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今日からマ王13-1

时间: 2018-04-30    进入日语论坛
核心提示:     1「よくお似合いです」 息子の同級生に褒められて、渋谷美子《しぶやみこ》は不覚にも頬《ほお》を赤らめた。「やー
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「よくお似合いです」
 息子の同級生に褒められて、渋谷美子《しぶやみこ》は不覚にも頬《ほお》を赤らめた。
「やーだわ、健《けん》ちゃんたら! お世辞まで高学歴なんだからー」
「お世辞じゃないですよ。ちょっとレトロな柄が、大正ロマンて感じ」
 本音だった。友人の母親のご機嫌《きげん》を伺《うかが》っている余裕《よゆう》はない。ここへ辿《たど》り着くまでに教師を四人、中学時代の知人を一人、騙《だま》して来たのだ。嘘《うそ》をつくのに疲《つか》れている。
「あ、でも、でもね、あたしだって年甲斐《としがい》もなく振《ふ》り袖《そで》着ようなんて思ってたわけじゃないのよ? だってさすがに図々《ずうずう》しいじゃない、四十過ぎの人妻だもの。ただちょっと、そろそろ冬物を出そうかなあなんて押入《おしいれ》をチェックしてたら、若い頃《ころ》の着物を見つけちゃったの。若い頃はこんな可愛《かわい》らしい色も着られたのねーなんて感慨《かんがい》にふけってたら、羽織ってみてもいいんじゃないっていう悪魔《あくま》の囁《ささや》きが……」
 横浜《ハマ》のピンクパンサーこと渋谷母はサラリと言ってのけた。もちろん現在だって昔以上に可愛い服を好んで着ているのだが、そういう事実は棚上《たなあ》げだ。
 村田《むらた》が学園祭真っ最中の自分の高校から地元へ帰り着いたときには、既《すで》に午後五時を回っていた。タクシーが拾えず駅から走ったので、晩秋だというのに眼鏡《めがね》が曇《くも》っている。ピンポンダッシュかという勢いで渋谷家の呼び鈴《りん》を押すと、あぁら健ちゃんと脳天気な返事で顔をだしたのが、大輪の百合《ゆり》をあしらった着物姿の美子だった。
「娘《むすめ》が生まれて大きくなったら譲《ゆず》ろうと思って、今日まで箪笥《たんす》の肥やしにしてきちゃったんだけど、皮肉なことに育ったのはがさつな男の子二人。人生ってうまくいかないものね。こうなったらゆーちゃんに彼女ができて、その子がお嫁《よめ》さんにきてくれるまで待つわ。ああでもお嫁にきちゃったら、やっぱり振り袖は図々しいかしら。んー、けど二十代ならギリギリオッケーよねっ?」
「ギリギリどころか充分OKだと思います。それ以前に渋谷の彼女に譲らなくても、ジェニファーさんがこのままお召《め》しになっても構わないと思います」
 体温で曇ったレンズを制服の袖で拭《ぬぐ》いながら、村田は愛想《あいそ》よく応《こた》えた。だが言葉にださない胸の内では、事情を説明していない友人に舌打ちをする。
 渋谷、きみはどの辺まで家族に明かしてあるんだ?
