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假面恐怖王-树上有人

时间: 2022-01-30    进入日语论坛
核心提示:木の上の人「ねえ、おまわりさん。恐怖王は変装の名人ですねえ。だから、ひょっとしたら。」「えっ、それじゃあ、いまの庭番のじ
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木の上の人


「ねえ、おまわりさん。恐怖王は変装の名人ですねえ。だから、ひょっとしたら……。」
「えっ、それじゃあ、いまの庭番のじいさんが、あやしいというのか。」
「ええ、ひょっとしたら、あいつ、恐怖王が、ばけていたのかもしれませんよ。ああ、いいことがある。たしかめてみるんですよ。」
「えっ、たしかめてみるって?」
 ふしぎそうな顔をしている警官には、かまわず、小林君は、いきなり戸をひらいて、物おき小屋の中へはいっていきました。
 そして、懐中電灯で、小屋の中をさがしましたが、すぐに、それが見つかりました。
「あっ、やっぱりそうだ、おまわりさん、これをごらんなさい。」
 その声に、ふたりの警官が、小屋の中にはいってきました。
「ほら、これですよ。」
 小林君は金色の仮面と、金色の(ころも)と、金色のシャツやズボン下を、手にもっていました。金色の仏像にばけた変装の衣装です。
「あっ、それじゃあ、いまのじいさんが……。」
「そうですよ。ここに、じいさんのつけひげや服をかくしておいて、きかえたのです。金色の仏像から庭番のじいさんに、早がわりしてしまったのです。」
「しまった。それじゃあ、とうとう、逃げられたか。」
「いや、だいじょうぶです。へいのまわりには少年探偵団が見はっています。もし逃げだしたら、よびこの笛をふきならすはずです。だから、あいつは外へは出られないのですよ。まだ庭の中にいるにちがいありません。」
「よしっ、それじゃ、ほかのれんじゅうにもいって、もう一度、さがすんだっ。」
 警官のひとりが、かけだしていきました。ほかの人たちに、このことを知らせるためです。
 それから、またしても、まっくらな庭のあちこちを、大きなホタルのような懐中電灯の光が、いそがしく、とびちがいました。
「あっ、あそこだっ、あそこにいる。」
 それをみつけたのも小林少年でした。
 懐中電灯の光がかすかにてらす、むこうの木の間を、さっきのじいさんが走っていました。
 ピリピリピリリ……と、よびこの笛が、ひびきわたりました。
 どこからともなく、「ワーッ。」という声がして、庭をさがしていたみんなが集まってきました。片桐さん、ふたりの書生、三人の警官、それに七―八人の少年たちです。
 みんなは、なにか口々にわめきながら、じいさんのあとを追いかけました。
「あっ、いけない。あの高いシイの木にのぼりはじめたぞっ。」
 ああ、ごらんなさい。庭番のじいさんは、十メートルもある高い木の、ふとい(みき)にしがみついて、まるでサルのように、のぼっていくではありませんか。
 みんなはその木の下に集まって、たくさんの懐中電灯でじいさんの姿をてらしましたが、まもなく、その姿はしげった葉の中にかくれて、見えなくなってしまいました。
「ここで見はってれば、だいじょうぶだよ。木のてっぺんまで、のぼったって、どこへもいけやしないんだから、そのうちに、つかれて、おりてくるにきまっているよ。こっちは、気ながに待っていればいいんだ。」
 おまわりさんが、のんきらしく、そんなことをいいました。
 しかし、あいては魔法使いの恐怖王です。ほんとうにだいじょうぶなのでしょうか。
 そのとき、少年たちのうちにまじっていた、あのちっちゃなポケット小僧が小林少年のそばによって、なにかささやきました。
「あっ、そうだ、そうかもしれない。」
 小林君もすぐにそれに気づいて、おまわりさんに話しかけました。
「たいへんです。あいつは、空がとべるんですよ。ほら、あいつは、いつか京都の三十三間堂のそばの木のてっぺんから、空へとんでいったじゃありませんか。それから、ついこのあいだは、クイーン映画館の屋根から、夜の空へ、とんでいきました。あいつは、空をとべるのですよ。」
 小林君にいわれて、警官たちも、やっと、そこに気がつきました。ああ、空をとぶあいてにかかっては、どうすることもできません。
 それなら、あいつが、とびたたないまえに、木のぼりをして、つかまえればいいようなものですが、とても恐怖王みたいに、木のぼりができるものではありません。枝もなにもない太い幹を、あんなにスルスルのぼるなんて思いもよらないことです。
 警官たちは、「ちくしょうっ。」といって、くやしがりましたが、どうすることもできません。

