日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 喬林知 » 正文

今日からマ王13-3

时间: 2018-04-30    进入日语论坛
核心提示:     3 湿《しめ》った石段を大股《おおまた》に降りてくる靴音《くつおと》がする。 この場所まで兵士が来るのは何日ぶ
(单词翻译:双击或拖选)
      3
 
 湿《しめ》った石段を大股《おおまた》に降りてくる靴音《くつおと》がする。
 この場所まで兵士が来るのは何日ぶりだろう。光もろくに差し込まない地下牢《ろう》の苔生《こけむ》した石床には、縁《ふち》の欠けた椀《わん》が一つだけ置かれていた。半分ほど残された中の水は、随分《ずいぶん》前から嫌な臭《にお》いを放っている。
 階段の終わり、城の最下層にある格子《こうし》戸が軋《きし》む音に続き、二人分の足音が徐々《じょじょ》に近付いてきた。一つは聞き慣れた軍靴《ぐんか》のものだが、もう一方は牢番の歩き方ではなかった。踵《かかと》の材質も本人の体格も違《ちが》うのだろう。囚人《しゅうじん》の首を斬《き》りにきた処刑《しょけい》人か、あるいは新たに捕《つか》まった同胞《どうほう》かもしれない。
 途切れがちな意識でそこまで考えたが、男はじめついた石床に横たわり、扉《とびら》に背中を向けたまま動けなかった。度重《たびかさ》なる尋問《じんもん》と暴行で衰弱《すいじゃく》しきっていたのだ。たとえ四肢を拘束《こうそく》されていなくとも、とても逃げられはしなかったろう。
 錆《さ》びた蝶番《ちょうつがい》が耳障《みみざわ》りな金属音をたて、地下牢の扉が開かれた。松明《たいまつ》のものらしき揺《ゆ》らめく光が、濡《ぬ》れて変色した床を照らす。
「ああ、こいつだ」
 どこかで耳にした声だと思ったら、何の手加減もなく背中を蹴《け》られた。呻《うめ》いて俯《うつぶ》せになると、今度は爪先《つまさき》で脇腹《わきばら》を蹴られ、転がった身体《からだ》が正面を向く。
「やれやれ」
 男は左手に明々と燃える松明を掲げ、可笑しそうに呟《つぶや》いた。
「やっぱり死んでねえな」
「……ア……」
 囚人は唇《くちびる》を動かしかけてやめた。どうせ声になどなりやしないからだ。
 霞《かすみ》のかかった視界には、橙《だいだい》の炎《ほのお》に、金の髪《かみ》が輝いている。
「おい、知らん顔してお寝んねかよ? こんな最下層の地下牢まで来るために、オレがどれだけ罪を重ねなきゃならなかったと思ってるんだ?」
 番兵を従えた長身の男、アーダルベルト・フォングランツは、場にそぐわない楽しげな声で続けた。
「無銭飲食だろ、城内の器物損壊《そんかい》だろ、焼き菓子《かし》の無許可販売《はんばい》・飲み物つきだろ?」
 そんな軽犯罪者と、国家騒乱《そうらん》罪の首謀者《しゅぼうしゃ》を、同じ房《ぼう》に入れるものか。
「それにしても酷《ひど》い有様だ。どこの国でも囚人てのはこんなもんかね」
「この男はサラレギー様のお命を狙《ねら》った大罪人だ、他《ほか》とは違う」
 番兵が、憤慨《ふんがい》したように答えた。どこにも嘘《うそ》はなく、心からそう信じている声だ。
「だがいくら尋問しても仲間の名を吐《は》かない」
「紳士的な尋問か? 興味あるな。だがこいつは、ついこの間まで軍の上層部だった人間だろう。転落というのはあっという間だな」
 アーダルベルトは膝を折ってしゃがみ込み、話を聞こうともしない男の顎《あご》を掴んだ。無精髭《ぶしょうひげ》に覆《おお》われている。以前は綺麗《きれい》に刈《か》り上げられていたものだが。本来なら小シマロン軍人としてあるまじきことだ。
「確かにこいつだ、貰ってくぜ」