 母親のこの浮《う》かれた様子からすると、美少年と婚約《こんやく》が成立している現実を話してあるとは思えない。いくら天使の如き可愛らしさとはいっても、相手は歴《れっき》とした男だ。しかも城に戻《もど》れば養女がいて、十六歳にして未婚の父も兼ねているらしい。
 そんな衝撃《しょうげき》の事実を報《しら》されたら、ここの家族はどんなに面白《おもしろ》……いやショックを受けるだろうか。と、渋谷有利《しぶやゆーり》の秘密を分かち合う男、村田健は思った。なるべく僕からは話さないでおこう。息子《むすこ》自身の口から衝撃の事実を語られたときの、一家の反応が見たいから。
「ところで健ちゃん、ゆーちゃんはどうしたの? 今日は一緒《いっしょ》じゃなかったの?」
「そのことなんですが、奥さん!」
 大好きなサスペンスドラマ口調に、渋谷母は両手を握り締《し》めて眉を顰《ひそ》めた。
「ど、どうしたの?」
「同じ中学出身の女子と意気投合して、現在、勝負カラオケ中」
「勝負カラオケ!?」
「そーです。尾崎豊《おぎきゆたか》とか歌っちゃいます」
「古っ! あ、ごめんなさい。えー、えー、えーそうなの? あの各球団の応援歌しか知らないようなゆーちゃんが? 『私を野球に連れてって』をラブソングだと信じて疑わないゆーちゃんが? 変われば変わるものねえ」
「その気になれば『マイ・ウェイ』も歌います」
「当然、加山雄三《かやまゆうぞう》バージョンよね!」
 とにかく、今夜は成果を報告しに村田の所に寄ると言っていたから、有利は帰らないかもしれない、時間に余裕があったら着替《きが》えを持ってきてくれと頼《たの》まれたのだと、なるべく手短に説明する。いつもと逆のケースに少し驚《おどろ》いたようだが、渋谷母はあっさり納得《なっとく》して村田を通してくれた。
 通い慣れた家の階段を登り、廊下《ろうか》の突《つ》き当たりの扉《とびら》に向かう。勝手知ったる他人の部屋だ、どこに何があるか大体は判っていた。目的の物を探しだすのにそう時間はかからないだろう。
 真鍮《しんちゅう》のドアノブを捻《ひね》ろうとする。
「待てよ」
 手首を強く掴《つか》まれた。友好的とはいえない力具合だ。
 視線を上げるとそこには渋谷兄がいた。村田は慌《あわ》てず騒《さわ》がずにっこり笑う。
「やあ、お兄さん、コンニチ……」
「お前にお兄さん呼ばわりされる筋合いはないね、弟のオトモダチ」
 この家の長男である渋谷勝利《しょーり》は、次男の部屋の門番代わりだったようだ。縁《ふち》が光りそうなレンズの奥で、不愉快《ふゆかい》げに両目を眇《すが》めている。似てない兄弟とまではいかないが、雰囲気《ふんいき》はまるで違《ちが》っている。
 怯《ひる》むことなく微笑《ほほえ》み返し。
「大人げないなあ、友達のお兄さん。もう立派な大学生でしょうに」
「高校生はガキだから留守中の他人の部屋に入ってもいいってのか? まともな常識のある奴《やつ》なら、空き巣みたいな真似《まね》はしないだろ」
「空き巣だなんて、人聞きの悪い」
「安心しろ、誰《だれ》も聞いてない。誰かいたらもっと笑顔で相手してやるけどな。本来なら、人当たりのいい男なんだよ俺は」
 物腰柔《ものごしやわ》らか、成績優秀《ゆうしゅう》、現役《げんえき》一橋大学在学中のご近所でも評判の優等生。それが渋谷勝利の表の顔だ。弟の口から聞くところによると、頭はいいがギャルゲー好きのプチ変人らしい。いずれにしろ熱血野球少年の次男坊《じなんぼう》とは一八〇度違う。
「家捜し《やさが》するならゆーちゃ……うちの弟のいるときにするんだな。そういやお前、ゆーちゃんはどうした。まさか見知らぬ場所に残して帰ってきたんじゃなかろうな」
 おまけに筋金入りの弟コンプレックスだ。
「渋谷は久々に会った中学時代の知り合いと意気投合して勝負カラオケに……」
 もちろんこれも嘘だ。
