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一寸法师-转嫁罪业(05)

时间: 2021-09-29    进入日语论坛
核心提示:「だが、このキューピー人形は、昨日まで店(みせ)の間(ま)に飾ってあった様だが、どうして外の人形と混ぜてしまったのだ」「」人
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「だが、このキューピー人形は、昨日まで(みせ)()に飾ってあった様だが、どうして外の人形と混ぜてしまったのだ」
…………」人形師の挙動が凡てを語っていた。
 明智はやにわに、邪魔になる生人形共を引き倒して、その奥のキューピー人形に近づいた。そして、その辺に落ちていたハンマーを拾うと、人形のおどけた顔面を目がけて、烈しい一撃を加えた。人形の顔がくずれ、鉋屑(かんなくず)と土の(かたまり)がパッと散った。
「これが気の毒な被害者です」
 明智が指で土をかきのけて行くと、その奥から、黒髪を乱した藍色(あいいろ)の死人の顔が現れ、プンと異臭が鼻をついた。
「申すまでもなく、これは小間使の小松です。可哀相に両手両足を半分に切られて、丁度……そうです、丁度一寸法師そのままの姿で、この、ニコニコした福の神の体内に、ぬりつぶされていたのです。恐しい不具者の呪いです。だが……」
 明智はふと口を(つぐ)んだ。その時丁度死人の咽喉が現れ、そこの皮膚に不思議な黒痣(くろあざ)が見えた。明かに指でつかんだ(あと)なのだ。
「これはきっと、頭の傷だけでは死に切らなかったので、指で(くび)り殺したのです」
 異様な沈黙が来た。物慣れた警察の人々も、この前代未聞の残虐を正視するに堪えなかった。皆息をのんだ(てい)で、部屋全体が一場の陰惨な活人画だった。赤茶けた電燈の光が、人々の半面を照らして、床や壁に、(もの)()の様な影を投げていた。生きた人間共は、死んだ様に動かず、(かえっ)て生なき人形共が、顔見合せてクスクスと笑っている様に見えた。
「すると、三千子が恋敵の小松をこんな目に逢せた訳だね」やっとしてから、田村氏が溜息と共にいった。
「そうだよ」流石の明智もいくらか青ざめていた。「犯罪の裏には恋だ。三千子と小松との蕗屋に対する恋、一寸法師の山野夫人に対する恋、この事件は凡て恋から出発している」
「だが、この人形の中へ塗りこめたのは」
「それは三千子じゃない。やっぱり一寸法師だ。そして、この安川という男も共犯者だ。僕が人形師を怪しいとにらんだのは、一寸法師が昨夜ここへ入るのを見届けたからでもあるが、もう一つは、一寸法師が普通の人間に化けていた、その継足(つぎあし)があたり前の義足ではなくて、木でこしらえた人形の足だった。特別の考案をこらして、折れ曲りの所なんか実に具合よく出来ている。彼奴(あいつ)が、しょっちゅう靴をはいていたのはそのためなのだよ。そんな物を作るのは先ず人形師より外にないからね。つまり、この安川と一寸法師とは十年来の腐れ縁に相違ないのだ」
「だが、明智君、どうも変だね」田村氏はふと何事かに気づいて、明智の説明を(さえぎ)った。「僕の頭がどうかしているのかな。そんなことは不可能に思われるのだが。小松が被害者とするとだね、例の一寸法師の持ち歩いた腕なんかは誰のものだろう。小松が家出をしたのはつい二三日前で、百貨店事件の時分にはまだ山野家にいたではないか。そこに時間的な不合理がある様に思うのだが」

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