「そんな、話が違……」
 慌てて取りすがる番兵は、腕《うで》の一振《ひとふ》りで鉄格子に叩《たた》きつけられた。ついでという風にもう一度囚人の腹を蹴飛ばしてから、アーダルベルトは芋虫《いもむし》状に縮こまる身体を担《かつ》ぎ上げながら言った。男にとっては聞き慣れた口調だ。
「そうだ、お前の喜びそうな話がひとつある。聞きたいか?」
「……どう……」
 どうでもいいと答えたつもりだった。だが相手はやめない。やめないところも以前のままだ。
「お前等を出し抜いた王様の乗った船だが」
 ぎくりと、我知らぬうちに背筋が跳《は》ねた。自分で招いた痛みに呻く。
「ありゃあ駄目《だめ》だ。難破するな」
「何故《なぜ》!?」
「おや、嬉《うれ》しかねえのかよ」
 思ったよりも深刻な声がでてしまったらしい。
 そういえば、ずっと昔にもこんなことがあった。
 それがどんな状況《じょうきょう》だったかを思い出す前に、ナイジェル・ワイズ・マキシーンは意識を手放してしまっていた。
 
 そんな胡散臭《うさんくさ》い話を信じる阿呆《あほう》がいるか。
 携帯電話を肩《かた》に載《の》せて、渋谷勝利はわざとらしい大声をだした。弟の友人が告げた衝撃《しょうげき》の事実を、脳味噌《のうみそ》の中で反芻《はんすう》しながら。聞こえているのは単なる時報だ。
「もしもしサップ? 俺俺、俺だけどさー」
 案の定、村田健が喰《く》いついてくる。冗談《じょうだん》を冷笑《れいしょう》で受け流す余裕《よゆう》がないらしい。
「僕が頼んだのはそっちのボブじゃないよ。大体ね、ロボット警官相手にオレオレ詐欺《さぎ》ふっかけてどうしようってのさ」
「……お前、そりやロボ・コップだろ」
「ロボでもボロでもミルコでもフランシスでもどうでもいいから、早いとこボブに繋《つな》ぎをつけてくれ。そっちだって弟の安否は気になるだろう、友人のお兄さん。頼むよ、同じ眼鏡《めがね》組仲間じゃないか」
「萌《も》えねーな。眼鏡っ娘倶楽部《こくらぶ》とかなら萌えるんだけどな」
 小煩《こうるさ》いガキに辟易《へきえき》しながらも、アドレス登録の「ボ」の欄《らん》を目で追う。凡田鉄郎(友人)、ボストン屋(居酒屋)、ボーリング大将(ボーリング場)、ボリス・アカデミー(留学生)。
「ボブ、ボブ……っと。いいかムラケン、通じなかったらそれでやめっからな。国内にいなけりゃ俺のケ一夕イは繋がらないし、あっちのだってヨーロッパは非対応なんだから」
「それでいいよ。構わないからとにかくかけてくれ」
「まったく。子供はおとなしくメールでもしてやがれって……」
 勝利の文句はいきなり途切《とぎ》れた呼出音で終わった。何故だか凄《すご》い雑音の向こうから、陽気なアメリカ人の挨拶《あいさつ》が聞こえる。運が悪い、捜《さが》していた相手に繋がってしまったのだ。
『やあシブーヤ! 久し振《ぶ》りだな。どうしたんだねこんな時刻に』
「ボブ!? あんたいったい何処《どこ》に居るんだ!」
 ヒューだの、ぱぴぱぴーだのと喧《やかま》しい。機種が古いのか、周囲の音をひろいまくりだ。リズミカルな太鼓《たいこ》も聞こえてくる。
『その声はジュニア、ジュニアだな? おーぅひーほーぉ! 私は今、サンバの真っ最中なのだよ! 歌おうサンバ、踊《おど》ろうサンバ』
 ブラジル? 勝利は携帯電話を持ち直した。
「ジュニアって呼ぶな、あんたの息子じゃないんだから。それより今リオか、リオデジャネイロにいるのか?」
『いいやショーリ、現在地は……商店街だ。昨日から商工会の催《もよお》しで……商店街ご利用のカーニバルに参加しているのだよ。はひゃっほーぅ! サンバのリズムで皆《みな》、安産』
「駄酒落《だじゃれ》かよ!? しかも日本語で。あんたの行動範囲《はんい》は一体どうなってんだ」
