日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 吉川英治 » 正文

神州天馬侠94

时间: 2018-11-30    进入日语论坛
核心提示:死地におちた雨ケ岳    一 富士《ふじ》川の名物、筏舟《いかだぶね》に棹《さお》さして、鰍沢《かじかざわ》からくだる筏
(单词翻译:双击或拖选)
 死地におちた雨ケ岳
 
    一
 
 富士《ふじ》川の名物、筏舟《いかだぶね》に棹《さお》さして、鰍沢《かじかざわ》からくだる筏乗《いかだの》りのふうをよそおい、矢のように東海へさして逃げたふたりのあやしい男がある。
 海口《うみぐち》へ着くやいな、しぶきにぬれた蓑笠《みのかさ》とともに、筏をすて、浜べづたいに、蒲原《かんばら》の町へはいったすがたをみると、これぞまえの夜、鼻かけ卜斎《ぼくさい》の屋敷から遁走《とんそう》した菊池半助《きくちはんすけ》。つれているのは、そのときゆきがけの駄賃《だちん》に、かどわかしてきた泣《な》き虫《むし》の蛾次郎《がじろう》だ。
 十五、六にもなりながら、人にかどわかされるくらいな蛾次郎だから、むろん、じぶんではかどわかされたとは思っていない。バカにしんせつで、じぶんを出世《しゆつせ》さしてくれるいいおじさんにめぐりあったと心得ている。
「蛾次郎、もうここまでくれば、どんなことがあっても安心だから、かならずしんぱいしないで元気をだすがいい」
 半助がふりかえっていうと、あとから宿《しゆく》のにぎやかさに、キョロつきながら、のこのこと歩いてきた蛾次郎、すこし口をとンがらせながら、
「元気をだせったッて、元気なんかでやしねえや、お侍《さむらい》さんはよく腹がすかないねえ」
「ははア、どうもさっきからきげんがわるいと思ったら、空腹《くうふく》のために、ふくれているんだな」
「だってゆうべッから、一ッ粒もごはんを食べないんだもの、それで今朝《けさ》になっても、まだ歩いてばかりいちゃあ、いくらおれだってたまらねえや」
「まて、もうすこしのしんぼうじゃ。向田《むこうだ》ノ城《しろ》へまいれば、なんでも腹いッぱい食《く》わせてやる」
「もうだめだ、アア、もう歩けない、なにか食《た》べなくッちゃ目がまわりそうだ……」
 なれるにしたがってそろそろ尻尾《しつぽ》をだしてきた蛾次郎《がじろう》は、宿場人足《しゆくばにんそく》がよりたかって、うまそうに立ち食《ぐ》いしている餅屋《もちや》の前へくると、ぎょうさんに、腹をかかえてしゃがんでしまった。
 半助はにが笑いして、いくらかの小銭《こぜに》をだしてやった。それをもらうと、蛾次郎は人ごみをかきわけてふところいッぱい焼餅《やきもち》を買いもとめ、ムシャムシャほおばりながら歩きだした。
 間《ま》もなく、ふたりのまえに見えた向田ノ城。
 ここの砦《とりで》には、富士、庵原《いはら》、二|郡《ぐん》をまもる徳川家《とくがわけ》の松平周防守康重《まつだいらすおうのかみやすしげ》がいる。菊池半助《きくちはんすけ》は、その人に会って、じぶんが探知《たんち》した裾野《すその》の形勢《けいせい》をしさいに書面へしたため、それを浜松の本城へ、早打ちで送りとどけてもらうようにたのんだ。
 書状《しよじよう》の内容は、徳川家《とくがわけ》の領内である富士の人穴《ひとあな》を中心に、裾野《すその》一帯の無人《むじん》の広野《こうや》に、いまや、呂宋兵衛《るそんべえ》だの、伊那丸《いなまる》だの、あるいは秀吉《ひでよし》の隠密《おんみつ》、柴田勝家《しばたかついえ》の間者《かんじや》などが、跳梁《ちようりよう》して、風雲すこぶる険悪《けんあく》である。はやく、いまのうちに味方の兵をだして、それらの者を、掃滅《そうめつ》しなければ一大事で。——という意味のものであった。
 その密談のあいだに、
「ちぇッ、ばかにしてやがら」
 城内の一室で、プンプンしていたのは蛾次郎《がじろう》である。もう焼餅《やきもち》を食《た》べつくし、腹はいっぱいになったが、まさか寝ることもできず、半助はいつまでも顔を見せないし、遊ぶところはなし、文句《もんく》のやり場のないところから、ひとりでブツブツこぼしている。
「いやンなっちゃうな。どうしたんだい、あの人は、向田《むこうだ》ノ城《しろ》へいったら、なんでも好きなものはやるの、うまいものは食いほうだいだのッて、いっておいてよ、ちぇッくそ! ばかにしてやがら、うそつき! 菊池半助《きくちはんすけ》の大うそつき!」
 腹いせにわめいていると、ふいに、そこへ半助がはいってきたので、さすがの蛾次郎も、これにはすこし間《ま》が悪かったとみえて作り笑いをした。
「蛾次郎、さだめしたいくつであったろう」
「ううん、そんなでもなかったよ、だけれど、菊池さんはいままでいったいどこへいってたのさ」
「その方《ほう》をりっぱな侍《さむらい》に取り立ててやりたいと、城主周防守《じようしゆすおうのかみ》さまとそうだんしてまいったのだ。どうだ蛾次郎《がじろう》、きさまもはやくりっぱな侍になり、堂々と馬にのったり、多くの家来をかかえて、こんなお城に住んでみたくはないか」
「うふふふふふ、おれをその侍にしてくれるのかい」
 蛾次郎は、目をほそくしてうれしがった。
「きっとしてやる。が、それには、ぜひなにか一つの手柄《てがら》をあらわさなければならん」
「手柄をあらわすには、どんなことをすりゃいいんだろう」
「その方法は拙者《せつしや》がおしえてやる。しかも蛾次郎でなければできぬことがあるのだ。これ、耳をかせ……」
 と半助《はんすけ》は、なにやらひそひそささやくと、蛾次郎は目をまるくして、あたりもかまわず、
「えッ、じゃあの竹童《ちくどう》の使っている大鷲《おおわし》を、おれがぬすんでくるのかい!」
「シッ、大きな声をいたすな。——そちはたしか、あの大鷲に乗せてもらった経験があるだろう」
「ある、ある。竹童が松明《たいまつ》をくれッていったから、それを持っていって、一晩じゅう、鷲に乗せてもらったよ」
「さすれば、あの小僧《こぞう》が鷲をつないでおくところも、鷲の背に乗ることも、そちはじゅうぶんに心得ているはず——じつは近いうちに、あの辺で大きな戦《いくさ》がおきるのだ、そのさわぎに乗じて、竹童の鷲《わし》を徳川家の陣中へ乗りにげしてくれればそれでよいのだ。なんと、やさしいことではないか」
「だけれど、……もしかやりそこなうと大へんだな、竹童ッてやつ、ちびでもなかなか強いからな」
「蛾次《がじ》ッ」
 半助がこわい目をしたので、かれは、ギョッとして飛びのいた。
「いやといえばこれだぞ——」
 ギラリと脇差《わきざし》をぬいて、蛾次郎《がじろう》の鼻ッ先へつきつけた菊池半助は、また、左の手で、袂《たもと》からザラザラと小判《こばん》をつかみだして、刀と金をならべてみせた。
「おうといえば褒美《ほうび》にこれ。イヤといえば刀で首。さアどっちでもよい方《ほう》をのぞめ」
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%