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青铜魔人-铁手指

时间: 2021-10-30    进入日语论坛
核心提示:鉄の指 それより少し前、銀座通りの白宝堂(はくほうどう)という有名な時計店に、おそろしい事件がおこっていました。 十時には
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鉄の指


 それより少し前、銀座通りの白宝堂(はくほうどう)という有名な時計店に、おそろしい事件がおこっていました。
 十時には店をしめ、ショーウインドウにも、そとから雨戸をはめ、主人も店員も(とこ)につきました。白宝堂は仮ぶしんなので、鉄のおろし戸はまだできず、戸じまりはみな木の雨戸だったのです。
 その真夜中に、とつぜん、ショーウインドウのあたりで、バリバリ、ガチャンというおそろしい物音がしました。
 店に寝ていた少年店員が、びっくりして飛びおき、ただ一つだけつけたままにしてある小さな電灯の光で、音のしたほうを見ますと、ショーウインドウの中に、何か青い長いものが、ゴソゴソとうごめいていたのです。
 少年店員はおそろしさに、声をたてることもできません。そこに立ちすくんだまま、石にでもなったように、身うごきもしないで、そのうごめくものを見つめていました。
 それは、最初、巨大な青いイモムシのように見えたのですが、ほんとうは人間の腕であることが、じきわかってきました。青い色の洋服を着た人間の腕です。それが、ガラスの棚にならべてある、この店のじまんの、何十個という懐中時計をかたっぱしからつかみ取っているのです。
 ショーウインドウの外がわの厚いガラスに、大きな穴があいて、そのそとの雨戸の板も、めちゃめちゃにこわれています。さっきの物音は、賊が雨戸とガラスを、たたきやぶった音だったのです。
「どろぼうだッ!」
 思わず大きなさけび声が、のどからほとばしりました。
「なんだ、なんだ。どこにどろぼうがいるんだッ。」
 さっきから起きていた青年店員が、少年のさけび声にはげまされて、わざとどろぼうに聞こえるように、でっかい声でどなりました。
 サア、それからは大さわぎです。主人をはじめ店中のものが起きてきて、口々にわめきちらす。気のきいた店員は警察へ電話をかける。あるものは、裏口からとびだして、近所の人を呼びおこす。そのうち、勇敢なひとりの店員が、こん棒をにぎって入口の雨戸をひらき、表通りにとびだすと、二三人がそのあとにつづきました。
 そとは昼のような月の光です。しかし、その大通りには、人っ子ひとり通っていません。どろぼうは影も形もないのです。
 ごたごたしていて、表へとびだすまでには、ちょっと時間がかかりましたが、どろぼうがどんなに走っても、百メートルとは逃げられないはずです。横町にかくれているのではないかと、あちこちさがしましたが、どこにも姿は見えません。
「なんだって? なにをモゾモゾいってるんだ。もっとハッキリいってごらん。」
 破れたショーウインドウの前で、ひとりの店員が、さっきの少年店員をしかりつけていました。
「鉄の指だったよ。たしかに、あいつの指は鉄でできていたよ。いつか展覧会で見た人造人間の鉄の指とそっくりだったよ。」
 少年はさもこわそうに、目をまんまるにしていうのです。
「バカ、おまえ、ねぼけてたんだろ。人造人間に、時計を盗むなんて、器用なまねができるもんか。」
「だって、たしかに見たんだよ。指がちょうつがいになっていて、キューッと、こんなふうに、展覧会のロボットそっくりの曲がりかたをしたんだもの。」
「ウン、そういえば、僕も見た。はじめは皮手袋をはめているのかと思ったが、そうじゃない。きみのいうとおりだよ。たしかに指がちょうつがいになっていた。」
 さっき二番めに声をたてた青年店員が、少年にかせいをしました。
 そのそばに、白宝堂の主人や近所の人たち五六人が立っていて、この会話をきき、青ざめた顔を見あわせていましたが、主人は気をとりなおして、店員たちに命じました。
「警察へは電話をかけたけれど、交番へも知らせておくほうがいい。むだ口をきいていないで、だれかひとはしり行っておいで。」
 するとふたりの青年店員が、かけだしました。ひとりではなんだかこわいような気がするので、ふたりづれで交番へ行くことにしたのです。
「へんだね、たったあれだけのあいだに、どこへかくれやがったんだろうね。ばけものみたいなやつだね。」
「ねえ、きみ、あいつは人間じゃないよ。僕はどうもそんな気がするんだ。ひょっとしたら、あれは腕だけだったかもしれない。胴体はなくて、鉄の腕だけが、ショーウインドウの中へはいこんで来たという感じだったぜ。腕だけが(ちゅう)をとんで逃げたとすると、いくらさがしたって、見つかりっこないからね。」
「オイオイ、おどかすんじゃないよ。いやだな。きみはいつも、へんな怪談の本ばかり読んでいるから、そんなとほうもないことを考えるんだよ。ここは銀座のまん中なんだぜ。」
「ウン、だが銀座の真夜中って、いやにさびしいもんだね。まるで砂漠みたいじゃないか。あの青いイモムシのような腕が、そのへんを、はいまわっているかもしれないぜ。」
「オイ、よせったら。」
 こわいものですから、かえって、冗談がいいたくなるのです。
 息をはずませながら、そんなことをいいあって、かけているうちに、橋のたもとの交番に近づきました。警官が白い息をはきながら立っています。さっき、妙な青服の男の通りすぎるのを見た、あの警官です。
 店員たちが口々に盗難のようすを報告しますと、お巡りさんは、なにか思いあたるように、きっとして聞きかえしました。
「懐中時計を盗んだんだね。たくさんかね。」
「エエ、ショーウインドウにあるだけ全部です。すっかりさらって行ったのです。」
「そして、そいつは青い服を着ていたというんだね。」
 警官は、月光のあふれた大通りを、すかすようにしてながめました。すると、はるかむこうのほうを、青服の怪人物がガックリガックリ歩いているのが、小さく見えています。その時でした、警官があの歯車の音を思いだしたのは。
「どうもあいつが(あや)しい。追っかけて見よう。ちょっと待ってくれたまえ。」
 警官は、あわただしく交番の中へかけこんで、奥に休んでいた同僚に、なにかふた言三言ことばをかけたかと思うと、すぐとびだして来ました。
「サア、きみたちもいっしょに来たまえ。」
 三人は、白い息をはいて、寝しずまった大通りに靴音をこだまさせて、いっさんに走りだしました。アスファルトの地面には、まっ黒な三つの影が、奇妙なおどりをおどりながら、三人につきしたがっています。

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