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八墓村-第七章 木こ霊だまの辻つじの恐怖(8)

时间: 2022-06-16    进入日语论坛
核心提示:搜索复制ところがそれからいくらもすすまないうちに、私たちはギョッとして立ち止まった。ふたりともあわてて懐中電燈を消すと、
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ところがそれからいくらもすすまないうちに、私たちはギョッとして立ち止まった。ふたりともあわてて懐中電燈を消すと、暗闇のなかで息をこらして立っていた。行く手にあたってひとの声らしいものを聞いたからである。

「お兄さま」

しばらくしてから典子が乾いた声でささやいた。

「お兄さまはここにいて。あたしちょっと様子を見てくる」

「典ちゃん、大丈夫かい」

「ええ、大丈夫」

暗闇のなかを典子の遠ざかってゆく気配が聞こえたが、様子を見とどけるまでには、それほど遠くへ行く必要もなかったとみえて、こんどは懐中電燈をふりながら帰ってきた。

「お兄さま、どこ? 懐中電燈をつけて。大丈夫だから」

私が懐中電燈をつけると、典子が眼をかがやかしてとんできた。

「お兄さま、あたしたちいまどこにいるか御存じ、あたしたちはいま、『鬼火の淵』のすぐそばにいるのよ」

「鬼火の淵?」

私は思わず眼を見はった。

「ええ、そうよ。お兄さまはさっき、第四の洞窟と第五の洞窟は、奥のほうでひとつになっているらしいといったでしょ。あたしたち、いつの間にやら第五の洞窟へ迷いこんで、『鬼火の淵』へ引き返してきたのよ」

私はなんだか狐につままれたような感じだったが、しかし、考えてみるとこのことは、今後の探検にとって非常に好都合であった。なぜならば、宝の山は第四、第五の洞窟の合流点の奥になるのだが、ただ步いていただけでは、どこがその合流点なのかわかるはずはなかった。それを私たちはいま偶然発見したのである。

「あの第一の糸巻きの結びつけてあるところ、あそこがふたつの洞窟の合流点なのね。あたしたちあそこから左へ道をとって来たんだけど、明日はあそこから右へ行ってみましょう。この糸巻きはここへ結びつけておきましょうよ。こっちのほうが近いようだから、明日はこの糸をつたって行きましょうね」

典子は第二の糸巻きをそこにある鍾乳石にむすびつけると、それから間もなく監視の眼をぬすんで、「鬼火の淵」を出ていった。その晚、私は第五の洞窟で眠った。

典子がみたび忍んできたのは、そのつぎの日の正午過ぎだった。

「お兄さま、すみません、遅くなって。お腹すいたでしょ。もっと早く来るつもりだったんですけれど、見張りがきびしくって」

典子は弁当の包みを解きながら、

「その代わり、お兄さま、吉報があるのよ。今日じゅうにもここから出られるかもしれないのよ」

「どうして、典ちゃん」

私は思わず呼吸を弾ませた。

「麻呂尾寺のお住持さまが乗り出してくだすったの。お住持さま、御病気でちっともこんどのこと御存じじゃなかったのを、昨日、金田一さんが出向いていってお話しすると、たいそうびっくりなすったとかで、今朝、輿こしに乗って本家へお見えになったのです」

「なんだって? それじゃ長英さんがうちへお見えになってるの」

「ええ、そう。そしていま村の主だったひとを集めて、懇ろにお説教をしていらっしゃるのよ。お巡りさんのいうことは聞かなくても、お住持さまのおっしゃる言葉に、そむくわけにはいかないでしょう。ましてやお住持さま、御病気をおしてわざわざ出てこられたんですものね。だからいまにきっと、だれかが迎えに来るにちがいないと思うのよ」

私は胸の動どう悸きがにわかに高まり、腹の底から甘酸っぱいものがこみあげてくるのをおぼえた。ああ、この洞窟から出られる。この暗闇から抜け出すことができる。……私の心は歓喜にふるえ、私の体は興奮におののいた。私がこの洞窟を出るということには、大きな意味がふくまれているのだ。すなわち、そのときこそはこの忌まわしい、八つ墓村の殺人事件が解決するときなのだ。私は犯人を探し出すことができるのだから。

「典ちゃん、典ちゃん、それはほんとうだろうね。ぼくを糠喜ぬかよろこびさせるのじゃないだろうね」

「ほんとうですとも、お兄さま、だから、もうしばらくの辛抱よ」

「典ちゃん」

私はいきなり典子を抱きしめた。

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