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八墓村-第二章 疑惑の人(1)

时间: 2022-05-31    进入日语论坛
核心提示:第二章 疑惑の人森美也子は二、三日うちに八つ墓村へたちたいといっていたが、そこは女のことで、たまに田舎から出てきたのだか
(单词翻译:双击或拖选)

第二章 疑惑の人

森美也子は二、三日うちに八つ墓村へたちたいといっていたが、そこは女のことで、たまに田舎から出てきたのだから、買い物もしていきたいし、阪神間に住んでいるお友だちも訪ねたいし、また、久しぶりに芝居も見ていきたいしというわけで、一日のばしに逗留とうりゅうがのびて、私たちがいよいよ八つ墓村へ向けて出発したのは、六月二十五日のことであった。

思えばラジオの尋ね人から、私がはじめて諏訪法律事務所を訪れたのは、五月二十五日のことであった。その間わずか一か月だったけれど、私にとってそれはなんというあわただしい、そして目まぐるしい一か月だったろうか。いよいよ出発ときまるまで、私は毎日のように、諏訪弁護士の自宅を訪れた。どうかすると、美也子から電話で呼び出されて、買い物や芝居見物のお供を仰せつけられたりしたものだ。

生まれてからこっち、異性というものに接触する機会の少なかった私には、それはなんともたとえようもないほどうれしい、胸のワクワクするほど楽しい経験ではあったが、それと同時に、まえから漠ばく然ぜんときざしていた、不安というか、危き懼ぐというか、恐怖というか、……いやいや、それらをごっちゃまぜにしたような感情の根も、日ましに深くなっていき、はては暗あん澹たんたる絶望感にさえ襲われるにいたったのだ。

それというのが、どうせ一度は話さなければならないことだが、何もかもいっときに打ち明けて、あまり大きなショックをあたえるのもかわいそうだとでも考えたのだろう、諏訪弁護士と森美也子は、出発のあわただしい往来のあいまあいまに、少しずつ私の出生にからまるあの恐ろしい出来事を話してくれたのだ。

そのことについては、別に発端として書き加えられるはずだから、私は改めてここに書かない。いや、書くにしのびないのだ。父と母とのあのように恐ろしい、いたましい葛かっ藤とうを、子として筆にすることができようか。ああかわいそうな母よ! 私はそのときはじめて、幼時、自分の胸をいたましめた、母のあの恐ろしい発作の原因を理解することができたのだ。と、同時に自分の全身にきざまれている、あの無気味な傷跡の由来も納得することができたのだ。

そのことは二つとも、鉛のように重っ苦しく、私の胸を押しつぶしたが、さらにさらに私の心を苦しめたのは、最後に打ち明けられたあのものすさまじい三十二人殺しの顛てん末まつだった。諏訪弁護士と森美也子は、できるだけ私を驚かさないように、静かに、さりげなく話してくれたのだけれど、それでもなおかつ私のうけたショックは、たとえようもないほど大きかった。その話をきいた直後、私は全身が氷のように冷えわたるのを覚え、息の根もとまるかと思われるほどだった。いっとき私は石になったように、シーンとしずまりかえっていたが、やがて、押さえても押さえても押さえきれぬ戦せん慄りつが、あとからあとからこみ上げてきて、しばらくは全身のふるえがとまらぬくらいだった。

「ほんとうにこれはいやな役目ですわ。本来ならば、この話は、あなたのお祖父さまの丑松さんにしていただくつもりだったのですけれど、丑松さんがあんなことになられたので、諏訪さんとも御相談して、わたしたちの口からお話しすることにしたのです。ほんとうにお気の毒だと思います。いいえ、お気の毒を通り越して、残酷な気さえしました。しかし、これから故郷へおいでになる以上、一度はきかされる話ですから……どうぞ悪く思わないでくださいね」

美也子はいたわりをこめた声でそういうと、いたましそうに私の顔を見守ってくれる。私はやっと、のどにからまる痰たんを切った。

「いいえ、悪く思うどころか……あなたがたのお心遣いは感謝にたえません。そうです。どうせ、一度は聞いておかねばならぬ話でした。同じ聞かされるなら、あなたがたのような親切なかたから聞かされるほうが、どのくらい仕合わせかしれません。しかし、森さん」

「はあ……」

「村の人たちはぼくをどう思っているのでしょう。いまぼくが村へかえっていったなら、村の人たちはどんなふうに考えるでしょう」

美也子と諏訪弁護士は顔を見合わせたが、やがて諏訪弁護士はおだやかにこういった。

「寺田君、そんなことは考えないほうがいい。そんなふうに、ひとのことを考えていては一日だって生きていられやしないぜ」

「そうですわ。諏訪さんのおっしゃるとおりよ。それにあなたには、なんの罪もあるわけじゃないんですもの」

「いや、そういってくださるあなたがたのお気持ちはよくわかります。しかし、ぼくは知っておきたいのです。村の人々がぼくに対して、どういう感情をあたためているか、それをあらかじめ知っておきたいのです」

諏訪弁護士と森美也子は、ふたたび顔を見合わせたが、やがて美也子がうなずいて、

「ええ、そういえば、あらかじめそのことを知っておいたほうがいいかもしれませんわね。あなたにもなにかと気持ちのうえで、準備がいることでしょうから、……率直にいって村の人たちは、あなたに対してよい感じを持っていないようですわね。考えてみればそれは理不尽なことです。あなたにはなんの罪もないわけだから……しかし、親を殺され、子を殺された人たちにとってみれば、無理もないことかもしれません。それに、いけないことには、田舎の十年は都会の一年にも当たらないのですよ。都会では人の離合集散がはげしいから、たいていのことは一年もたてば忘れられてしまいますわね。しかし、田舎では人がみんな定着していますから、つまらないことでも何年も何年も覚えているものなんですよ。このことはあなたもよく知っておかれたほうがいいかもしれません。それだから、こんどあなたがかえっていらっしゃるということについても、村ではとやかくいってる人もあるようです」

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