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一寸法师-误解(05)

时间: 2021-09-29    进入日语论坛
核心提示:「兎も角御邸へ帰って見ようじゃありませんか。まさかさっきの様に僕と駈落して下さいとはいえませんからね」紋三は赫(あか)くな
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「兎も角御邸へ帰って見ようじゃありませんか。まさかさっきの様に僕と駈落して下さいとはいえませんからね」紋三は(あか)くなってぎこちなく冗談みたいなことをいった。「うまく彼奴(あいつ)が逃げてくれるか、一層(いっそ)屋根から落ちて死にでもしたら、又善後策のほどこし様もありましょうが、しかしこうなったらどっちみち覚悟しなきゃなりますまい。この先とも僕はあなたの味方になって出来るだけのことはやって見ますよ。それはお許し下さるでしょう」
「私こそお願いしますわ」
 夫人が他意なく縋ってくるのを見ると、(おろか)なる紋三は、又少しうれしくなった。
 やがて二人は森を出て堤の上を山野家の方へ歩いていた。
「ですが、分らないのは山野さんの心持です。全体どうして、実の娘さんを殺す気になったのでしょう」
「山野は商売人にも似合わない堅苦しい男ですの、そしてカッとなると、随分思い切ったことをやるたちですから、多分三千子のふしだらを感づいて折檻(せっかん)でもするつもりだったのがつい激した余り、あんなことになったのではないかと思いますわ。それにはね、また色々な事情がありますの、召使たちにも隠してあったのですが、あの逃げて行った小間使の小松というのは、本当は主人の隠し子なんですの。堅い人ですけれど若い時分にはやっぱりしくじりがあったのですわ。それを普通なら娘として(うち)へ入れる所を、主人が今いう頑固者(がんこもの)だものですから、娘のしつけや、親戚の手前不都合だといって、それは蔭になって目はかけていましたけれど、表面は小間使ということにしていましたの」
「それじゃ、三千子さんと小松とは姉妹(きょうだい)なんですね」
 紋三は非常に意外な気がした。
「そうですのよ。姉妹でいて、二人はまるで気質が違うのです。三千子さんは大のおてんば、小松の方は商売人の腹に出来た子に似合わない、それはそれはよく出来た、おとなしい娘です」
 もうすっかり暗くなった堤の上を、二人はとぼとぼと歩いた。一つは身も心も疲れていたせいもあるが、一つは早く帰って真実に直面するのが恐しく、自然歩みが(のろ)くなったのだ。そして、何か(しゃ)べらなくては淋しくてたまらなかった。
「その実の娘同志が」夫人は語り続けた。「一人の男を、相手もあろうに運転手なんかを、争っているのを知れば、ああした山野のことですから、カッとせずにはいられなかったのでしょう。その心持はよく察しられますわ。地獄の様な気がしたに違いありません。そのふしだらな娘の一人が、やっぱり御自分のふしだらが生んだ罪の子だと思うと、たまらなかったのですわ。考えて見ると山野は本当に気の毒なんです」
「なぜ自首して(しま)われなかったのでしょうね。そんな過失だったら、大した罪にもならないでしょうに」

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