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八墓村-第八章 絶体絶命(12)

时间: 2022-06-19    进入日语论坛
核心提示:搜索复制重っ苦しい沈黙が、ずしーんと一同のあいだに落ちてきた。なんとも救いようのない暗あん澹たんたる気持ちだった。やがて
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重っ苦しい沈黙が、ずしーんと一同のあいだに落ちてきた。なんとも救いようのない暗あん澹たんたる気持ちだった。やがて金田一耕助はその沈黙の呪じゅ縛ばくからのがれようとするように、二、三度強く咳をすると、

「みずから掘った穴とはいえ、この事件でいちばん気の毒だったのは久野先生ですよ。久野先生は自分の編みあげた計画どおり順次ひとが殺されていくのを見たとき、どんなに驚き恐れたでしょう。もちろん、久野先生の計画では、新居先生以外は、二人のうちのどちらを殺すともきめてなかった。しかし、ともかく自分の書きあげておいた人物が、つぎからつぎへと殺されていくのだから、これほどの恐怖はありますまい。だれかが自分の計画を実行している……と、そこまでわかっても、だれがなんのためにやっているのか、久野先生にもわからなかった。またそのことを人に打ち明けるわけにもいかなかった。久野先生はただ恐怖のまなざしをもって事件のなりゆきを見守っているよりほかにしようがなかったのですが、そこへとうとう、とび出したのが、自分の筆になる殺人予定表だったから、先生は恐怖の絶望のどん底へたたきこまれた。いったんは知らぬと言い張ったものの、いずれは自分の筆跡だとわかるだろう。そのときいったいなんといって弁解できるか。あのたわけた、途方もない計画、いい年をして、新居先生ねたましさのあまり殺人計画をえがいて慰めてました。なんてことがいえるでしょうか。そこで久野先生は逃げだした。姿を隠すよりほかに道はなかったのですが、そこを犯人にだまされて、洞窟の中へつれこまれ、まんまと一服盛られたのでしょう。そのとき犯人がどんな言葉で欺いたのかわかりませんが、おそらく、ほとぼりがさめるまで、姿を隠していたら、なんとか打開の道があろうとかなんとかいったんでしょう。なにしろ相手が女だから、久野先生もつい気を許したんですね」

「すると美也子さんは、洞窟の地理に通暁していたんですね」

私が尋ねた。

「そうですよ。考えてみるとあれほど才長たけた婦人ですからね。埋められた財宝伝説に、好奇心を起こさぬはずはない。かなり以前からあのひとは、洞窟の探検をやっていたんじゃないかと思いますよ。それに、あのひとが地下道へ出入りしていたというたしかな証拠もあるのです。警部さんあれを……」

磯川警部がカバンの中から取り出したものを見て、私は思わず眼を見はった。なんとそれは三枚の黄金ではないか。

「ここにいらっしゃる英泉さんの話によると、この三枚の大判は、つい最近まで『猿の腰掛』と、屍し蝋ろうの棺の中にあったんだそうです。英泉さんはずっとまえからそのことを知っていられたそうですが、仏の眠りを妨げるのを恐れて、そのままにしておかれたんだそうで、いや、いかに無欲の僧侶とはいえ恐れ入ったものです。これ、いまの値段にしたらたいへんなものですよ。なお、これは余談ですが、こうして現に三枚の大判が出てきたんだから、あの埋められた財宝伝説も、まんざら夢物語ではなさそうですぜ。ひとつ探してみますかな」

私は典子と顔見合わせて微笑したが、すぐ眼をそらせて黙っていた。

「失礼ですが、その大判はどこにあったのでございますか」

典子がつつましやかに尋ねた。

「ああ、そう、うっかりしましたが、これは美也子さんの手文庫の底から発見されたのです。この一事をもってしても、美也子さんが最近、洞窟の中へ入ったことがわかるでしょう。あのひとがこの大判を見つけたのは、ひょっとすると、小梅様の殺された晚ではないでしょうか。あのひとが屍蝋の棺をあらためているところへ、小梅様と小竹様がやってきた。偶然そこで出会ったのか、来るのを知って待っていたのか、とにかくふたりがやってくると、いきなり上から躍りかかって小梅様を絞め殺した。あのひとにとっちゃ、小梅様でも小竹様でもどちらでもよかったのだが、雷に裂かれて倒れたのは、小竹様の杉だったから、できれば小竹様のほうを殺したかったのでしょう。だから、あの殺人連名表では、まちがって小竹様のほうを抹まっ殺さつしたのでしょう」

「あのひとは……」

と、私が低い声でいった。

「いつも小竹様と小梅様の見わけがつかないのでした」

「なるほど、それでついあのときもまちがったのですね。さて、小梅様が殺されてみて、はじめて、いままでてんでんばらばらだった被害者のうち、共通点をもったふたりが出てきました。すなわち久弥さんと小梅様です。それと同時に田治見家で、あとに残ったひとり(この場合、辰弥君は新来者だから一応除外するとして)の春代さんにも、犯人のリストに載りうる資格があるということ、すなわち、森美也子とふたりならんで未亡人の項にあげうるということに気づいたときのぼくの驚きを御想像ください。ここにはじめて事件の動機が、うかびあがってきたのです。犯人は東屋の一族を皆殺しにしようとしているのだ。そしていままでの殺人は、全部それを擬装するために行なわれたのだ、と、そう気がついたときの私の驚き。……ところで私はだいぶまえから、美也子を犯人と知っているのですから、この動機と美也子とを結びつけてみました。東屋の一族を皆殺しにして、果たして美也子になにか利益があるだろうか。直接にはありません。しかし、そのあいだに慎太郎さんという人物をおいてみると、俄が然ぜん、重大な意味をおびてくる。美也子さんは先夫の死後、慎太郎さんと結婚するつもりだったらしいということは、西屋の御主人から聞いていました。そこで私はこの事件を、てっきり二人の共謀であろうときめてしまったのです。私がそう考えたのも無理はないので、美也子さんと慎太郎さんとの、あの微妙な心理の葛かっ藤とう、意地の張り合いなどわかろうはずがありませんからね」

慎太郎は暗い眼をしてうなずいた。思えばかれが意地や気位をかなぐり捨てて、美也子と結婚していたならば、少なくとも八つ墓村の事件だけは起こらずにすんでいたのだ。その代わり、先夫殺しの女と結婚することになったかもしれないけれど。

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