日以上もつづき、やがて暮色も迫る頃だった。どうしたのか、まだ守りは崩れず、常陸勢の鉄兵の中に、安泰と見えていた国庁の内部から、味方の失火か、めらめらと、真っ赤な焔《ほのお》が上がり始めた。
 それは見るまに、官衙の廂《ひさし》から廂へ、大きな焔の波濤をなし、常陸勢は、たちまち混乱に陥ちてしまった。大書庫や貢税倉の棟からも、どす赤い焔が、唸りをたてて噴《ふ》き始めた。
「——裏切だ。味方のうちから、寝返った者があるぞ」
 火焔に染まった赤い大地を、こう呼ばわり呼ばわり、戟《ほこ》を躍らせながら、駈け廻っている、七、八人の兵があった。常陸方は誰あってそれを敵の忍びと疑っていなかった。ところが、やがて打ち破られた門から外へ向って、火《ひ》旋風《つむじ》と共に走り出して来たのを見ると、それは不死人が都から連れて来た手下の禿鷹《はげたか》、蜘蛛《く も》太《た》、穴彦などという一連の出没自在な剽盗《ひようとう》仲間であった。
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