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八墓村-第五章 鎧よろいの中(12)

时间: 2022-06-11    进入日语论坛
核心提示:私は用心ぶかく、必要があればいつでも灯がつけられるように、マッチの用意をしておいて、ふっと提灯の灯を吹き消した。幸い、相
(单词翻译:双击或拖选)

私は用心ぶかく、必要があればいつでも灯がつけられるように、マッチの用意をしておいて、ふっと提灯の灯を吹き消した。

幸い、相手はこちらの明かりに気がつかなかったらしい。相変わらずほのかな光が、曲がり角の壁にあたって明滅している。私は足音に気をつけながら、手探りでその曲がり角まで滑っていった。

その曲がり角を曲がると、「猿の腰掛」のある広場が、すぐ向こうに見渡せるのだが、果たしてそこに、だれやらひとが提灯を持ってたたずんでいた。そのひとはどうやら、提灯をかかげて、「猿の腰掛」をながめているらしい。

私は壁に背中をくっつけて、三步四步五步、蟹かにのような横ばいで、相手のほうへ近づいていったが、相隔たること数步のところまでやってきたとき、思わず驚きの声が私のくちびるをついてとび出したのであった。

「典ちゃん」

「あら」

ああ、それはやっぱり典子であった。彼女ははじかれたようにふりかえると、提灯をたかだかとかかげて、闇やみの中を見回しながら、

「お兄さま、お兄さまなのね。お兄さまはどこにいらっしゃるの?」

私は闇の中からとび出すと、典子の肩を抱きすくめた。何かしらはげしい感動が、私の胸をはずませて、体じゅうがかっとほてるような感じであった。

「典ちゃん、典ちゃん。き、きみはどうしてこんなところへやってきたのだ」

典子は甘えるように、私の胸にすがりつくと、

「お兄さまを探しに来たのよ。ここへ来れば、ひょっとすると、お兄さまに会えるかもしれないと思って、あたし昨夜もそのまえの晚も、ここへ来てお兄さまを待っていたのよ。だって、もうずいぶん長いこと、お兄さまに会えないんですもの」

ああ、なんという激しい典子の恋情であろうか。私に会えるかもしれないという一縷るののぞみのためには、彼女はいかなる暗闇も、いかなる底なしの洞どう窟くつも、物の数とは思わぬらしい。私はなんともいえぬいじらしさに胸がしめつけられるような感じであった。

「ああ、そう、それは悪かったね。ぼく、いろいろ忙しかったものだから、つい抜け出すことができなかったのだよ」

「いいのよ、いいのよ。お姉さまが御病気なんですもの、あたし、わがままはいえないわ。それに、今夜、こうしてお眼にかかれたんですもの。こんなうれしいことはないわ」

私はあまりのいじらしさに、思わず強く典子の体を抱きしめてやった。典子はうれしそうに、私のなすがままにまかせている。典子の心臓の鼓動と、私の胸のときめきが、ひとつになって、互いの体につたわった。

私はしばらく、典子の髪の毛をなでていたが、しかし、すぐにこんなことをしている場合でないことに気がついた。

私はそっと、典子の肩から手をはなすと、

「典ちゃん」

「なあに」

「きみはいつここへ来たの、きみがここへ来たとき、何か変わったことはなかった?」

私の質問に、典子もはっと気がついたらしい。にわかに怯おびえの色を眼にうかべると、

「ああ、そうそう、お兄さま、ちょっと変なことがあったのよ。典子が向こうのふたまたのところまで来たときだったわ。この辺から恐ろしい悲鳴が聞こえてきたのよ。それで典子、びっくりして、ふたまたのところで立ちすくんでいると、だれかひとが、転げるように典子のそばをすりぬけていったの。猿のように小さなひと。……ええ、それこそ、こけつまろびつお宅のほうへ走っていったのよ」

どうやらそれは、小竹様であったらしい。

私は息をはずませて、

「それで、典ちゃんはどうしたの」

「どうもしやあしないわ。びっくりしてそこに立ちすくんでいたわ。すると、またこの辺から二度三度と、恐ろしい悲鳴が聞こえてきたの。しかも、どうやら助けを呼んでいるらしいので、あたし怖かったけれど、そっとこっちへ来てみたの」

私は典子の大胆さに、舌をまいて驚嘆するばかりだった。

「それで、その悲鳴はその後どうなったの」

「あたしがこっちへ近づくにつれて、その悲鳴はだんだん遠くなっていくの。そして、しまいにはとうとう聞こえなくなってしまったわ。きっと、この洞ほら穴あなの、ずっと奥のほうへ行ったにちがいないのよ」

ああ、何なん人ぴとかが泣き叫ぶ小梅様を、真っ暗な底なしの洞窟の奥にひきずりこんだのだ。私はなんともいえぬ恐ろしさに膝頭がガクガク鳴って、舌がぴったり上あごにくっついてしまったのだった。

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