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神州天馬侠75

时间: 2018-11-30    进入日语论坛
核心提示:魔人隠形の印    五 英気をやしなうため、宵《よい》のくちに、ほんのちょっと寝ておくつもりだった竹童《ちくどう》は、い
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 魔人隠形の印
 
    五
 
 英気をやしなうため、宵《よい》のくちに、ほんのちょっと寝ておくつもりだった竹童《ちくどう》は、いつか鼻《はな》から提灯《ちようちん》をだしてわれにもなく、大いびき。
 このぶんでほっておいたら、かならずや、夜が明けるのも知らずに寝ているにちがいない。
 ところが、好事魔《こうじま》おおし、せっかくの白河夜船《しらかわよふね》を、何者とも知れず、ポカーンと頬《ほ》っぺたをはりつけて、かれの夢をおどろかさせた者がある。
「あ痛《いた》ッ、アた、た、た、た!」
 ねぼけ眼《まなこ》ではねおきた竹童《ちくどう》は、むちゃくちゃに腹が立ったと見えて、いつにない怒《おこ》りようだ。
「おいッ、おいらをぶんなぐったのは、いったいどこのどン畜生《ちくしよう》だ、さアかんべんできない、ここへでろ、おいらの前へでてうせろッ」
 あまり太くもない腕《うで》をまくりあげて、そこへ|しゃちこ《ヽヽヽヽ》張ったのはいいが、竹童、まだなにを寝ぼけているのか、そこにいた人の顔を見ると、急にすくんで、膝《ひざ》ッ子のまえをかきあわせ、ペコペコお辞儀《じぎ》をしはじめたものだ。
「竹童、おまえは大そう強そうに怒《おこ》るな」
「はい……」
「どうした。おいらの前へでてうせろといばっておったではないか。なぐったわしはここにいる」
「はい、いいえ……」
「不埒者《ふらちもの》めがッ」
 なんのこと、あべこべにまた叱《しか》られた。
 もっとも、それはべつだんふしぎなことではない。いつのまにか、ここにきていた人間は、竹童《ちくどう》が小太郎山《こたろうざん》にいることとばかり思っていた、果心居士《かしんこじ》その人だったのだ。
 しかし、いくら飛走の達人《たつじん》でも、どうして、いつのまにこんなところへきたんだろうと、竹童はじぶんのゆだんをつねって、目ばかりパチパチさせている。
 けれど、なんとしても、このお師匠《ししよう》さまは人間じゃあない。ほとんど神さま、このおかたに会ってはかなわないから、三どめの大目玉をいただかないうちに、なんでもかでも、こっちからあやまってしまうほうが先手《せんて》だと、そこは竹童もなかなかずるい。
「お師匠さま。お師匠さま。どうもすみませんでございました。お使い先で、グウグウ寝てしまったのは、まったくこの竹童、悪いやつでございました。どうぞごかんべんなされてくださいまし」
「横着《おうちやく》な和子《わこ》ではある。わしのいう叱言《こごと》を、みんなさきにじぶんからいってしまう」
「いいえ、お師匠さまの叱言よけではございませんが、ひとりでに、じぶんが悪かったと、ピンピン頭へこたえてくるのでございます」
「しかたのないやつ」
 果心居士も竹童の叱言には、いつも途中から苦笑《くしよう》してしまった。
「けれど、叱言ではないが——そちも大せつな使者に立った者ではないか。なぜ、伊那丸《いなまる》さまのご先途《せんど》まで見とどけてくるか、あるいは、ひとたび小太郎山まで立ち帰ってきて、ようすはこれこれとわしに返辞《へんじ》を聞かせぬのじゃ」
「はい。ですからわたしは、しばらくここに寝こんでいて、夜中にみなさまがここをでる時、ご一しょについていって見ようと思っていたのでござります」
「たわけ者め。そのご一同がどこにいる?」
「えッ」
 竹童《ちくどう》は始めてあたりを見まわし、
「おや? もう子《ね》の刻《こく》が過ぎたのかしら、伊那丸《いなまる》さまもお見えにならず、忍剣《にんけん》さまも、……蔦之助《つたのすけ》さまもおかしいなあ、だれもいないや。お師匠《ししよう》さま、みなさまはもう戦《いくさ》にでておしまいなされたのでしょうか?」
「もう子の刻もとッくにすぎ、裾野《すその》の戦《いくさ》も一|段落《だんらく》となっているわ」
「アアしまった! しまった! すッかり寝こんでなにも知らなかった。お師匠さま、竹童はどうしてこういつまでおろかなのでござりましょう」
「どうじゃ。わしに打たれたのがむりと思うか」
「けっしてごむりとは思いません。これからこんなゆだんをいたしませんように、もっとたくさんおぶちなされてくださいまし」
「よいよい。それほどに気がつけば、本心にこたえたのじゃろう。ところで竹童、また大役があるぞ」
「もうたくさん寝ましたから、どんなむずかしいご用でも、きッとなまけずに勤めまする」
「む、ほかではないが、こよいの計略《けいりやく》は呂宋兵衛《るそんべえ》の妖術《ようじゆつ》にやぶられ、いままた、伊那丸《いなまる》さまはじめ、その他の旗本《はたもと》たちは人穴《ひとあな》の殿堂さして攻めのぼっていった。しかし、かれには二千の野武士《のぶし》があり、幾百の猛者《もさ》、幾十人の智者軍師《ちしやぐんし》もいることじゃ。なかなか七十人や八十人の小勢《こぜい》でおしよせたところで、たやすく嶮所《けんしよ》の廓《くるわ》は落ちまいと思う」
「わたくしもあのなかを見てきましたが、どうしてどうして、おそろしい厳重《げんじゆう》な山荘《さんそう》でございました」
「それゆえ、力で押さず、智でおとす。しかし、智にたよって勇をうしなってもならぬゆえ、わざと伊那丸さまにはお知らせいたさず、そちにだけ第二の密計《みつけい》をさずけるのじゃ。竹童《ちくどう》、耳を……」
「はい」
 とすりよると、果心居士《かしんこじ》は白髯《はくぜん》につつまれた唇《くちびる》からひそやかに、二言三言《ふたことみこと》の秘策《ひさく》をささやいた。
 それが、いかにおどろくべきことであったかは、すぐ聞いている竹童の目の玉にあらわれて、あるいは驚嘆《きようたん》、あるいは壮感《そうかん》、あるいは危惧《きぐ》の色となり、せわしなく、瞳《ひとみ》をクルクル廻転させた。
「よいか、竹童!」
 はなれながら、果心居士《かしんこじ》はさいごにいった。
「一心になって、おおせの通りやりまする」
「そのかわり、この大役を首尾《しゆび》よくすましたら、伊那丸《いなまる》さまにおねがいして、そちも武士《ぶし》のひとりに取り立てて得《え》さすであろう」
「ありがとうござります。お師匠《ししよう》さま、侍《さむらい》になれば、わたくしでも、刀がさせるのでござりましょうね」
「差せるさ」
「差したい! きッと差してみせるぞ」
 竹童は、その興奮《こうふん》で立ちあがった。
 しかし、かれのひきうけた大役とはいったいなんだろう。もとより鞍馬山霊《くらまさんれい》の気をうけたような怪童子《かいどうじ》、あやぶむことはあるまいが、居士《こじ》の口吻《こうふん》からさっしても、ことなかなか容易《ようい》ではないらしい。
 
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