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八墓村-第八章 絶体絶命(9)

时间: 2022-06-19    进入日语论坛
核心提示:「当人をまえにおいていうのもなんだが、西屋の御主人は復讐心にもえていられた。ただもう、美也子さんを憎んでいられたので、丑
(单词翻译:双击或拖选)

「当人をまえにおいていうのもなんだが、西屋の御主人は復讐心にもえていられた。ただもう、美也子さんを憎んでいられたので、丑松さんが殺され、久弥さんが毒殺されたとき、すぐにそれを美也子さんの仕業だと断言された。達雄氏の場合もふくめて、全部同じ手口であるというのです。それはそうかもしれなかったし、事実また、美也子さんは毒をもるチャンスを持っていた。丑松さんは神戸へたつまえに、諏訪弁護士あての紹介状を、美也子さんに書いてもらっている。だからそのとき美也子さんには、カプセルをすりかえるチャンスがあった。また、久弥さんを殺した毒は、皆さんも御存じのとおり、久野先生の薬局で投ぜられたものですが、その薬局には美也子さんも、たびたび出入りをしているのだから、これまたチャンスがあった。しかし、ここがむずかしいところで、そのひとにチャンスがあったというだけで、告発するわけにはいきません。人間はチャンスだけでひとを殺すものではない。そこには動機というものがあるはずです。では美也子さんにどういう動機が考えられるか、夫殺しはともかくとして、丑松さんや久弥さんを殺しても、彼女は一文の得とくにもなりません。いやいや、事件が終わったいまになってみれば、久弥さん殺しに重大な意味のあったこともわかるのですが、そのときにはわからなかった。久弥さんが殺されただけではわからなかった。いやいや、これはまちがい、あのとき久弥さんだけが殺されたのならあるいは、犯人の計画の第一步を、見抜くことができたかもしれないのですが、そのまえに丑松さんが殺されている。丑松さん殺しと久弥さん殺しに一貫した動機を考えるのは当然のことで、その結果、何が何やらわからなくなってしまったのです。さらにそのうえ、達雄氏の場合を考えようとするからいよいよいけない。森達雄氏と博労の丑松さん、さらに東屋の御主人とくると、もしこれが同一犯人の犯行とすれば、犯人は完全に気ちがいとしか思われません。ところがわれわれのヒロイン森美也子さんは、あのとおり才気煥かん発ぱつ、とてもそんな早発性痴呆症ちほうしょう的犯罪を犯そうとは思えない。さらにこのことは蓮光寺の和尚洪禅さんから、梅幸尼へとすすむにしたがって、いよいよ強調されます。つまりこの一連の殺人事件では、最後のひとりが殺されるまで、動機がわからないというところにむつかしさがあったのです。つまり犯人は動機不明という事実の背後に、あぐらをかいていられたのです。だから、あのとき──梅幸尼が殺されたとき、枕元にあのような紙片をおいておかなかったら、犯人の動機隠いん匿とくはもっと完全だったろうと思います。あの紙片を梅幸尼の枕元においたこと、このことによっていままで完全無欠だった犯人も、はじめてヘマをやらかしたんです。しかも二重の意味で……」

そのとき、横から諏訪弁護士がビールをついだので、金田一耕助は言葉をきった。そして、ひとくちのどをうるおすと、またボソボソ語りはじめた。

「実際、それまでこの一連の殺人事件で、動機の探究という点になると、われわれは完全にシャッポをぬいでいたんです。丑松さんから梅幸尼にいたる四つの殺人事件に、いったいどんな一貫した動機が考えられましょう。完全に動機のない殺人としか思えなかった。ところがあの紙片によって、犯人は、はじめて動機らしいものを見せてくれた。小竹様の杉が雷に裂けたことによって、恐ろしい霊感をうけた何者かが、八つ墓明神にそなえる生いけ贅にえとして、並立、あるいは対立している二者の一方を斃たおしていくという、狂信者的な動機、いかにもそれは八つ墓村の殺人事件としてはもっともらしい。しかし、いかにもっともらしいといっても、それではあまり非現実的すぎる。それに、由来狂信者の犯罪というやつは、激情的なのがふつうで、こんどの事件のように陰険かつ巧妙な例は少ないものです。しかし、とにかく犯人が、はじめて動機らしいものを示したところに、あの紙片は興味があった。ひょっとすると犯人は、ほんとうの動機をカムフラージするために、ああいう動機を示しておきたかったのではないか。……と、こう考えてくると、どうしてどうして、動機のない殺人どころか、この事件の犯人は、容易ならぬやつだということになります。あの紙片で示したような動機を捏ねつ造ぞうするだけでも、ふつうの頭脳ではありませんが、さらに動機をカムフラージしようという考え方、これこそもっとも高級な犯人のやりかたですからね。殺人事件で動機がうまく隠せたら、犯人の計画は半ば以上成功です。ほんとうをいうと、そのころ私は、この事件に対して、ほとんど匙さじをなげかけていたのですが、これで急に闘志がわいてきた。つまり犯人は、少し早く手のうちを見せすぎたのですね」

金田一耕助はそこでひといき入れると、

「それともうひとつ犯人の失敗はなんといってもあの紙片を出す時期をあやまったことです。梅幸尼は東屋からとどけられたお膳ぜんをたべて死んだんですが、前後の事情から考えて、毒の投じられたのが東屋の台所であることはあきらかです。したがって、犯人は梅幸尼の庵室へ近よる必要は全然なかった。では、どうしてあの紙片があそこに落ちていたのか、犯人がわざわざ持っていっておいたのか、そうです。それよりほかに考えようはないのですが、ではその時期は? この事件の犯人は非常にかしこいのですから、いずれ人殺しが発見されるだろう家へ、深夜こっそり紙片をおきにいくなんてことは考えられません。だからあの紙片をおきにいくいちばんいい時期は、辰弥さんが美也子さんとふたりで、庵室を訪れて死体を発見したとき、そのときよりほかに考えられない。そのときふたりのうちのどちらかが、こっそり落としておいて、あとのひとりに発見させる。犯人はこれほどいい時期はないと思って、そのとおり実行したのですが、いずくんぞ知らん、それこそ最悪の時期であった。なぜならばふたりが庵室へ到着する直前に、濃茶の尼がしのびこんで、死体のまわりを這はいずりまわっているのです。それを知らなかったのが、犯人のもっとも大きな手抜かりでした。濃茶の尼は死体のまわりに、そんな紙片なんか絶対になかったと証言するかもしれない。そうなっては一大事ですから、その晚、濃茶へしのんでいって、妙蓮を絞め殺してしまったのです」
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