 渋谷家長男は電話口で舌打ちした。こんなふざけたグラサン野郎《やろう》に牛耳《ぎゅうじ》られていて、世界経済は大丈夫《だいじょうぶ》なのだろうか。しかもこのおっさんが全世界の魔王《まおう》だというのだから、地球の未来も高が知れている。
「ボブ、ボブ出た? ボブ本物出た?」
 隣《となり》では村田がレンズを輝《かがや》かせて待っている。松茸《まつたけ》の初物でも見つけたみたいな反応だ。
「あー、実は今ここに村田っていうガキが来てるんだけどー。しかもどうも熱烈《ねつれつ》にあんたを求めてるみたいなんだけどね」
『ムラタ? 誰《だれ》だ……』
 サンバカーニバル中のアメリカ人が記憶《きおく》を手繰《たぐ》るより先に、村田は勝利から携帯を奪《うば》ってしまった。通話口に向かって叫《さけ》びながら、見えない男に手を振った。
「ボブ? アンリだ。正確に言えば違《ちが》うけど、こう名乗ったほうが判《わか》りやすいだろう」
 また知らない名前が飛びだして、勝利は眉《まゆ》を顰《ひそ》める。
「そう、アンリ・レジャンだ。ていうか今は村田健。ムラケンとしては初めまして」
 やっぱり初対面だったのか。自己紹介が仏語で、その先はなんと、流暢《りゅうちょう》な英語だ。偏差値の高い友人とは聞いていたが、英語までぺらぺらだとは思わなかった。
「いきなりで悪いんだけどねボブ。誰か、あちらへ行く手助けになる人を貸して欲しいんだ。人がなければ物でも場所でもいい。ウェラー卿《きょう》が往《い》き来した時の場所とか、地球に喚《よ》ぶ時に一役買った実力者とかいるだろう?」
 向こうの世界と地球を往き来した男の話なんぞしている。あっちと地球だぜ? あちらって何処だ、火星か金星かよ。亜《あ》空間通路でも抜《ぬ》けて異世界に行くのかよ。宇宙暦《れき》をカウントし始める前に、スタートレックの時代がきてしまったのか。弟が行方《ゆくえ》不明な理由を聞かされたとき、勝利はそう思って訊き返していた。
「はあ? ナニそれじゃ、ゆーちゃんは宇宙船にも小型カプセルにも乗らず、生身でワームホールを通り抜けたと」
「そういうこと。ワームホールじゃないし、最初は水洗トイレからだったけどね」
「ふざけんな、寝言《ねごと》は寝て言え」
「寝言じゃないんだよ、友達のお兄さん」
 十六年間、自分の元にいた弟が、実は異世界の大国の王様だなんて。しかも没落《ぼつらく》した王家の末裔《まつえい》とかいうロマンチックな話ではなく、強大な力を持つ種族の魔王だなんて、到底《とうてい》信じられる話ではない。そんな夢物語を意外とあっさり納得《なっとく》してしまうのは、子供の頃《ころ》に父親が地球産魔族であると報《しら》された上、地球の当代魔王に後継《こうけい》を迫《せま》られている人間くらいだ。
 つまり、俺。
 勝利はパソコンデスクの上にあったラベルシールを右手で軽く握《にぎ》り潰《つぶ》した。ヘビースモーカーだった曾祖父《そうそふ》なら、一服して気分を落ち着かせているところだ。
 煙草《たばこ》は吸わない。家族にスポーツマンがいるから。副流煙が弟の成長の妨《さまた》げになったら、それこそ自分で自分を責めてしまいそうだし。
「だからボブ、いつもは二、三分で戻《もど》ってきてたんだ。あっちのピー時間では何日も過ぎてたけどね。あのピー忌々《いまいま》しいスタツアしたのと同じ地点に、ピー紐《ひも》パン履《は》いてぽっかり浮《う》かんでたんだ。それが今回ばかりは十分経《た》っても二十分経っても……」
 他人の携帯電話を握り締《し》めて、村田は珍《めずら》しく声を荒《あら》げている。
