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八墓村-第五章 鎧よろいの中(2)

时间: 2022-06-11    进入日语论坛
核心提示:「あ、そうだ、典ちゃん、きみにきいたらわかるかもしれない。ちかごろ村で死んだひとで、三十から四十くらいまでの男のひとはな
(单词翻译:双击或拖选)

「あ、そうだ、典ちゃん、きみにきいたらわかるかもしれない。ちかごろ村で死んだひとで、三十から四十くらいまでの男のひとはなかったかい」

「まあ、どうしてなの。どうしてそんなことをお尋ねになるの」

典子は不思議そうに、眼をくるくるとさせていたが、

「ちかごろ、村で死んだひとといえば、お兄さまも御存じのはずだわ。そのなかで、三十から四十までの男のひとといえば、蓮光寺の和尚さまの洪禅さんと、おたくの久弥兄さんくらいのものだわ」

「うちの久弥兄さん!」

私は突然、つよい電撃をうけたようなショックをおぼえた。さっとある考えが頭脳にひらめいたからだ。

そうだ、そういえばあの死人の顔は、どこか兄の久弥に似ていやあしないか。眼と眼のあいだがつまって、額がせまくて、あごがとがっていて、どこか険悪な感じのするところが。

しかし、しかし……そんなことがありうるだろうか。兄の久弥はたしかに柩ひつぎにおさめられ、田治見家代々の墓地に埋められたではないか。もっとも後に、解剖のために掘り出されたが、解剖がすむと再び納棺され、埋葬されたのだ。その柩の上に、最初の土のひとかたまりを落としたのは、かくいう私自身ではないか。私はその柩が、すっかり土で埋めつくされるのをこの眼で見た。墓石はまだ立たないけれど、兄はたしかにあの土の下で眠っているはずなのだ。

とはいうものの、やっぱりあの死人は兄に似ている。田治見家の一族で、あの年ごろの人物が、ちかごろ死んだといううわさをきかぬところをみると、やはりあれは兄なのだろうか。だれかがあの墓穴から、兄の死し骸がいを掘り出してきて、あんなところへ飾ったのだろうか。しかし、それにしても変だ。兄が死んでからもう十日もたつのに、腐敗の徴候が見えぬというのはどういうわけか。

なんともいえぬ怪しい疑惑につつまれて、私はその場に立ちすくんでいたが、そのときだった。

「だれ……? そんなところにいるのは……?」

だしぬけにうしろから声をかけられ、私も典子もびっくりしてとびあがった。ふりかえると、向こうにだれか、提灯を持って立っている。

「だれ……? そこにいるのは……?」

提灯が一步前進する。典子はおびえたように私にしがみついた。

「だれ……? そこにいるのは……?」

相手はみたび声をかけて、たかだかと提灯をかかげた。この洞窟のなかで声をたてると、あちこちの壁に反響して、音響が妙にふやけてしまうのだが、私はそのときはじめて声の主に気がついた。

「ああ、そこにいるのは姉さんじゃありませんか。ぼくですよ。辰弥ですよ」

「まあ、辰弥さん? やっぱりそうだったの? でも、もうひとりのひとはどなた?」

「典子さんですよ。新家の典子さんですよ」

「まあ、典子さん?」

姉の春代はびっくりしたように声をうわずらせたが、すぐ急ぎ足でそばへちかよってきた。

「あら、ほんと、やっぱり典子さんでしたね」

姉の春代は怪しむように、私たちの顔を見くらべ、それからあたりを見回しながら、

「それにしてもあなたがた、こんなところで何をしているんです」

「姉さん、それについてはいずれあとでお話ししますが、姉さんこそ、こんなところへどうして来たのです」

「わたし……」

「姉さんはまえから、この洞窟のことを知っていたんですか」

「とんでもない。わたしはじめてだわ。こんなところへ来るの……」

と、姉はあたりを見回すとおびえたように肩をすくめて、

「でも、話には聞いてたことがあるの。ずっとむかし屋敷から、どっかへ抜ける道がついてたってこと、子どものときに聞かされたことがありましたわ。でも、もうずっとまえに埋めてしまったと、伯母さまがたはいっていたのに……」

「それじゃ、姉さんは今夜はじめて、この抜け道に気がついたのですか」

姉はかすかにうなずいた。

「姉さんはどこからどうして入ってきたんです」

私の詰問するような調子に、姉はいくらかためらったが、やがてきっとまともから、私の瞳ひとみをのぞきこむと、

「辰弥さん」

と、言葉を強めて、

「昨夜、あたしはあなたにお話があって、離れのほうへ行ったのですよ。そうしたら、あなたの姿がどこにも見えなかったでしょう。それでいて、戸締まりはちゃんとなかからしてあるので、わたし、狐きつねにつままれたような気持ちだったわ。ずいぶんながく、わたしは離れで待ってたんだけど、いつまで待ってもあなたがかえってこないものだから、あきらめて母屋のほうへかえってしまったのです。ところが、今朝になってみると、あなたはちゃんと離れにいるでしょう。わたし、いよいよ狐につままれたような気がしたけど、あなたが黙っているのでわたしもきくのをひかえていたんです。でも、あんまり心配だから、今夜も離れへ行ってみたのよ。するとまたあなたの姿が見えない。しかも、やっぱり戸締まりは、なかからちゃんとしてあります。それで、はじめて小さいときに聞いた抜け孔のことを思い出したんです。どこか、この離れに抜け孔があるにちがいない。……そう思ってさがしているうちに、納戸の長持のふたのあいだに、こんなものがはさまっているのに気がついたんですよ」


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