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一寸法师-转嫁罪业(07)

时间: 2021-09-30    进入日语论坛
核心提示:「すると、例の不具者は、小松の死体を埋ることを引受けて、その立場を利用して山野氏からは金をしぼり、一方夫人を脅迫していた
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「すると、例の不具者は、小松の死体を埋ることを引受けて、その立場を利用して山野氏からは金をしぼり、一方夫人を脅迫していた訳だね」
「そうだ。山野氏にしては、あの坊主がまさかあんな悪党だとは知らないからね。なぜか非常に心易い仲だった。不具者()うまく取入っていたのだろう。それにこれまでずっと援助を与えていた関係があるので、事情をあかして頼めば、万々(ばんばん)裏切る様なことはあるまいと思ったのだ」
「実に複雑な事件だね。だが、君の説明で大体の筋道は分った。それでは、約束通り犯人を引渡してくれるだろうね。一体三千子はどこに隠れているのだ」
 刑事部長は始めて彼の大切な役目に気づいた様に、厳格な調子でいった。
「引渡すことは引渡すがね」明智は沈んだ調子で答えた。「三千子さんも気の毒なんだ。ふしだらな点は確に彼女が悪いのだけれど、それも複雑な家庭に育った一人娘であることを考えると、こんなことになったのも彼女ばかりの罪ではないのだ。それに、彼女は今非常に前非(ぜんぴ)を悔いている。人を殺したといっても過失に過ぎないのだし、田村君、この辺の事情をよく含んで置いてくれるだろうね」
「分った分った。なるべく君の希望に添うことにしよう。兎も角早く犯人の在家(ありか)を教えてくれ給え」
「なに、三千子さんはここの(うち)にいるのだよ」
 明智が合図をすると、住居の方の障子が開いて、そこから明智の部下と小間使姿の三千子と、そして、意外なことには運転手の蕗屋までが一緒に立現れた。三千子はいたましく泣きぬれて、目を上げる力もなかった。
「蕗屋君も最初からこの家にいたのです」人々の不審顔を見て取って明智が説明した。「これもやっぱり山野氏が養源寺の和尚を過信した結果なんですが、死体運搬をした蕗屋君は、やっぱり連類に相違ないので、和尚が勧めるままに、かくまい方を(たく)したのです。一寸法師にすれば何か又悪だくみでもあったのでしょう。この家の裏手の納舎(なや)を急ごしらえの隠れ家にして、三度の食事もそこへ運ばせることにしていました。そして、蕗屋はそこで、三千子の小松が家出して来るのを待ったのです。殺されたのは三千子だったということがハッキリ分れば、それで三千子の化けた小松の用事は済むのですから。山野氏は適当な時機を見はからって、三千子の小松を家出させ、ここで蕗屋と落ち合うことにしました。三千子が山野氏の令嬢でなくて、小間使ということにして置けば、運転手と一緒になった所で、さして不体裁(ふていさい)ではないのです。山野氏は、そんなことまで先から先へと考えていたのかも知れませんね」
 そうして明智の説明が一段落つくと、三千子、蕗屋、安川国松の三人は、兎も角近所の原庭署へ連行されることになった。しおらしくすすり泣く三千子、青ざめた蕗屋、ブルブル震えている安川、一瞬間部屋の空気はうち湿って見えた。三人の刑事が、彼等をひっ立てる様にして、あとに随った。そして、彼等が今仕事場の入口を出ようとした時だった。
「三千子さん、一寸」
 じっとキューピー人形を眺めていた明智が、ふと何かに気づいた調子で、三千子を呼び止めた。

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