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湖畔亭事件(25)

时间: 2021-10-19    进入日语论坛
核心提示:二十五 怪しげな男は、老人の様に背をかがめて小さな懐中電燈をたよりに、何を探すのか叢(くさむら)を歩き廻っていました。電燈
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二十五


 怪しげな男は、老人の様に背をかがめて小さな懐中電燈をたよりに、何を探すのか(くさむら)を歩き廻っていました。電燈の位置によって、彼は真っ黒な影法師になったり、白っぽい幽霊に見えたりします。そして、ふと電燈を持ち換る時などには、あたりの木の枝が、不気味な生きものの様に、ゆらめき、時としては、私自身が燈光の直射にあって、思わず樹幹(じゅかん)に身を隠すこともありました。
 しかし、何をいうにも、豆の様な懐中電燈の光で、しかも彼自身それをふりかざしているのですから、その姿を見極めることは、非常に困難でありました。私は絶対安全の地位を選んで、丁度敵に近づいた兵士達が、地物(ちぶつ)から地物へと、身を隠して行く様に、木の幹を縫って、少しずつ少しずつ進みました。
 この夜ふけに、森の中で探し物というのも変ですし、それが一向この辺で見かけた事のない都会風な男であるのも合点(がってん)が行きません。私は当然、先夜のあやしい男、河野が追跡して見失った男を思い浮べました。あれとこれとが同一人物ではないかと考えたのです。
 しかし、どうしてもその顔形を見極めることが出来ません。殆ど一間ばかりの所まで近づいていながら、(やみ)の中のことですから、もどかしくも、それが(かな)わないのです。その晩は、ひどい風で、森全体がざわめいていましたので、少し位物音を立てても聞える気づかいはなく、そのためか相手は少しも私を悟らず、探し物に夢中になっています。
 永い時間でした。右往左往(うおうさおう)する懐中電燈の光をたよりに、私は根気よく男の行動を見守っていました。すると、いくら探しても目的の品物が見つからぬらしく、男はついにあきらめて、背を伸すと、いきなり懐中電燈を消して、ガサガサとどこかへ立去る気勢(けはい)です。見失ってはならぬと、私はすぐ(さま)彼のあとをつけ始めました。つけるといっても、暗闇のことで、(わずか)に草を踏む跫音(あしおと)によって相手の処在を察する(ほか)はなく、それが今いうひどい風の音だものですから、なかなかうまく聞き取れず、怖さは怖し、物慣れぬ私にはどうしていいか分らないのです。そして、まごまごしている内に、幽な跫音も聞えぬ様になり、私は遂に、その闇の中へ、たった一人でとり残されてしまいました。
 ここまで()ぎつけて、相手をとり逃しては、折角の苦心が水の泡です。まさか森の奥へと、逃げ込んだ訳ではないでしょう彼奴(かれ)は私に見られたことなど少しも気づいていないのですから、きっと街道筋へ出るに相違ありません。そこへ気がつくと、私はやにわに、湖畔亭の前を通っている村道に駈つけました。
 山里のことですから、宿の(ほか)には燈火の洩れる家とてもなく、まっくらな街道には、人影もありません。遠くの方から、村の青年が吹き鳴しているのでしょう、下手な追分節(おいわけぶし)尺八(しゃくはち)が、それでも何とやら物悲しく、風の音にまじって聞えて来ます。
 私はその往還に佇んで、暫く森の方を眺めていましたが、そうして離れて見れば、怪物の様な巨木達が、風のために波打っている有様は、一層物凄く、ますます私に里心を起させるばかりで、さっきの異様の人物は、いつまで待っても出て来る様子がありません。
 十分もそうしていたでしょうか、もういよいよ駄目だとあきらめて、あきらめながら、でも何となく残り(おし)く、この間にもう一度河野の部屋を尋ねて、もし彼がいたら一緒に森の中を探して見ようと、大急ぎで、息せき切って宿の玄関へ駈込み、下駄を脱ぐのももどかしく、廊下を(すべ)り彼の部屋に達するといきなりガラリと襖を開きました。

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