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一寸法师-畸形魔(10)

时间: 2021-09-29    进入日语论坛
核心提示:「義足ですって、そんな馬鹿げたことで、うまく分らないでいたのですか」「馬鹿馬鹿しいだけに、却(かえっ)て安全なのだ。ただ義
(单词翻译:双击或拖选)

「義足ですって、そんな馬鹿げたことで、うまく分らないでいたのですか」
「馬鹿馬鹿しいだけに、(かえっ)て安全なのだ。ただ義足といったのでは、本当に思えないだろうが、僕はその実物を見たのだ。詳しいことは今に分るがね。それに、一寸法師を見たのは君一人で、山野家の人達にしろ一寸法師なんて特殊な人間は頭にない。最初から一人の義足をはめた不具者で通っていたのだよ」
「じゃ、その義足をはめた男というのは一体だれです」
「養源寺の和尚さ」
 話の通じ(にく)い自動車の上では、これだけの会話を取交すのもやっとだった。紋三にはまだ明智のいうことがよくのみ込めなかった。余り変な話なので、馬鹿馬鹿しい様な、からかわれている様な気さえした。だがその疑いを確めない内に、車はいつの間にか本所原庭警察署の建物の前に止っていた。
 署では署長を始め彼等の来着を待構えていた。一同車を降りて二三の打合せを済ませると、そこの刑事なども同勢(どうぜい)に加わって、徒歩で程近いO町に向った。刑事部長は署長室に(とど)まって吉報を待つことにした。
 刑事達は刑事部長の手前、素人探偵の指図に従わねばならなかった。彼等は養源寺、O町の家、人形師の住居(すまい)三手(みて)に分れて、それぞれ入口に張番をした。そこには明智の部下の者がさっきから彼等の来るのを待っていたのだ。
「私が合図をするまでは、どんな奴でも逃さない様にして下さい。女であろうが子供であろうが、家から出る者は一応止めて置いて下さい」
 明智は何度もくり返して頼んだ。そして彼自身は紋三と一人の刑事を従えて養源寺の門内に入って行った。
 庫裏の障子を開けると、汚ない(じい)さんが(かまど)の前で何かしていた。
「君は向うの菓子屋のお爺さんだったね」明智が声をかけた。「お住持(じゅうじ)はお留守かね」
「ヘエ、おいでになりますよ。どなた様で」
「忘れたのかい。二三日前に君の店で買物をしたんだが。実は今日は警察の御用で来たんだが、一寸お住持をここへ呼んでくれ給え」
 爺さんはかしこまって、奥の方へ住持を探しに行ったが、暫くすると変な顔をして戻って来た。
「どうも見えないんですよ。ちっとも気がつきませなんだが、いつの間にお出ましなすったのか」
「そうかい。兎も角一度上らせてもらうよ。警察の御用なんだからね」
 明智はそういったまま、手早く靴を脱いで上に上った。爺さんは呆気(あっけ)にとられて、止めようともしなかった。紋三と刑事も明智に習って靴を脱いだが、その時紋三は今まで忘れるともなく忘れていた事柄を、ハッと思い出した。和尚が見えないのは裏からO町の例の家に行ったのに相違ない。そこには山野夫人が来ているのだ。もし和尚が見つかれば、夫人も一緒に恥をさらす羽目(はめ)になるのは知れている。恥どころか退引(のっぴき)ならぬ証拠を握られるのだ。

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