[書き下し文]子、四つを絶つ。意なく、必なく、固なく、我なし。
[口語訳]先生は四つの事柄を完全に絶ち切っていた。私意を働かさず、強請をせず、固執もせず、我を張らなかったのである。
[解説]儒教の始祖である孔子は、仏教の始祖である釈迦(ゴータマ・シッダールタ)にも似て、『諸法無我』のような境地にも達していたようである。個人的な欲求や強制というものを孔子は遠ざけており、何か特定の事柄に対して絶対に譲らないというような固執を見せることも殆どなかった(『礼』や『仁』など重要な徳目を除いてはこだわりがなかった)。