日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集
返回首页

白と黒

时间: 2022-08-09    进入日语论坛
核心提示:白と黒 ゆうべ一晩雪が降って、今日はからりと晴れた日曜日です。 一太郎君は朝から近所の広っぱで、たくさんのお友だちといっ
(单词翻译:双击或拖选)

白と黒


 ゆうべ一晩雪が降って、今日はからりと晴れた日曜日です。
 一太郎君は朝から近所の広っぱで、たくさんのお友だちといっしょに、大きな雪だるまをつくって遊びましたが、その帰りがけ、同級生の北川君と二人で、高橋さんのお家の前を通りかかりますと、門の中から二人を呼びとめる声がきこえました。
 見ると、大学生の高橋さんが、両手に一枚ずつ、雑記帳ほどの大きさの紙を持って、門の中の雪の上にしゃがんでいるのです。
「高橋さん、お早う。何しているの」
 一太郎君はたずねながら、北川君といっしょに門の中へはいって行きました。
「まあ、見ていてごらん」
 高橋さんは何かわけのありそうな笑い方をして、一太郎君の顔をながめました。なんだかおもしろいことがはじまりそうです。
 二人は高橋さんのそばまで近づいて、だまって見ていますと、高橋さんは地面の雪の上に、二枚の紙をていねいにならべました。一枚は真白な洋紙、もう一枚は黒々と墨をぬった洋紙です。まるで白と黒との大きな膏薬(こうやく)でもはったように見えます。
「さあ、これでよしと。君たち、僕がなぜこんなことをしたのかわかるかい。おもしろい実験なんだよ。何の実験だろうね。一つあててごらん」
 高橋さんは立上って、二人の顔を見くらべながら言うのです。
 一太郎君と北川君は、おたがいに目を見合せて、しばらく考えていましたが、さっぱりわけがわかりません。雪の上に白と黒との膏薬をはって、いったい何の実験をしようというのでしょう。高橋さんはいつでも、一太郎君たちがまるで思いもつかないような、ふしぎなことを考え出す人です。
 二人がいつまでたっても返事をしないものですから、高橋さんは笑い出しました。
「ハハハハハ、わからないかい。よしよし、それじゃ二時間ほどしてから、また、ここへ来てごらん。その時にすっかりわけを聞かせて上げるからね。そして、ちょっと君たちの智恵だめしをして上げるよ。いいかい。今から二時間ほどしてね」
 高橋さんはそう言って、お家の中へはいって行きました。二人の少年は「じゃ、きっと」と約束して、門を出ましたが、二時間がまちどおしくて仕方がありません。めいめいのお家へ帰ってからも、時計ばかり見ていましたが、やがて約束の時間が来ますと、二人はさそい合って、高橋さんのお家へ行きました。
「やあ、約束を忘れないで、やって来たね」
 高橋さんは門の外に待ちかまえていて、二人に声をかけました。
「ところで、さっきの実験を見せる前に、君たちにたずねたいことがある。智恵だめしだよ。君たちは、僕が雪の上に白と黒と二枚の紙をおいたのを見たね。そして、その紙の上に日があたっていたのをおぼえているだろうね」
「ええ、日があたっていました」
 一太郎君はそれを思い出して答えました。
「すると、二時間のうちに、どんなことがおこっただろうね。何か変ったことがおこっているはずなんだがね」
 二人は、また目を見合わせて考えましたが、「あ、わかった」というようにうなずき合いました。
「太陽に照らされて、雪がとけたのでしょう。つもっている雪がうすくなったのでしょう」
「うん、そうだ。けさは十五センチもつもっていた雪が、今はかって見ると、十センチほどになっている。太陽がそれだけ雪をとかしたのだ。さあ、そこで君たちにたずねるがね、さっき僕がならべておいた白い紙と黒い紙の下の雪は、どうなっているだろう。両方とも同じようにとけているだろうか、それとも、どちらかの方がよけいにとけているだろうか。一つ考えてごらん。これは理科の問題だよ。よく考えてこたえてごらん」
 二人はしばらく考えていましたが、最初に口をひらいたのは北川少年でした。
「僕、白い紙の下が、黒い紙の下よりも、よけいにとけていると思います」
「ほほう、白の方がよけいにとけて、雪が少くなっているというのだね。それはなぜだね」
「それはね、白い色はあたたかくて、黒い色はつめたいからです。つめたい黒い紙の下は、とけるのがおそいでしょう」
「うーん、なるほどね。それじゃ一太郎君はどう考える? 君も白い紙の下が、よけいにとけていると思うのかい」
「僕はそうじゃないと思います」
 一太郎君はちょっと顔を赤らめて、答えました。うまい考がうかんで、それを言い出す時には、いつも顔が赤くなるのです。
「僕は黒い紙の下の方が、よけいにとけていると思います」
「なぜだね」
「黒い紙の下の方があたたかいからです」
「ほう、北川君とまるであべこべの考え方だね。それじゃ、なぜ黒の下があたたかいか、そのわけを言ってごらん」
「僕、いつかお父さんに教わったことを、ふと思い出したんです。南洋の住民はみな白い着物を着ていますね。インド人もそうですね。あつい国の人がなぜ白い着物を着るのか、僕、ふしぎに思ったものだから、お父さんにたずねたことがあるんです。
