日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 横沟正史 » 八つ墓村 » 正文

八墓村-発 端(3)

时间: 2022-05-31    进入日语论坛
核心提示:鶴子にはそれが恐ろしかった。聞くところによると、要蔵の情欲には、なにかしら気ちがいじみたはげしさがあって、とてもふつうの
(单词翻译:双击或拖选)

鶴子にはそれが恐ろしかった。聞くところによると、要蔵の情欲には、なにかしら気ちがいじみたはげしさがあって、とてもふつうの女には、受けとめかねたのであろうといわれている。たまりかねた鶴子は、いくたびか要蔵のもとから逃亡を試みた。しかし、そのつど要蔵が気ちがいのように暴れるので、村の人々が恐れをなして、鶴子のもとへ泣きついてきた。結局、鶴子はいやいやながらも、要蔵のもとへかえらねばならなかった。

そうしているうちに鶴子は妊娠して、男の子を産み落とした。要蔵は大喜びで辰たつ弥やとその子に命名した。こうして子どももできたしするので、鶴子の尻もいくらか落ち着くかと思われたが、その後も彼女は、子どもを抱いてたびたび家を抜け出した。それというのが、子どもができたのちも、要蔵のはげしい情欲には少しもかわりはなかった。いや、子どもを産んだことによって、女が完全に自分のものとなったと思いこんだ要蔵は、いよいよ増長して狂態の限りをつくした。

それに耐えられなかったのと、もうひとつ鶴子がそんなにたびたび飛び出すには、深い理由のあることを、そのころになって両親や村の人もはじめて気がついた。

鶴子にはずっと以前から、深く言いかわした男があったのである。それは村の小学校の訓くん導どうで、亀かめ井い陽よう一いちという青年だった。訓導という職務柄、二人はこの恋をよほどうまく隠していたらしい。亀井というのはこの村の出身者ではなく、他から転勤してきたものだが、この地方の地質に興味をもっているとやらで、よく鍾乳洞の探検に出かけたりしていたから、おそらく二人は、人の知らない鍾乳洞の奥で、ひそかに逢あい曳びきをつづけていたのだろうといわれている。

村の人は口さがないから、こういうことがわかってくると、辰弥の出生にもとかくのことを言い出すものがあった。

「あれは田治見の旦だん那なの子どもではない。亀井先生の子どもなのだ」

せまい村でのこういううわさは、いつか要蔵の耳に入らずにはいない。要蔵は烈火のごとくいきどおった。愛着もはげしい代わりに、嫉しっ妬とも気ちがいじみていた。鶴子の髪の毛をとって、打つ、蹴ける、殴るはまだしものこと、素っ裸にして冷水を浴びせたりした。それまで、眼の中に入れても痛くないほど、かわいがっていた辰弥の背中や太ふと股ももに、焼け火ひ箸ばしをあてたりした。

このままでいけば子どもも自分も殺されてしまう。──たまりかねた鶴子は、また辰弥をかかえて家を抜け出した。二、三日彼女は、両親のもとにかくれていたが、自分が飛び出したあとの要蔵の怒りを人づてにきくと、恐ろしくなって郷里を出奔しゅっぽんして、姫路にある親しん戚せきのもとへ身をかくした。

要蔵は四、五日、酒ばかりくらって、鶴子のかえりを待っていた。いままでの例だと、鶴子が飛び出していってもたいてい二、三日もすると両親か村の総代が詫わびを入れて、連れかえしてくるのであった。ところがこんどは五日待っても十日待っても鶴子はかえってこなかった。要蔵のいら立ちはしだいに気ちがいじみてきた。二人の伯母も妻のおきさも、恐ろしくてそばへ寄れなかった。こんどばかりは村の人たちも、だれひとり口をきこうとするものはなかった。

こうしてついに、要蔵の狂気は爆発したのである。

それは春のおそい山村では、まだ炬こ燵たつのいる四月下旬のある夜のことだった。

村の人たちは突然、時ならぬ銃声と、ただならぬ悲鳴に眠りをさまされた。銃声は一発にとどまらず、間をおいて二発、三発とつづいた。悲鳴、叫声、救いを求める声はしだいに大きくなってきた。何事が起こったのかと表へ飛び出した人々は、そこに世にも異様な風体をした男を見た。

その男は詰つめ襟えりの洋服を着て、脚に脚きゃ絆はんをまき草鞋わ ら じをはいて、白鉢はち巻まきをしていた。そしてその鉢巻きには点つけっぱなしにした棒型の懐中電燈二本、角のように結びつけ、胸にはこれまた点けっぱなしにしたナショナル懐中電燈を、まるで丑うしの刻参りの鏡のようにぶらさげ、洋服のうえから締めた兵へ児こ帯には、日本刀をぶちこみ、片手に猟銃をかかえていた。村の人々はそれを見ると、だれでも腰を抜かさずにはいられなかった。いや腰を抜かさぬまでも、そのまえに男のかかえた猟銃が火をふいて、ひとたまりもなくその場に撃ち倒されてしまった。

これが要蔵だった。

かれはまず、そういう風体で、一刀のもとに妻のおきさを斬って捨て、そのまま狂気のように家を飛び出したらしい。さすがに二人の伯母や子どもたちには手をつけなかったが、その代わり、罪もない村の人たちを、当たるを幸いと、あるいは斬り捨て、あるいは猟銃で狙そ撃げきして回った。

後で調べてわかったところによると、ある家は表をたたいて訪れる声に、何気なく主人が、大戸をひらいたところをいきなり外からズドンと狙撃された。また、ある家では新婚の若夫婦の寝入りばなを、雨戸を一寸ほどこじあけて、そこから突っ込んだ銃口で、まず花婿を撃ち殺し、物音に驚いてとび起きた花嫁が壁際まで逃げていって、助けてくれと手を合わせているところを、ズドンと一発やったらしい。手を合わせたまま死んでいる若い嫁の姿勢が、駆けつけてきた係官の涙をしぼった。しかも、この花嫁のごときは、つい半月ほどまえ、十里ほど向こうの村から嫁入ってきたばかりで、要蔵とは縁も由縁ゆ か りもない女であった。

こうして要蔵は一晚村じゅうを暴れまわったあげく、夜明けとともに山へ逃げこみ、ようやくにして恐怖の一夜は明けたのである。

翌日、急報によって近くの町々村々から、おびただしい警官や新聞記者が押し寄せてきたときには、八つ墓村は血みどろになっていた。あちらにもこちらにも血にまみれた死体がころがっていた。どの家からも瀕ひん死しのうめき声が洩もれた。まだ死にきれないで助けを呼んでいるものもあった。

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: