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青铜魔人-塔上怪物

时间: 2021-10-30    进入日语论坛
核心提示:塔上の怪物 次の日の夕刊は、この人間だか機械だか、えたいの知れない怪物の記事でうずめられ、東京都民をふるえあがらせました
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塔上の怪物


 次の日の夕刊は、この人間だか機械だか、えたいの知れない怪物の記事でうずめられ、東京都民をふるえあがらせました。どこへ行ってもおそろしい機械人間のうわさで持ちきりでした。
 ところが、この怪物はそれきり姿を消してしまったのではありません。それから一月(ひとつき)ほどのあいだに五六度も、東京のあちこちで同じような事件がおこりました。ねらわれるのは、いつも有名な時計店や、珍しい時計を集めている人の家で、ありふれた時計は見向きもしませんが、宝石入りの非常に高価な時計や、古いゆいしょのある時計などを、かたっぱしからさらって行くのです。
 犯人はいつも、あの銅像の顔を持ったやつでした。そして、追っかけられると、イヌのようによつんばいになって走るのですが、その早いことはおどろくばかりで、ヒョイと町角をまがったかと思うと、煙のように消えうせてしまいます。どうしてもとらえることができないのです。
 新聞は毎日のようにこの怪物の記事でにぎわい、うわさはだんだん大きくなるばかりです。
「全身、鉄か銅でできてるんだってね。このあいだの晩は、はだかで現われたっていうじゃないか。」
「ウン、そうだって。お巡りさんが、うしろからピストルをうったら、カーンといって(たま)がはねかえったっていうぜ。」
「不死身だね。まるで装甲車みたいなばけものだね。」
 こんなうわさをするものもあります。また別のところでは、
「中に人間がはいっているのかもしれないが、どうもそうじゃないらしいね。あいつはきっと、中身まで機械なんだよ。からだの中は歯車ばかりなのさ。その証拠に、あいつが現われると、ギリギリと歯車のすれあう音がするっていうじゃないか。」
「自動機械だっていうのかい。だが、そんなにうまく活動する機械人間ができるものだろうか。ひょっとしたら、犯人がどっかにかくれて無線操縦をしているんじゃないかな。」
「ウン、そうかもしれない。なんにしても、おそろしい機械を発明しやがったな。しかも、せっかくの大発明をけちなどろぼうに使うなんて、じつにけしからんばか者だ。早くひっとらえて、機械の秘密をあばいてやりたいな。」
 すると、また別のところでは、
「だがね、あいつは金属でできているというが、かたい金属がどうして煙のように消えてしまうのかね。どうもりくつに合わないところがあるよ。だから、ぼくはあいつは幽霊だっていうんだ。青銅のおばけだよ。」
「時計ばかり盗む幽霊か。」
「ウン、それだよ。ぼくはね、あいつは時計を食って生きているんじゃないかと思うんだ。時計はあいつの食糧なんだ。歯車で生きている怪物だから、時計の歯車を、毎日いくつか飲みこまないと、命がたもてないのだよ。」
 こんなとっぴなことを考える者さえありました。それにしても、機械人間が、懐中時計の歯車をたべて生きているとは、じつに奇妙な考えではありませんか。
 ところが、ちょうど最初の事件から一月ほどたって、じつにとほうもないことがおこりました。もし怪物が歯車をたべるために時計を盗むのだとすれば、こんどは、アッとたまげるようなでっかい物を飲みこんでしまったわけです。
 東京都内ではありますが、多摩川の上流のさびしい畑の中に、林にかこまれた、ちょっとした丘があって、その上に奇妙な時計塔がそびえています。その家は明治時代のすえごろ、ある有名な時計商の主人が建てたもので、建物全体が古風な赤煉瓦(あかれんが)でできていて、時計塔も煉瓦で組みあげ、その上にとんがり帽子のような屋根がのっているのです。
 そんなへんぴな所に、こういう時計塔のあることは、東京の人でも知らない人が多かったのですが、こんどの事件で、この塔が一度に有名になってしまいました。というのは、その塔の時計の部分が、一晩のうちに盗みさられてしまったからです。
