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八墓村-第四章 四番目の犠牲者(19)

时间: 2022-06-06    进入日语论坛
核心提示:典子はどこまでも無邪気であった。と、同時に彼女の恋情のなみなみならぬことを知って、私は何かしら、身内の痛むようなものを感
(单词翻译:双击或拖选)

典子はどこまでも無邪気であった。と、同時に彼女の恋情のなみなみならぬことを知って、私は何かしら、身内の痛むようなものを感じずにはいられなかった。しかし、それはともかくとして、私は一刻も早く、用件をすまさなければならないのだ。

「典ちゃん」

「なあに」

「きみはだれにも、昨夜のことを話しゃあしなかったろうね」

「ええ、あたしだれにも話しゃしないわ」

「今夜ぼくに会うことも……」

「ええ、だれにもいやあしないわ」

「慎太郎さんにも?」

「ええ」

「慎太郎さんは今日どうしてた?」

「お兄さんは今日、頭が痛いって一日寝てたわ。そして、おかしいのよ。お兄さんたら、あなたと同じようなことをいうのよ」

「ぼくと同じようなこと?」

「ええ、昨夜おそく外へ出てたことを、だれにもいっちゃいけないって、おかしいわね。男のひとってどうしてみんな、うそをつくことが好きなんでしょうね」

私はなんとなく心が躍った。

「典ちゃん、きみは濃茶の尼が殺されたことを知ってる?」

「ええ、知ってるわ。今朝きいてびっくりしたわ。ねえ、お兄さま、昨夜障子にうつっていたひとが、妙蓮さんを殺したんじゃないでしょうか」

「典ちゃん、慎太郎さんはそのことについてどういってる?」

「お兄さん? 別に……どうして?」

典子がふしぎそうに私の顔を見上げたときだった。

だしぬけにあっというような叫びが、私のうしろできこえたかと思うと、だれかバタバタと地下道の奥へ走っていく。私も典子も一瞬ギョッとして立ちすくんだが、すぐつぎの瞬間、私は典子の手から提灯をもぎとってその足音を追っかけた。

「お兄さま」

「典ちゃん、きみはそこで待っといで」

「いやあ、あたしもいっしょに行く」

こっちのほうの地下道も、ふたまたのところから少し行ったところで、えぐるような急カーブを描いて曲がっている。さっき逃げ出した人物は、これがあるために、カーブのところへたどりつくまで、私たちのいることに気がつかなかったのだろう。

私たちは足音をたよりに、用心ぶかく地下道の奥へすすんでいったが、この道はさっきのカーブのみならずまるで、羊の腸のように曲がりくねっていて、足音と、そして相手の携えているらしい、明かりの反射をかすかに見ながら、どこまで行ってもその姿をつかむことはできなかった。

いったい私たちは、あのふたまたからどのくらい奥へすすんだのであろうか。間もなく私たちは、足音も、明かりの反射も、ふたつともとり逃がして、茫ぼう然ぜんとして、地下道のなかに立ちすくんだ。

「もうだめね」

「うん、とうとう逃がしてしまったようだ」

「いったい、だれなの、いまのひと!」

「ぼくも知らないんだよ」

「ずいぶん、この洞穴は深いのね」

「うん、そして、きっとどこかに入り口があるんだよ」

「もう少し行ってみましょうか」

「典ちゃんにその勇気ある?」

「ええ、あるわ、お兄さまといっしょなら」

「よし、じゃ、もう少し行ってみよう」

曲者を捕らえることはもうあきらめたが、私にはもっと別の目的があったのだ。いや、それこそ私の最初の目的だったのだ。小梅様と小竹様の、お参りをする仏様──今夜こそ、私はそれをつきとめねばならぬ。

提灯をかかげながら、私たちは用心ぶかく、五分あまりすすんだが、すると急にトンネルのなかがひろくなった。私は驚いて、提灯をかかげてあたりを見回したが、そのときだった。突然典子が何やら叫んで私の胸にしがみついたのは。……

「ど、どうしたんだ、典ちゃん」

「だって、だって、お兄さま、あんなところにだれやらひとが……」

「えっ、ひと……!」

私もびっくりして、典子の指さすほうへ提灯を差しむけたが、そのとたん、私は骨の髄まで凍るような恐怖にうたれたのだ。

洞窟の壁の一部の、床から三尺ばかりの高さのところが、仏を安置する龕がんのように、えぐられていて、その龕のなかに、鎧武者よろいむしゃがひとり、昔の武者絵の大将のように、泰然として石棺の上に座っているのだ。私ははじめ鎧が飾ってあるのだろうと思った。しかし、そうではなかったのだ。兜の深い廂ひさしのために、顔はよく見えなかったけれど、鎧のなかにはたしかに人がいるのである。しかも、そのひとは身動きもせず、じっとこちらを見下ろしている。……

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