これは、この二宮金次郎の少年時代のお話しです。
 相模国(さがみのくに→神奈川県)に生まれた金次郎は、とても貧しい農家の長男でした。
 とても貧しかったので、その日の食べる物にも困っていました。
 そこで仕方なく、末の弟を親戚の家に出す事になったのです。
 その夜、お母さんは息子の金次郎に泣きつきました。
「金次郎。わたしはやっぱり嫌だよ、あの子を親戚にやるなんて」
 それを聞いた金次郎は、お母さんに言いました。
「わかりました。明日からは、わたしが人の二倍働きます。だから弟は、すぐに帰してもらいましょう」
「ああ、金次郎。すまないねえ」 
 金次郎は弟が帰って来ると、前よりもっと働かなければなりませんでした。
 朝早くからたきぎを拾って町で売り、それが終わると夕方まで畑を耕して、そして夜は遅くまでわらじを作りました。
 お母さんは体が弱くて、あまり働けないので、十五才の金次郎が一人で家族を養うのです。
 それは大変な苦労でしたが、金次郎は文句一つ言いません。
 それどころか、
「移動する時間、何もしないのはもったいないな。時間は、上手に使わなくちゃ」
と、たきぎを町へ売りに行く時は、本を大声で読みながら歩いたのです。
 この当時、農家の人間が勉強するのは珍しい事でした。
 ですから、この金次郎のおかしな行動は、すぐに村中に広まりました。
「あの子、勉強しながら歩いているよ」
「ほんと、全く変わった子だね」
 そしてそれを知った親戚のおじさんは、金次郎を叱りつけました。
「馬鹿者! 農家の人間に、学問などいらんのだ! だいたい本を買う金があったら、家族に食べ物でも買ってやれ!」
 しかし金次郎は、おじさんに叱られても、こっそり勉強を続けました。
 こうして勉強を続けた金次郎は、やがてどんどん出世をして、村一番のお金持ちになったのです。
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