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八墓村-第一章 尋ね人(4)

时间: 2022-05-31    进入日语论坛
核心提示:ああ、それこそは私のもっとも人に知られたくない秘密なのだ。幼いころから銭湯にいくこと、学校で体格検査をうけること、海水浴
(单词翻译:双击或拖选)

ああ、それこそは私のもっとも人に知られたくない秘密なのだ。幼いころから銭湯にいくこと、学校で体格検査をうけること、海水浴にいくこと、すべて衆人のまえに素肌をさらすことを私がどんなにいみきらったか。それというのが、私の体には背中といわずお臀しりといわず太ふと股ももといわず、縦横無尽に傷跡があるのだ。それはまるでむちゃくちゃに焼け火ひ箸ばしでも当てがったような無残なあとだった。私は何も自慢するわけではないが、それさえなかったら、私の肌はたいへん白く、きめも細かで、女のように美しいのだ。そして肌がきれいであればあるだけ、紫色をしたその傷跡がいっそう毒々しく、見る人に恐ろしい感じを抱かせるのだ。しかも私はこの傷跡がいったいどうしてできたものだか少しも知っていなかった。幼いころ、私はときどきこの傷のことを母にきいたことがあるが、そんなとき、母が急にはげしく泣き出したり、また、例の発作を起こしたりするので、その後は聞かないことにきめていたのだ。

「何か私の体のことが……あなたの御用件に関係があるのでしょうか」

「そうです。もしあなたが私の探している人物にまちがいがないとしたら、あなたの体には、余人のまねようとてまねられない目印があるはずですから……」

私は思いきって上衣をぬいだ。ワイシャツもシャツもぬいだ。それからズボンもぬいで猿さる股またひとつになった。そして諏訪弁護士のまえに、恥ずかしい裸体をさらしたのである。

諏訪弁護士はつくづく私の体をながめていたが、やがてホーッと深い吐息をもらすと、

「いや、ありがとうございました。さぞいやな思いだったでしょう。さ、早く洋服を着てください。これでもう完全にまちがいのないことがわかりました」

それから諏訪弁護士は、こんなことをいった。実はある人があなたを探している。名前はまだ申し上げられないが、その人はあなたの身寄りの人であり、あなたの居所がわかったら、引きとって、お世話をしたいといっている。その人はたいへん金持ちだから、きっとあなたのために悪いようにはならないだろう。私はもう一度その人とよく打ち合わせて、それからあなたに連絡することにする。そういって、諏訪弁護士は私の住所と勤務先をメモにひかえた。

私と諏訪弁護士の第一回の会見はこのようにして終わったのだ。

私はいくらかハッキリしたものの、まだ多分に狐につままれたような気持ちで社へかえると、課長に礼をいって、あらましのことを報告した。課長は眼をまるくして、

「ほほう、そりゃたいへんだ。するときみは大金持ちの御落らく胤いんかい」

課長がしゃべったとみえて、その話はたちまち社内にひろがって、その当座、私は会う人ごとに御落胤御落胤とひやかされたのには弱った。

その晚、私は眠れなかった。それはけっして幸福な期待に有頂天になったせいではない。それもいくらかはあったがそれよりも私には不安のほうが大きかったのだ。不幸だった母の、あの恐ろしい発作、それに自分の体にある毒々しい傷跡、それはけっして楽しい夢をそそるようなものではなかったからである。

私は何かしら、恐ろしいことが起こりそうな予感がしてならなかったのだ……。

 

無気味な警告

 

その時分私は八つ墓村についても、八つ墓村にからまる無気味な伝説についても全然知るところはなかった。ましてや自分がその村と、あのような因縁をもって結ばれていようなどとはどうして知ろう。

それにもかかわらず、降って湧わいたようなこの尋ね人の一件に関して、私が妙に不安を感じていたといえば、諸君はきっと、それを小説的な言い回しのように思うだろうけれども、けっしてそうではないのだ。

だいたい人間というものは、あまり激しい境遇の変化を好まぬものだ。いや、好まぬというよりも臆病おくびょうになるのだ。ましてや私の場合のように、未来を待っているものがなんであるか、想像さえできぬ場合、いっそう臆病になるのは当然だろう。できるならばこのままそうっと放っておいてもらいたいような気がするのも無理はなかろう。

だが、そうかといって私は、諏訪弁護士からの通知が、このまま来なければよいとねがっていたわけではけっしてない。いやいや実はその反対に、私は首を長くして、弁護士からの通知を待っていたのだ。まことにそれは変てこな気持ちであった。通知が来るのが怖くもあるが、それかといって通知の来ない日は物足りなかった。

こうして奥歯にもののはさまったような、お預けされた犬みたいな、妙にもどかしい気持ちのうちに、五日と過ぎ十日とたっていったが、弁護士からはなんの音信もなかった。しかし、弁護士がこの問題を、あのままうっちゃらかしてしまったのでないことは、時日がたつにしたがって、だんだんはっきりわかってきた。

その時分私は友人のもとに寄宿していたのだが、ある日私が会社からかえってくると、若い細君がこんなことをいった。

「寺田さん、今日は妙なことがあったのよ」

「妙なことって?」

と私がききかえすと、

「変なひとが来てね、あなたのことを根掘り葉掘りきいていったのよ」

「私のことを……? 根掘り葉掘り?……ああ、それはこの間お話しした、弁護士の使いのものじゃありませんか」

「ええ、私もはじめはそう思ってたのだけれど、どうもそうじゃないらしいのよ。なんだか田舎のひとらしかったわ」

「田舎のひと……」

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