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八墓村-第六章 春代の激情(5)

时间: 2022-06-11    进入日语论坛
核心提示:私はあまりの恐ろしさと興奮に、寝床のなかでガタガタふるえた。全身からまた、つめたい汗がふき出した。それはさておき、そうし
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私はあまりの恐ろしさと興奮に、寝床のなかでガタガタふるえた。全身からまた、つめたい汗がふき出した。

それはさておき、そうしてひと晚、輾てん転てん反はん側そくしながらも私はもしやと、小梅様のかえりを待っていたが、夜明けになっても、とうとう大伯母はかえってこなかった。私は思い惑い、どうしてよいかわからなかったが、とにかく姉に相談してみようと、彼女の寝室へ出向いていったが、すぐ姉はもう相談相手にならないことをさとった。

彼女は蒼い顔をして、打ちくだかれたようにぐったりと眼を閉じていた。そばには睡眠剤がまだきいているのか、小竹様が男のようないびきをかきながら眠っていた。

「辰弥さん、あなたのよいようにしてください。あたしにはもう何を考えることも、何をすることもできないの」

私が相談をかけると、姉はうっすらと眼をひらいてそういったが、すぐまたものうげに閉じてしまった。

「そうですか。それではぼく、これから駐在所へ行ってみます」

駐在所ときいて、姉はギョッとしたように眼をひらいたが、すぐ、寂しそうにうなずいて、

「そうね、そうしたほうがよいかもしれないわね。いや、そうしなければならないかもしれないわね。伯母さまがたにはお気の毒だけれど……」

そばに寝ている小竹様のほうをふりかえると、姉の眼からは、みるみる露のような涙がわきあがってきた。

「それじゃ、姉さん、行ってきます。ひょっとするとお巡りさんがおおぜいやってくるかもしれませんが、伯母さまにはなんとかうまくとりつくろってください」

「ええ。いいわ。あなたこそ御苦労さま」

駐在所では磯川警部が、ちょうどいま起きたところだったが、私の話をきくと、まるで爆弾でも炸さく裂れつしたようにびっくり仰天して、大きく眼玉をひんむいた。そして何かせきこんで聞こうとしたが、すぐ思い直したように、部下を走らせて、金田一耕助を呼び寄せた。金田一耕助はとるものもとりあえず、西屋から駆けつけてきたが、この騒ぎをきいて眼をさましたのだろう。美也子もいっしょについてきた。

この際、美也子の顔を見たことが、どんなに私を力づけてくれたかわからない。私はこれから、いよいよ四面楚そ歌かの取り調べをうけなければならないのだ。警部や金田一耕助は、いちいち私の言葉に疑いを持つだろう。そういう疑惑のまなざしにとりかこまれて、取り調べの矢面に立つことが、どんなに苦しい、つらいことか。私はあらかじめ覚悟をきめてきたつもりだけれども、それでも、ひとりでも味方がそばにいてくれるほうが心強かった。

磯川警部はもう一度、金田一耕助のまえで同じ話を繰りかえさせた。そして、ときどき言葉をはさんで、さっき聞きもらしたことを、根掘り、葉掘り聞き直したりした。

金田一耕助は、しだいに興奮の色を見せて、ガリガリ、ガリガリ、むやみやたらと頭をかきまわしていたが、やがて私の話がおわると、唖のようにおしだまって、私の顔を見つめていた。そして、だいぶたってからため息まじりにこんなことをいったのだ。

「辰弥さん、私はいつか──はじめてあなたにお眼にかかったとき、御忠告しておいたはずですがねえ。今後なんでも怪しいと思うこと、腑ふに落ちぬと思うことがあったら、すぐにわれわれに告げてくださいと。……それでないと、あなたはいま、微妙な立場に立たされているのだから、今後どのような不利なことになるかもしれないと……」

「申しわけありません」

私は率直に頭をさげた。

「つい、好奇心にひきずられたのと、自分で解決できることなら、人手をかりずにやってみたいと思ったものですから……」

「危ないもんですな。とかく、そういう無鉄砲が、身を滅ぼすもとになるんですよ。ところで、警部さん、さしあたり何から手をつけていくつもりですか」

「何からといって、とにかく鍾乳洞の中を調べてみよう。小梅様がさらわれたというのだから、捨ててはおけない」

「英泉さんのほうは?」

「ふむ英泉にも話をきかねばならないが……辰弥さん、洞窟の中で英泉を見たというのはまちがいじゃないでしょうな。まさか、他人をおとしいれようというのでは……」

「と、とんでもない。英泉さんを見たのは、ぼくひとりじゃないんです。姉さんも典ちゃんも、ちゃんといっしょに……」

と、そこまでいってから、私はしまったとくちびるを噛かんだ。果たして、警部も金田一耕助も、さては森美也子までが、疑惑にみちた眼を大きく見はって、まじまじと私の顔を見直したのだ。

警部は薄気味悪い微笑をうかべて、

「典ちゃん? 典ちゃんてだれです」

「はあ……その……里村慎太郎さんの妹の、典子さんのことです」

「それはわかっているよ。しかし、さっきのきみの話では、その女性の名は出てこなかったね。春代さんときみのふたりが、洞窟へ入っていったようにいっていたが……」

「はあ、その、……なにしろ、相手が若い女性のことですから、こんな事件に巻き添えにしたくないと思ったものですから。……」

私はもうしどろもどろだった。

警部はふたたび、ものすごい微笑をうかべて、

「まあ、よろしい、よろしい。きみはいったいどこまで真実を語っているのかわからん。いまに、すっかり泥を吐かせてあげる。とにかく、そういう抜け孔があって、きみが自由自在に外へ出ることができたとなると、これまでの事件──とりわけ濃茶の尼の妙蓮殺しの場合における、きみのアリバイをもう一度検討しなおす必要があるが、まあ、それはあとのことにして、とりあえず小梅様の捜索にとりかかることにしよう」

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