 実際には、寒いプールで溺《おぼ》れかけたウォーター・オールド・ボーイズを救助する途中《とちゅう》、原因不明の水流に飲まれて消えてしまったのだ。恐《おそ》らくあちらの世界に飛ばされたのだろう。村田としては時期尚早《しょうそう》だと感じたが、有利自身が強く願っていたのだから仕方がない。
 だが今回は、その先に不安が待ちかまえていた。
「……戻ってこないんだよね」
「何が、誰が?」
「渋谷だよ」
「はあ? お前いま中学の知り合いとどうとかって言っただろ。戻ってこないってどういうことだよ!?」
 あちらの世界で何カ月が過ぎていようとも、いつもなら間を置かずに還《かえ》ってくる。姿を消しているのはほんの数分間で、周囲に怪《あや》しまれるまでもなく、沈《しず》んだのと近い場所で発見された。まあ時々、紐《ひも》パンなんか履《は》いていたりはするが。
「五分待っても十分待っても、戻ってくる気配がないんだ」
「あれは大体三十分単位だからな」
「カラオケの話じゃないって!」
 友人の兄のあまりに呑気《のんき》な様子に、村田は壁《かべ》を叩《たた》きたくなった。渋谷はどこまで明かしているんだ、例えば魔族《まぞく》であることを親兄弟に打ち明けるものだろうか。自分の場合を考えてみると、ダイケンジャーな魂の遍歴《へんれき》など全く誰にも言っていない。でもこの家は確か、父親からして地球の魔族だったはずだ。だったら違和感《いわかん》なくお茶の間の話題に……。
「……するわけないよな、自分が魔王だなんて」
「魔王?」
 奇妙《きみょう》なものでも見るような目で、渋谷勝利は腕《うで》を組み直した。
「魔王なんて信仰《しんこう》する奴が、ボブ以外にいるとは驚きだ」
「信仰じゃないよ、宗教的存在じゃないんだから……何だって!?」
 勢いよく顔を上げ、相手の服を掴《つか》んで揺《ゆ》さぶる。
「何だって? 今なんて言った、ボブって言ったのか!?」
「おいっ」
 世界中にボブはごまんといる。ボブといったってボブ・ディランかもしれないし、ぼ[#「ぼ」に傍点]くブ[#「ブ」に傍点]ラえもんの略かもしれない。数%《パーセント》の確率だが、ボボ・ブラジルの愛称《あいしょう》かもしれない。村田、お前って本当は何歳? と有利のツッコミが聞こえた気がした。
 しかしこの特殊《とくしゅ》な家庭の長男の言葉にならば、あの[#「あの」に傍点]ボブの名前が上っても不思議ではない。
「ボブと知り合いなのか!? だったら今すぐ連絡《れんらく》をとってくれ。今何処《どこ》にいるか判《わか》る? 非常事態なんだ、彼の助けが欲しい」
「ちょっと待て、めめめ眼鏡が顔から落ちるだろッ! 何だお前、いきなり来てボブボブボブボブと。連絡とれだー? 俺はガキの秘書じゃないっての。大体な、ゆーちゃんはどうしたんだよ、ゆーちゃんは!? それがはっきりするまで手助けなんかするか」
 村田は一回深く息を吸い、唾《つば》を飲み込んだ。
「本当に聞きたい? 知らないほうがいいかもしれないよ」
「兄弟のことを聞きたくない人間がいるか」
「本当にリトルブラザー・コンプレックスだな!」
 笑いだしたいような気分で、村田は猛《もう》スピードで計算を始めた。どこからどこまで話せばいいのか、大急ぎで判断しなければならない。
「喋《しゃべ》ったらボブに連絡してくれるね?」
「考えないでもない」
 記憶《きおく》を遡《さかのぼ》ってみると、ボブと最後に会ったのは前の、更《さら》にその前の代だ。第二次世界大戦には、既《すで》に壮年《そうねん》の域に達していた。考えてみれば村田健が生まれてからは、まだ一度もボブに会っていない。
 それもこれも地球産魔族と連《つる》んでばかりいて、こっちに接触《せっしょく》しようとしない彼が悪い。
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