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八墓村-第八章 絶体絶命(5)

时间: 2022-06-19    进入日语论坛
核心提示:その後の事ども(一)この物語もここまでくると、もう終わったも同様だろう。宝物を発見したし、犯人もわかったのだから。しかし
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その後の事ども(一)

 

この物語もここまでくると、もう終わったも同様だろう。宝物を発見したし、犯人もわかったのだから。しかし、細かいふしぶしにいたっては、まだまだ解きあかされぬ部分もあるし、読者諸君にとって疑問の点も多かろうから、それらのことをここに思い出しながら、記述していくことにしよう。

さて、そのまえに、私たちの洞窟脱出のてんまつだが、それはまえにも述べたとおり、典子のいったとおりの順序で救援の手がさしのべられた。しかも彼女の考えていたよりもはるかに敏速に。それというのが、吉蔵のかざしていた松明のおかげなのである。空気の流通のわるい洞窟の中では、一度こもったにおいはなかなか抜けぬ。しかも、吉蔵のかざしていた松明は猛烈な油煙をあげていたのだから、そのにおいが洞窟の中に残っていたのは当然で、それが捜索隊の道案内となったのである。

かれらもまさか周さんと吉蔵が、私をねらって「鬼火の淵」の奥ふかく潜入したとは知らなかった。長英さんの尽力で、やっと村民を鎮めると、金田一耕助と磯川警部、それに二、三の刑事をまじえた一行は、すでに私を「鬼火の淵」までよびにきた。そして、淵の向こうから私の名を呼んだが、返事がないので不安に思って、淵を渡ってきたのである。

そして、第四と第五の洞窟に、ひと筋の糸が張られているのを見ると、金田一耕助はすぐに私が、何をやっていたかさとった。そこまではよかった。しかし、第五の洞窟で手つかずの弁当やスプリングが、あらあらしく踏みにじられているのを発見し、しかも洞窟の中にこもっている強い油煙のにおいに気がつくと、金田一耕助ははっと胸騒ぎをおぼえたのである。私が松明を持っているはずはないし、また私の同情者(それがだれだかわからなかったが、あたりの様子をみれば同情者のいたことは明らかだろう)にしても、松明をかかげて忍んでくるはずはない。

そこで一行は緊張すると、ともかく、糸をつたって洞窟の中へ入ることになった。かれらは間もなくあの合流点までたどりついた。糸はそこでとぎれていたが、まえにもいったとおり油煙のにおいが道しるべとなった。慎重な金田一耕助は、それでも万一をおもんぱかって、綱を引いていくことを忘れなかったが、こうしてかれらは落盤の向こうまでたどりついたのであった。幸い、落盤の範囲はあまり広くなかったらしく、かれらの叫び声や足音が、かすかながらも私たちのところへひびいてきた。私たちも必死となって壁をたたき、床を打ち、声をからして叫んだ。

こうしてかれらは落盤の向こうに、だれかが生きていることを知り、大急ぎで救援隊が組織されたのである。それは困難かつ危険な仕事であった。洞窟はふかく、せまく、窮屈で、なおそのうえにいつまた落盤があるかわからぬ状態だった。それでも近所のN町から、駆りあつめた人夫などをまじえて、昼夜兼行の作業がつづけられたのである。

私たち、典子と私は落盤の向こうに感じられる、ひとびとの努力に感謝しながらも、一方、遅々としてすすまぬ作業に業ごうを煮やし、どのように不安におののいたことだろう。文字どおりそれは希望と不安のないまぜられた、極度の緊張による三昼夜であった。

こうして私たちは結局救い出されたのが、四日目の朝、落盤の壁に待ちに待ったすき間ができ、そこからだれかが躍りこんできたときには、意気地のない話だけれど、私は危うく気を失いそうであった。躍りこんできたひとびとの中には金田一耕助もいた。磯川警部もいた。慎太郎もいた。それから麻呂尾寺の英泉さんが、涙ぐんでおろおろしているのが、疲れきった私の眼に異様にうつった。それから最後に、どこかで見たことのある顔ながら、どうしても思い出せない人物が私のそばへやってきて、

「寺田君、しっかりしろ、おれだ、忘れたのか。神戸の諏訪弁護士だ。きみも苦労したなあ」

と、いいながらハラハラと涙を落としたときには、どうしてこのひとがこんなところへ来たのかといぶかりながら、とうとう私は恍こう惚こつとして、夢幻境に落ちていったのであった。

それからのち一週間あまり、私は高熱にうかされて、夢とうつつの境を彷ほう徨こうしていたらしい。極度の恐怖と興奮と洞窟内における不自然な生活が、私をほんとうに病気にしたのだ。のちに典子が語ったところによると、新居先生もいくどか眉をひそめたそうで、どんなに気をもんだかしれないということであった。典子のほうがよっぽど丈夫で、彼女は三日寝たきりで、その後はずっと私につききっていてくれたのである。

こうして一週間ほどで危険期は過ぎたが、危険期を脱すると、まず第一に私の脳裏にうかんだのは美也子のことであった。しかし、私にはそれを口に出してきく勇気はなかったし、周囲のひとびともつとめて避けているらしく、だれも彼女の名にふれるものはなかった。しかし、あとから思えば八つ墓村を震撼させたあの事件もその一週間のあいだにすっかり片づいていたのだ。いやいや、私が洞窟から救い出されたときには、すでにだいたいけりがついていたといってもよい。

さて、危険期が過ぎると回復も早く、私は間もなく以前の体にかえったが、するとある日、金田一耕助がやってきて、

「やあ、すっかり元気になりましたね。けっこう、けっこう。ところで今日はあなたにことづけを頼まれてきたのですがね」

と、例によって飄々ひょうひょうとしている。

「はあ」

「麻呂尾寺のお住持さんですが、体がよくなったら会って話しておきたいことがあるから、一度寺へ来てほしいというんです。あなたもこんどはあのひとに、だいぶ世話になったのだから、一度あいさつにいったらどうです」


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