[書き下し文]子、匡(きょう)に畏わる(おそわる)。顔淵後る(おくる)。子曰く、吾汝を以て死せりと為せり。曰く、子在す、回敢えて何ぞ死せん。
[口語訳]先生が、匡の地で賊に襲撃された時に、顔淵が集団からはぐれて遅れてしまった。後で顔淵と再会した時に、先生がおっしゃった。『私はお前が死んでしまったものと思っていた。』。顔淵が言った。『先生が生きておられる限り、私がどうして死ぬことなどあるでしょうか。』。
[解説]孔子たち一行は、匡において突然賊軍の襲撃を受けて四散してしまうが、その時に孔子と顔淵は離れ離れになってしまった。顔淵が賊に討ち取られて死んでしまったと思い込んでいた孔子だったが、その後に顔淵と再会してお互いに喜びと感動を噛み締めあったのである。