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一寸法师-转嫁罪业(04)

时间: 2021-09-29    进入日语论坛
核心提示: 明智の説明は段々細(こまか)い点に入って行く。「化粧品が準備された偽証であることは、この吸取紙によっても分ります。これも
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 明智の説明は段々(こまか)い点に入って行く。
「化粧品が準備された偽証であることは、この吸取紙によっても分ります。これもやっぱり偽証の一つなのです」彼は桃色の吸取紙を示した。それの表面には拇指のインキの指紋がハッキリと現れていた。「これが三千子の書きもの机の真中にのせてあった。態と目につく場所へ置いたことは一見して分るのです。それから、ここに文字を吸取った跡がかすかに残っている。一寸見たのでは、ポツポツと点線になっていて読めませんが、鉛筆で跡をつけて見るとハッキリした文字が現れて来る。だが、文句に注意すべき点はない。ただ女らしい文章の一部分が現れているに過ぎません。ところで、ここに別に三千子の筆蹟(ひっせき)があります。これと吸取紙の筆蹟と比べて見ますと、両方とも若い女らしい手で、よく似ていますが、ただこうして見たのでは本当のことが分らない。吸取紙の方のは左文字ですからね」
 明智はそこに用意してあった懐中鏡を取ると、吸取紙の上にかざして、聞手の方に見える様にした。田村検事などは、すぐそばまで顔を持って行って、感心した様に二つの筆蹟を見比べるのであった。
「こうして右文字に直して見ると全く別人の筆蹟です。つまり、この吸取紙は三千子のものではないのです」
「すると何だね」田村検事が驚いていった。「エート、一寸法師が持歩いた腕なんかは、三千子のものでないことになるね。それらの指紋がうそだとすると」
「そうだよ。三千子のものではなかったのだよ」
「そんなことをいえば、この事件は根本からくつがえって来る訳だが」
「くつがえって来る。出発点から間違っている」
 明智は平気で答えた。田村氏の顔色は(ようやく)く真剣味を帯びて来た。刑事部長も一膝前にのり出した。
「では、明智君、三千子は死んでいないというのか」
「そうだ。三千子は死んではいないのだ」
「じゃあ、君は……」
 田村検事は、ある感情の交錯のために顔を青くして、明智をにらみつけた。
「そうだ」明智は検事の表情を読む様にして「その通り。君の考えは当っている。三千子は被害者ではないのだ」
「被害者ではなくて……」
「加害者なのだ。三千子こそ犯人なのだ」
「すると、被害者はどこにいる。三千子は一体だれを殺したのだ」
「待ち給え、大体見当はついているのだが」明智は検事を制して置いて、隅の方に小さくなっている人形師をさし招いた。「安川さん。つかぬことを聞く様だが、ここに並んでいる人形は皆註文(ちゅうもん)の品だろうね」
「ヘイ、左様で」人形師は脣をなめなめ答えた。「皆花屋敷(はなやしき)へ入れますんで、生人形でございます」
「この奥の方に並んでいるキューピー人形は、随分大きなものだが、やっぱり花屋敷へ飾るのかね」
「ヘイ、左様で」人形師はもう目に見える程震え出していた。

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