そこで何度も何度も注意しましたが、息子のヘソ曲がりは一向に直りません。
やがて、お母さんが年を取って息を引きとる時、お母さんはヘソ曲がりな息子を呼んで、こう言いました。
「息子や、お前に最後の頼みがあります。どうか、わたしのお墓は、川端の低い所に粗末な物をつくっておくれ」
こう言っておけば、へそ曲がりな息子は、反対に丘の上に立派なお墓を作るに違いないと考えたのです。
そして次の日、お母さんガエルは死んでしまいました。
「お母さん、いつもへそ曲がりで苦労をかけてごめんな」
さすがのへそ曲がりも、母親の遺言には、いつものように逆らう気にはなれませんでした。
そこで言われた通りに、川端の低い所に粗末なお母さんの墓を作ったのです。
でも、こんな所にお墓を作っては、ちょっと雨が降って川の水かさが増しただけでも、流されてしまうかもしれません。
そこで心配した息子は、雲行きがあやしくなると、
?ケロケロッ ケロケロッ
?ケロケロッ ケロケロッ
と、鳴いて、
「天の神さま、どうか、お母さんの墓を流さないでください」
と、天の神さまにお願いしたそうです。
この時からアマガエルは、雲行きあやしくなると鳴くようになったのです。