 こちらは、木の上のできごとです。
 庭番のじいさんにばけた恐怖王は、かるわざ師のような身がるさで、枝や葉のしげった中をグングンのぼっていきました。もう、てっぺんの近くまできたのです。
 そのとき上のほうで、なにかゴソゴソと動いているような音が聞こえました。この木のてっぺんには、鳥でもいるのでしょうか。いや、鳥の羽音ではなかったようです。なにか、もっと大きなものの動く音でした。
 恐怖王ははっとしてのぼるのをやめると、きき耳をたてました。
 あいては、まだゴソゴソ動いています。
「だれだっ、そこにいるのは、だれだっ。」
 恐怖王はおもわず、どなりつけました。
 すると、ああ、これはどうしたというのでしょう。いきなり、上のほうから、
「ワハハハ……。」
という人間の笑い声が、ひびいてきたではありませんか。
 恐怖王はギョッとして、身をすくめました。
「ワハハハ、おい、そこのやつ、おまえの道具(どうぐ)は、こわしてしまったよ。もう、とぶことはできないぜ。」
 恐怖王は、いよいよ、おどろいて、しばらく、だまっていましたが、木のてっぺんで待ちぶせているやつがあるなんて、くやしくてしかたがありませんので、思わずどなりかえしました。
「き、きさま、いったい、なにものだっ。」
 すると、上のほうから、また、笑い声がして、
「きみのいちばん、おそれている人間さ。ハハハ……、わからないかね。ぼくは明智小五郎だよ。」
「えっ、明智だって……。」
 ああ、なんという、いがいなことでしょう。片桐さんの庭のシイの木のてっぺんに、名探偵明智小五郎がかくれていたのです。それは小林君さえもすこしも知らないことでした。
「ハハハ……、さすがの恐怖王も、びっくりしているね。きみが魔法使いなら、ぼくだって魔法使いだよ。
 きみは、ぼくが福井県から帰ったといって、ぼくにばけて小林をだました。そして少年たちを屋根裏にとじこめたね。ところが、きみよりすこしあとで、ぼくはほんとうに帰ってきたんだよ。
 それから事務所に帰って、るす番のマユミからこんどのことを聞き、すぐに片桐さんに電話をかけて、いっさいのいきさつがわかったのだ。
 そこで、片桐さんに、ぼくの帰ったことは、だれにもいわないように口どめしておいて、夜になるのを待ってこの庭にしのびこみ、高い木のてっぺんを、つぎつぎと、さがしてみたのだ。
 なにをさがしたとおもうね。ヘリコプターを小さくしたような背中にとりつけるプロペラだよ。ハハハ……。ぼくはそれを知っていたのさ。いまから五年ほど前に、あるどろぼうが、フランスで発明された小型プロペラを手にいれて、つかったことがある。機械を背中にくくりつけて、空をとぶことができるんだ。ぼくはその機械を見たことがあるので、きみが空をとぶと聞いたときに、すぐそれを思いだしたんだ。
 そして、このシイの木のてっぺんに、その機械がかくしてあるのをみつけたんだよ。
 ハハハ、これだけいえば、もうわかるだろう。
 きみは、いざというときの用意にそのプロペラを、ここの木の上にかくしておいたのだ。それを、ぼくがさきまわりをして、動かないように、こわしてしまったというわけだよ。」
 明智のながい説明がおわると、恐怖王はくやしそうに、「ちくしょう……。」といって、逃げだしそうにしました。
 しかし、下におりれば、木の幹のまわりを、おおぜいの人が取りかこんでいるのです。といって、上にのぼって、たとえ明智をつきおとすことができても、かんじんのプロペラがこわれているのでは、どうすることもできません。
 さすがの恐怖王も、にっちもさっちも、いかなくなってしまいました。

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