日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 吉川英治 » 正文

松のや露八21

时间: 2018-11-30    进入日语论坛
核心提示:夏去り秋来る三 まさかと思っていた縁談を、叔父は、足を惜しまず運んでいた。一月後には、もう、見合いをせいと云うのだった。
(单词翻译:双击或拖选)
 夏去り秋来る
 
 
 まさかと思っていた縁談を、叔父は、足を惜しまず運んでいた。一月後には、もう、見合いをせいと云うのだった。
 庄次郎は、驚いて、
「嫁などは、まだ——」
 と、受けつけない返辞をしたが、叔父の鉄之丞は、
「何が、まだじゃ。カビが生えるぞよ」
 と、これも、庄次郎の生返辞《なまへんじ》を、うけつけない。
「二十七にもなって、女が、欲《ほ》しゅうないなどと云っても、わしは、うなずかん。持て、持て、八十三郎も後口《あとくち》にひかえているに、貴様が、いつまで、部屋住《へやずみ》では困る」
「よく考えまして」
「馬鹿じゃの、妻をもち、一家をなし、子孫の計をする、人倫の大道じゃないか。考えることがいるか。痩《や》せ我慢するな」
「我慢では、ございませんが」
「いつまで、独身でいると、そういう風に、卑屈になる。女が欲しいと、なぜ云わん。ま、わしにまかせろ」
 と、いったような調子で、いや応、云わせないし、事実、庄次郎も、女の欲しいことは山々だったので、
「では、何分」
 我《が》を折ると、
「娶《もら》うか。よしよし。善は、いそげだ、早速がいいぞ。先方は、いつでも、見合いをすると云うが、何日《い つ》がいいかの」
「見合いには、及びません。叔父上のお目鑑《めがね》で」
「そうはいかん。見て、損はないぞ」
「娶うと、決めた以上は」
「後になって、不服は云わぬか」
「申しませぬ」
「ならば……よかろう。いや、貴様も、存外、偉いところがある。女房など、見て、わかるものじゃなし、娶ったが勝負、籤《くじ》をひくも同じこった。じゃ、わしが何もかも一任されよう」
 話は早い。
 そういうことにかけて、半町人肌の叔父は、気さくで、親切で、苦労人だった。
 結納《ゆいのう》、日どり、すらすらと運んで、婚礼は、すず風の立ち初《そ》める、秋の九月と決まった。
 弟の八十三郎が、時々、外から何か聞き囓《かじ》って来ては、
「兄上、照子どのは、千蔭流《ちかげりゆう》の書もよく書くし、薙刀《なぎなた》も、だいぶ習ったそうです。それに、何よりは、淑《しと》やかな婦人だそうですから、きっと、お気にいるに違いない。お楽しみですな」
 などと、兄のこのごろの無口を、善意に、揶揄《からか》ったりした。
 だが、庄次郎の無口は、決して、衒《てら》いではなかった。待ち遠しくも、欣《うれ》しくもないのである。そして、一日ごとに板新道のお喜代の姿が、胸の中で、呼吸しているように、育っていた。
 気のすすまない婚礼が、もう明日《あした》に迫っていた。その取混《とりこ》みの中に、
「若旦那、お手紙でございます」
 庭ごしに、飛脚屋から受け取ったのを、中間の重助が、窓口から手をのばして、机に、ぽかんと、頬杖《ほおづえ》をついている彼の前へさし出した。
 手紙は、二ほん。
 一通は、渋沢栄一からの御直披《ごちよくひ》とある厳《いかめ》しい書面だった。
 中を見ないうちから、
(来たな! 金の催促だ)
 はたと、当惑して、そのできない算だんに混濁した頭脳《あたま》のまま、逃げるように、手は、もう一通の方の封を、先に、切っていた。
 ひらいてみる。
 これは、やさしい女文字で、短い走り書の末に、
 ——板じん道にて、お蔦。
「ちっ」
 二つの忌々《いまいま》しさを見較べて、庄次郎は、鉛みたいな顔をした。せめて、片方の名が、お喜代とでもあったら、このごろの不愉快な日は、いくらか、慰められるだろうにと、思ったりした。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%