 そこらの高校生が、アメリカ人相手に、流暢な英語で話しているのは凄い。しかし黙《だま》って聞いていると、どうにも汚《きたな》い言葉が多い。言ってはいけない四文字や排泄《はいせつ》物やらが頻繁《ひんぱん》に飛びだす。日本の高校生がどこでそんな俗語《ぞくご》を覚えてきたのだろうか。放送禁止音《ピー》の連発で聞き苦しい。
「おい、もっと美しい英語を使え。糞《くそ》とか腐《くさ》れとか言うんじゃない」
 年長者の警告にも、弟の同級生はちらりと目を遣《や》っただけだ。
「何でもない。蚊帳《かや》の外にされてジュニアがちょっと苛《いら》ついているだけだよ。それより問題は僕がどうやって向こうに行くかだ。前回は渋谷の……有利だ、リトルのほう。彼の存在を要領よく手繰り寄せたら、案外簡単に移動できた。楽なものだったよ、彼は特別だし、魔力《まりょく》が強いから。彼自身が気付いていないだけで、有利はもう自分の力で往き来しているんだ。あらゆる条件とタイミングが合えば、自力でどうにかできるんだ。体力とか気力の充実《じゅうじつ》は必要だけどね。けど今回は深刻だ。どんなに彼の意識や魂《たましい》を掴《つか》もうとしても届かないんだ。僕の探知できる範囲内には、渋谷と思《おぼ》しき魂が存在しない。こんなのは初めてだ。人間の土地でもどうにか感知はできたのに。どんな強い障壁《しょうへき》に阻《はば》まれているのか、それとも本当に魔族の力の及《およ》ばない場所へ、唆《そそのか》されて行ってしまったのか」
「おい」
 勝利の呼び掛《か》けなど聞きもせず、村田は電話に向かって否定の意味で首を振った。日本人だなと痛感する瞬間《しゅんかん》だ。
「向こうの魔族に属する物? どうだろう……ああ一つだけ心当たりがある。鷲《わし》か鷹《たか》を象《かたど》った金の細工物だ。一番最初に有利が身に着けてた」
「おーい」
 新作ゲームの予約特典のカレンダーが、メモ代わりに使われている。まあいいだろう、些細《ささい》なことだ。
「……うんメキシコ……その近辺だろうね。ロドリゲスの勤務地は把握《はあく》してるかい?」
 我慢《がまん》ならずに客から携帯電話を引ったくり、勝利は教科書どおりの受験英語で捲《まく》し立てた。
「ボーブ、ロバート! 俺が行く方法も教えてくださいプリーズ。ヒーイズ俺のブラザーですよ。どう考えても俺が行かないのはおかしいだろが。有利は俺の弟だ。ここ数カ月連《つる》んでただけの俄《にわか》親友に、大事な兄弟を任せるわけにいかねーだろっ!?」
 返事は質問に見合った堅苦《かたくる》しい言葉だ。
『残念だがショーリ、きみには無理だ』
 何故《なぜ》と問い返す声が震《ふる》える。濃紺のプラスチックを握る手にじっとりと汗《あせ》が滲《にじ》んでいる。
『きみは純粋《じゅんすい》にこちらの存在だ。血も肉も、繰《く》り返し生きる魂も、本来地球にある要素だけでできている。太古の昔に分かち合った細胞《さいぼう》も、何世代、何十世代と生きる内に、限りなく純血に近くなる。先方に属する要素を持たない者は、多少の力では移動できない。強い、大きな力が必要だ』
「多少って……じゃあどれくらいの衝撃《しょうげき》があれば異世界とやらに行けるんだ。もの凄《すげ》え高い所から落ちればいいのか? 都庁とか、ランドマークタワーから。それとも爆弾《ばくだん》か。核《かく》か? 核兵器の爆発で吹《ふ》っ飛《と》ばされれば、有利のいる馬鹿《ばか》げた世界に行けるのか」
 向こうで長めの沈黙《ちんもく》があった。背後の騒音《そうおん》はとっくに遠ざかり、電波の途切れかける不快な音が入るばかりだ。
「ロバート」
『……残念だが』
 終了ボタンも押さないまま、携帯を床《ゆか》に叩《たた》きつけた。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%