 すると、お父さんは、同じ布でできていても、白い着物は涼しくて、黒い色の着物はあついのだと教えてくれました。ですから、あつい国の人は白い着物を着るし、寒い国の人は黒っぽい着物を着るんですって。水兵さんや、おまわりさんの服が、夏は白くて、冬は黒いのもそのためなんですって。
 僕、その話を思い出したんです。だから、白い紙の下は涼しくて、黒い紙の下はあたたかいだろうと思ったのです。あたたかければ、雪はよけいにとけるわけですからね」
「うん、おもしろいことを考えついたね。よし、それじゃ、どちらがあたっているか、さっきの紙の下をしらべてみよう」
 高橋さんは、そこでやっと、二人に門の中へはいることをゆるしました。見ると、白と黒の洋紙はもとの場所に行儀よくならんでいます。ところが、その高さが少しちがっているのです。黒い方がひくく、白い紙の方が高く、二枚の紙の間に段ができていました。
「いいかい、こちらが黒、こちらが白だよ」
 高橋さんはそう言って、二枚の紙をはがし、そのあとの雪の高さを二人に見せました。やっぱり黒い紙の下が、ほんの少しですが、ひくくなっているのです。
「一太郎君の答があたったね。このとおり黒い紙の下の方がよけいに雪がとけている。同じあつさの紙でも、黒と白とでは、これだけ雪のとけ方がちがうのだよ」
 高橋さんは二人によくそれを見せておいてから、そのわけを説明して聞かせました。
「君たちは学校でプリズムを見せてもらったことがあるだろう。ガラスの三角柱で、あれを通して太陽の光をわけてみると、赤や黄や青や紫や、いろいろな色が、虹のように縞になって見えるね。
 太陽の光は白く見えているけれども、その光の中には、プリズムで見るような、さまざまの色がふくまれているのだよ。電燈の光や蝋燭の光も、太陽とは少しちがうが、やっぱりいろいろな色をふくんでいる。
 さて、そこで、ちょっとそのへんを見まわしてごらん。我々のまわりには、実にいろいろな色のものがあるね。木の葉は緑色だ。むこうの西洋館は青くぬってある。雪は真白だ、板べいは真黒だ。君たちの頬っぺたは林檎のように赤くつやつやしている。
 こういういろいろな物の色は、いったい何だろう。それはやっぱり太陽の光なんだよ。太陽の光が物にあたって、それが僕たちの目にはねかえって来るのだよ。
 物によって太陽の光を吸いこんだり、はねかえしたりするやり方がちがうのだ。そのちがいが、さまざまの色になって、僕たちの目に入るのだよ。白く見えるものは、太陽の光にふくまれているいろいろな色を全部はねかえす。どの色も吸いこまない。だから太陽と似た白い色に見えるのだ。
 むこうに見える西洋館には、青いペンキがぬってある。青いペンキはなぜ青く見えるか。それは太陽に光にふくまれている色のうち、青だけをはねかえして、ほかの色をみんな吸いこんでしまうからだ。
 黄色でも赤でもそのとおり、太陽の光の中から黄色だけをはねかえすものが、黄色に見え、赤だけをはねかえものが赤く見える。赤と黄とまじったものは、ほかの色は吸いこんで、赤と黄だけはねかえす、というわけなんだよ。
 太陽の色を全部吸いこんでしまって、ちっともはねかえさないものがある。そういうものは色がない。つまり真黒に見える。あの板べいでも、さっきの黒い紙でも、たいへん慾ばり屋で、どの色もみんな吸いとって、一つもはねかえそうとはしないのだ。だから、われわれの目に真黒く見えるのだよ。
 黒が慾ばりならば、白はまた、ひどくあっさりしているんだね。どの色もいりませんといって、一つも吸いとらないで、みんなはねかえしてしまう。
 ところで、光にはふつうあつさがともなう。光とあつさとはいっしょにやって来る。だから、色をすっかり吸いとる黒は、あつさも吸いとる。色をみんなはねかえす白は、あつさもはねかえす。
 僕たちが黒いかべの前に立つと、何だか寒い感じがするね。黒は光もあつさも吸いとってしまうからだ。白いかべの前に立つと、あたたかい感じがする。白は光もあつさも、僕たちの方へはねかえしてくるからだ。
 だから、北川君は、そのあたたかい感じの白い紙の下の雪が、早くとけると考えたんだね。まちがいだけれども、もっともなまちがいだよ。大人だって北川君と同じように考える人も多いのだからね。
 だが、それは外からの感じで、うちがわはあべこべなんだよ。黒いものは光もあつさも吸いとってはなさないから、そのうちがわはあたたかい。白いものは光もあつさもはねかえしてしまうから、そのうちがわは寒い。だから、夏は白い着物が涼しく、冬は黒い着物があたたかいというわけだよ。
 白い紙と黒い紙も同じことで、上から見てあたたかそうな白い紙の下は、あべこべにつめたく、寒そうな黒い紙の下は、かえってあたたかい。だから、黒い紙の下の雪が、早くとけたのだよ。
 一太郎君は、それをうまく言いあてたわけだね」
 高橋さんは長い説明をおわると、ニコニコしながら、両手を二人の少年の肩にあてて、やさしく言うのでした。
「さあ、今日の理科はこれでおしまい。この次はまた、なにかおもしろい実験を考えておこうね」
[#改ページ]

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: