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一寸法师-梅花娃娃(02)

时间: 2021-09-27    进入日语论坛
核心提示: 少年店員がふと立止って、番頭の袖を引いた。「エ、子供の人形だって、そんなものありゃしないよ」 若い番頭は怒った様な調子
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 少年店員がふと立止って、番頭の袖を引いた。
「エ、子供の人形だって、そんなものありゃしないよ」
 若い番頭は怒った様な調子で、小僧の言葉を打消した。彼は怖がっているのだ。
「だって、御覧なさい。ホラ、お松さんとお竹さんが、子供の手を引いているじゃありませんか」
 小僧はそういって、人形の方へ懐中電燈をさし向けた。遠いためにはっきりとは見えないけれど、そこには、お梅人形のかげになって、確に一人の子供が立っていた。
 どう考えても、そこに子供人形のあるはずがなかった。変だぞと思うと無上(むしょう)に怖くなって来た。
「オイ、スイッチをひねるんだ。あの上のシャンデリヤをつけて御覧」
 若い番頭は、ワッといって逃げ出したいのをやっと踏止(ふみとどま)って少年店員をせき立てた。
 少年店員は、スイッチを押しに行ったけれど、面喰っている為に、急にはそのありかが分らない。番頭はもどかしがって、少年の手から懐中電燈を奪って、それを怪しい人形にさし向けながら近づいて行った。
 長い陳列台を一つ廻ると、一寸空地(くうち)が出来ていて、その真中に三人の人形が立っていた。懐中電燈の丸い光が、おずおず震えながら、床をはい上って行った。人形の周囲にめぐらした鉄柵、人造の芝生、お松さんの足、お梅さんの足、お竹さんの足、と次々に円光の中に入って行った。
 そこで丸い光は暫く躊躇していた。事実を確めるのが怖いといった風に(おのの)いていた。が突然思い切って、空を切って、光が飛んで、パッタリ動かなくなった箇所には、世にも不思議なものの姿がクローズ・アップに映し出されていた。
 その者は鳥打帽を冠り、何か黒いものを着て、さっき少年店員がいった通り、一寸すまし返ってお松お竹の両婦人に手を引かれていた。だが、一見してそれは子供でないことが分った。大きな顔に大きな目鼻がついて、頬の(あたり)に太い(しわ)が刻まれていた。俗にいう一寸法師だった。大人の癖に子供の脊丈(せたけ)しかなかった。それが懐中電燈の円光の中に、胸から上を大写しにして、私は人形ですという顔をして活人画の様にまたたきさえしないでいるのだ。
 昼間、太陽の光でそれを見たなら、美しい生人形と畸形児との取合せが余り変なので、だれでも大笑いをしたことであろう。だが夜、懐中電燈のおぼろげな円光の中に浮び上った畸形児のすました顔は、すましているだけに一層気違いめいて、物すごく感じられた。
「オイ、そこにいるのはたれだ」
 若い番頭は思い切って怒鳴りつけた。
 しかし相手は答えなかった。答えの代りに丸い光の中の半身像が、丁度活動写真のフィルムが切れでもした様に、突然見えなくなった。つまり相手は逃げたのだった。
 少年店員がやっとのことで、スイッチを探し当てて、一時にその辺が明るくなった。だがその時分には、畸形児は鉄柵を越え、陳列台の間を通り抜けて、どこかへ見えなくなっていた。無数の陳列台が縦横様々に置き並べてある、その間を台より低い、一寸法師が逃げて行くのでは、まるで追駈け様がなかった。

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