 ある風のはげしい夜でした。その日は若夫婦がとまりがけで用たしに出かけ、家には七十をこした老主人と、年とったばあやと、女中の三人だけで、早くから戸じまりをして寝てしまったのですが、朝起きて見ると、時計塔の四方にある白い文字盤がみんななくなって、中の機械もからっぽになっていることがわかったのです。
 文字盤は直径一メートルほどもある大きなもので、それが塔の四方についていたのですから、つごう四枚です。その文字盤があとかたもなく消えさったうえ、時計の針も、心棒も、その奥にあった大きな歯車じかけの機械もすっかりなくなって、塔の屋根の下は見とおしのガランドウになっていたのです。
 犯人はあいつにきまっています。あの時計きちがいの怪物でなくて、だれがこんな物ずきなまねをするものですか。この世のありとあらゆる時計を盗まないでは、しょうちしない、あの青銅のばけもののしわざにちがいありません。
 この珍妙な事件は、大きな新聞記事になって、たちまち東京中の人に知れわたりました。すると、またしてもさまざまの不思議なうわさが、あちこちに立ちはじめたのです。
「事件の二三日前からね、毎日、日のくれじぶんに、あの銅像のばけものみたいな機械人間が、時計塔の上に、つっ立って、ニヤニヤ笑っていたというんだよ。近所の農家の若いものがハッキリそれを見ているんだ。」
「ほんとうかい。じゃあ、なぜそれを家の人にいってやらなかったんだ。警察へ知らせなかったんだ。」
「駐在所のお巡りさんに知らせたけれど、まぼろしでも見たんだろうといって相手にしてくれなかったそうだ。時計塔の文字盤の前に、銅像みたいなやつがつっ立っているなんて、ちょっとほんきにできないからね。」
「それにしても、あんな大きなものを、どうして盗みだすことができたかね。」
「それには、こういう話があるんだよ。これも近所の農家のものが見たというんだがね、事件の晩おそく、町からの帰りに、塔の丘のそばを通りかかった人があって、遠くから、暗やみの中にうごめいている、へんなものを見たというんだ。」
「やっぱり、あの機械人間かい。」
「ウン、それがひとりやふたりじゃなかったというのだ。十人ほども同じ形のやつが、長いはしごを、のぼったりおりたりしていたそうだ。」
「ヘエ、はしごをね。」
「ウン、そのはしごというのが、またへんなんだよ。消防自動車みたいなものが、建物の前にとまっていて、あの空へグングン伸びて行く機械じかけのはしごね、あれが時計塔のところまで伸びて、その空中ばしごを、機械人間が幾人も、のぼったりおりたりしていたというんだ。」
 うわさには尾やひれがついて、とほうもない怪談になっていきます。おしまいには、その幾人もの機械人間が、スーッと空高く飛んで行って、雲の中へかくれてしまったなどと、まことしやかに、いいふらすものさえ現われるしまつでした。
 しかし、そういううわさ話は信じられないとしても、時計塔の文字盤と機械が盗みさられたことは動かしがたい事実です。小さな懐中時計ばかりでなく、時計と名のつくものなら、どんな形のものでも、あの大きな時計塔までも、盗んで行くやつがあるのです。
 これは時計きちがいとでもいう一種の狂人なのでしょう。しかもそれが、人間なのか機械なのか、それとも星の世界からでもやって来た、まったくわれわれの知らない生きものなのか、すこしも正体がわからないのですから、そのぶきみさは、ちょっとくらべるものもありません。
 しかし、この怪物が時計をほしがっていることだけはたしかです。それも、ありふれた時計ではなくて、高価なもの、ゆいしょのあるもの、珍しいものをねらっているのです。明治時代にできた赤煉瓦の時計塔などもその珍しさが怪物の注意をひいたのにちがいありません。
 サア、そうわかってきますと、世間に知られた珍しい時計を持っている人たちは、もうビクビクものです。この次は自分の番ではないかと思うと、夜もおちおち眠れないしまつです。

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